小売業をしている場合、利益に関わる数値を理解しておくことは非常に重要です。
きちんと把握できていないと、利益が少なくなってしまうリスクも。
今回の記事では、値入れ率とは何かや、値入れ率は高い方がいいかといった、基本的な知識をはじめ、値入率計算式や値入高計算など例を出して解説しています。
式に当てはめれば値入れ計算はそれほど難しくはないので、記事を読みながら実際に計算してみましょう。
この記事を書いた人:受発注ライフ編集部
『受発注ライフ』は、2024年3月22日に誕生した、株式会社カンナートのWebメディアです。
株式会社カンナートは西新宿にある創業20年目のシステム開発会社です。
このメディアでは、受発注業務や物流、通販にお困りごとのある方々に向けて、 業務改善のアイデアや業界の新しい動向などを発信していきます。
値入れ率とは?
そもそも値入れ率とは、どのようなことを指すのでしょうか。
ここでは、値入れ率の意味や値入れ率は高い方がいいのか、値入率計算式などを解説します。
値入れ率の意味
値入れ率とは、商品の販売価格における利益の割合がどのくらいあるかを意味する言葉です。
利益に関わってくる重要な数値であり、会計や財務に携わるのであれば抑えておきたい基本的な用語。
例えば、売上が増えても利益が少ない場合は値入れ率が悪いことが原因だと考えられます。
また、値入れ率は販売前の利益であるため、値下げや廃棄といったロスは反映されません。
値入れ率は高い方がいい
結論から言えば、値入れ率は高い方が儲かります。
前述したように、値入れ率とは商品の販売価格における利益の割合を表す言葉。
値入れ率が高ければ高いほど利益があるということになるため、高い方がいいです。
もし値入れ率が悪い場合には、後ほど紹介する「値入れ率を上げる方法」を行うことで率を上げられるため、実践してみてください。
値入率計算式
値入率計算式は、次のようになります。
値入れ率=(売価-原価)÷売価×100
たとえば、売価1,000円、原価700円の場合を計算してみましょう。
(1,000-700)÷1,000×100=30
計算をしてみると、値入れ率は30%となります。
難しいように思われるかもしれませんが、値入れ計算の方法は一度覚えてしまえば簡単なので、頭に入れておきましょう。
値入れ率=(売価-原価)÷売価×100
値入れ率と類似する概念
値入れ率には似たような言葉があります。
それぞれの意味や計算も解説しているので、使い方を間違えないようにしましょう。
【値入高】値入高計算式、値入れ率との違いとは?
値入れ高は売価と原価の差額のことで、売価から原価を差し引くと値入れ高になります。
それに対して値入れ率は、売価に占める売価と原価の差額です。
値入高計算式を表すと次のようになります。
値入れ高=売価-原価
先ほどと同じように、売価1,000円、原価700円の場合で考えてみましょう。
1,000-700=300
計算の結果、値入れ高は300円になりました。
値入れ高=売価-原価
【粗利益率】 粗利益率の計算式、値入れ率との違い
粗利益率とは、売上高に占める粗利益高の割合のことをいいます。
一方、値入れ率は売価を設定した段階での売価にしめる利益の割合のこと。
粗利益率の計算は値入率計算式と同じになります。
粗利益率=粗利益高(売上高-売上原価)÷売上高×100
売上高が50,000円で、売上原価が25,000円の場合で計算してみましょう。
(50,000-25,000)÷50,000×100=50
計算すると、粗利益率は50%です。
粗利益率=粗利益高(売上高-売上原価)÷売上高×100
【原価率】 原価率の計算式、値入れ率との違い
原価率は、売上高を100%とした場合の売上にかかったコストのこと。
原価率は次の計算で算出できます。
原価率=原価÷売上高×100
例えば、売上高50,000円、原価25,000円で考えてみます。
25,000÷50,000×100=50
以上の計算から、原価率は50%になりました。
少々ややこしいですが、値入れ率と間違えないよう気を付けましょう。
原価率=原価÷売上高×100
値入れ率を上げる方法
値入れ率は工夫すれば上げることもできます。
ここからは、値入れ率を上げる具体的な方法について解説していきます。
仕入れ先に原価の低減を交渉する
商品を外部から仕入れている場合は、原価を下げられないか交渉を持ちかけてみましょう。
例えば、大量に商品を仕入れることを条件にして、原価を下げられないか相談してみます。
こうした交渉は過去の実績があってこそ成り立つため、まずはお店で商品を売り、販売数を上げることが値入れ率アップのための近道となるでしょう。
仕入れ先を見直す
仕入れ先を見直して原価を下げることも、結果的に値入れ率の上昇につながります。
今契約している業者は仕入れ先として適切であるか、定期的にチェックしてみましょう。
もし同じ材料を今より安い値段で販売しているところがあれば、そちらに変えることで材料費が減らせます。
また、今の仕入れ先で値段以外のメリットがある場合は、総合的に検討することが望ましいでしょう。
値上げする
商品自体の販売価格を上げることで、値入れ率も上がります。
ただし、売価を上げる場合には消費者が納得するようなアナウンスをすることが大切。
値上げをすると顧客が離れていってしまうリスクがあるため、慎重に行うようにしましょう。
とはいえ、なかには数パーセント値上げしただけでも離れてしまう消費者はいます。
値上げ幅と消費者の流出のバランスを考えた値上げがポイントです。
値入れ率が高い商品の販売促進
特に値入れ率がいい商品を積極的に仕入れて販売促進することも、値入れ率アップにつながります。
例えば、お菓子でいうと珍味は値入れ率が高くスナック菓子は低くなりやすいです。
他にも、雑貨は値入率が低くなりやすい傾向にあり、家電などは値入れ率がいいと言われています。
また、自社製品であるプライベートブランドも値入れ率が高い商品。
こうした商品の仕入れを強化してみるのも一つの方法です。
まとめ
値入れ率とは、売価における利益の割合を指す言葉です。
値入れ率は高い方がいいため、値入率計算式を用いて値入れ計算をしてみましょう。
また、値入れ率には似たような言葉があるため、間違えないように注意が必要です。
値入高計算や粗利益率の計算など、値入れ率の計算式と混同しないよう気を付けてください。
値入れ率は仕入れ先への原価の低減交渉、仕入れ先の見直し、商品の値上げなどにより上げることが可能です。