自動倉庫とは? 自動倉庫メーカーのシェアや物流の自動化プロセスについても解説

人口の減少やEC需要の増加により、人手不足が問題になっている物流業界。
そんな中で、物流の自動化を実現する自動倉庫とは何なのか、注目が集まっています。
自動倉庫処理によって、人手不足や生産性向上、省スペース管理などが実現可能です。
そこで今回は、自動倉庫とは何かといったことや各工程を解説していきます。
さらに、世界でシェアを獲得している自動倉庫メーカーをピックアップ。
物流の自動化に興味がある人はぜひ最後まで読んでみてください。


この記事を書いた人:受発注ライフ編集部

『受発注ライフ』は、2024年3月22日に誕生した、株式会社カンナートのWebメディアです。
株式会社カンナートは西新宿にある創業20年目のシステム開発会社です。
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自動倉庫とは?

自動倉庫とは、人間が手作業で行ってきた商品の入庫やピッキングといった作業を自動化した倉庫のこと。
人間の代わりにロボットなどに作業を任せ、それらをコンピューターで一元管理します。
この技術は、深刻化する人手不足や人件費削減といった課題を解決する手段として注目されています。
省力化と物流の最適化をともに実現する有効なソリューションといえるでしょう。

物流の自動化プロセス

自動倉庫とは何かを理解したうえで、ここからは物流の自動化を実現する各プロセスを見ていきます。
自動倉庫には複数のシステムの導入が不可欠であり、以下の工程を確認しましょう。

1. 自動倉庫システム

自動倉庫システムとは、商品の入庫から保管、出庫までを一元管理するオートメーションシステムです。
スタッカーラック(荷棚)やスタッカークレーン、在庫管理システムなどと連携し、一連の倉庫管理作業を効率化します。
自動倉庫システムにはいくつか種類があり、適した商品や作業内容も異なるのが特徴です。

2. 自動ピッキングシステム

自動ピッキングシステムとはピッキング作業を効率化するシステムの総称。
ハンディターミナルで出荷指示書のバーコードを読み込み、表示された場所で商品をピッキング。
バーコードを読み込んで照合します。
これによりピッキング時間が短くなり、またリアルタイムで在庫数が更新されて自動で集計されるのがポイントです。

3. 自動搬送ロボット

自動搬送ロボットとは、コンテナから出した荷物を入荷場まで牽引したり商品棚をワーキングスペースまで移動させたりすることが可能。
人が倉庫内を歩き回らなくてよいため、作業者の負担や人的ミスを削減可能。
形状も色々あり、フォークリフト型や積載型など使い方に合わせたタイプがあります。

4. 倉庫管理システム

倉庫管理システム(WMS)は、入出庫やピッキング、検品、在庫管理などの倉庫業務を一元的に管理するソフトウェアです。
在庫管理システムや販売管理システムといった他のソフトウェアとも連携することができ、一体化したデータを提供します。

5. 梱包機械

梱包機械とは、商品をダンボールに詰めたり、発送用ラベルを貼ったりするなどの梱包作業を自動化するシステムです。
人手が必要な梱包作業において、人員が不足しているときに梱包機械が活躍するでしょう。
例えば、ダンボールの組立てを自動で行う製函機や緩衝材で商品を自動的に包装するバブルシート包装機があります。

6. デジタルアソートシステム

商品を発送先ごとに仕分ける種まき式ピッキングでは、担当者が紙のリストを読んで作業する必要があります。
このプロセスを効率化するのがデジタルアソートシステムです。
ユニットの表示器の色や数字で入れる商品と数を判断できるため、仕分けミスを減らし、作業者の負担も軽減できます。

自動倉庫システムの種類

自動倉庫システムには、さまざまな種類があり、適した商品や強みが異なります。
以下で紹介する自動ラック倉庫やバスケット型などの特徴を確認しましょう。

バケット型

バケット型は、商品を小型のバケット(折り畳みコンテナなどの通い箱)に収めて、ラックに保管するシステムです。
このタイプではラックに配置されたスタッカークレーンという装置が動作して、商品を運びます。
不定形の商品や小さな部品の保管に適したタイプです。

パレット型

パレット型は、商品を乗せるパレットを使用し、高いラックにパレットごと保管するシステム。
収納効率に優れ、大型の荷物を保管したり、既存の倉庫を活用したりするケースに向いています。
保管するものがパレット化できる商品に限られるため、積み重ね可能な商品や出荷先が同じものを載せる場合に適したシステムです。

フリーサイズ型

フリーサイズ型とは、ダンボールやトレイ、コンテナなど使うなど、多彩な形状やサイズの商品を保管できるシステムです。
不定形のサイズでも柔軟に対応できるため、保管する商品の種類が多い場合や特殊な形状の商品を扱う場合に適しています。

自動ラック倉庫

自動ラック倉庫とは、移動台車の上に乗った電動式ラックに物品を保管し移動させるタイプです。
ワンタッチで手軽に操作できる自動ラック倉庫もあり、棚移動に手間をかけません。
自動ラック倉庫は、ラック自体が移動するため高密度の格納・保管が可能となり、倉庫内を有効に使え、ピッキングを効率化させます。

自動倉庫処理のメリット

ここからは物流自動化がもたらす代表的なメリットをピックアップ。
自動倉庫処理によって人的ミスの削減や、保管スペースの有効活用など、倉庫業務の品質を上げるさまざまなメリットがあります。

人手不足解消

人手不足が今後ますます進むと言われる物流業界。
自動倉庫処理の導入によって、入出荷やピッキングに割く人員を減らすことができます。
自動化できるプロセスは自動化し、人手がかかる工程に従業員を適切に配置することで、倉庫作業の質を上げられるでしょう。

生産性アップ

倉庫作業や物流の自動化によって手作業より生産性が向上することはもちろん、商品の在庫確認などの事務作業効率も上がるでしょう。
人間は休憩時間が必要ですが、システムは24時間休むことなく稼働もできます。
また、人が長時間作業することが難しい高温や低温の環境でも、代わりに作業してもらうことが可能です。

ヒューマンエラー削減

どんなに気を付けていても、人が作業するうえではヒューマンエラーが起こり得るもの。
繁忙期は特に、作業員の疲労がたまり集中力が欠け、ミスにつながることもあります。
自動倉庫処理なら、商品の取違いなどのエラーを最小限に抑えて、一定の品質を保って作業することが可能です。

省スペース化

自動ラック倉庫やパレット型などのタイプにもよりますが、商品の保管の省スペース化を実現できます。
例えば、パレット型なら高さを活かした保管が可能になり、自動ラック倉庫なら通路スペースを確保する必要がありません。

自動倉庫処理のデメリット

物流の自動化にはさまざまなメリットがありますがデメリットもあります。
以下で自動倉庫処理の注意点をチェックしましょう。

保守・メンテナンスの費用がかかる

自動倉庫システムを導入するには、さまざまな設備の初期コストがかかります。
そのため、導入前に費用対効果を検討することが重要です。
また24時間、一年中稼働が前提となるため、保守・メンテナンス費用がかかる点も注意しましょう。

故障の際、物流がストップする可能性がある

システムによる自動倉庫処理を行うため、機械の故障やシステム障害が起こったときに一連の倉庫作業が止まる恐れもあります。
自動倉庫を導入している環境では、人員が少ない状態のため、人手でカバーすることが困難に。
日頃から装置をよく点検したり、対応マニュアルを用意したりする対策が必要です。

専門的な技術が必要

自動倉庫システムを導入するには専門知識や技術が必要です。
例えば、保管する荷物の形や数量、倉庫の広さ・形状を考慮して、適した自動倉庫のタイプを選ばなくてはなりません。
自動倉庫に関する知識を持ち、建設・運用方法を理解している専門的人材を育成・採用する必要があります。

自動倉庫メーカーのシェア

自動倉庫メーカーはマテリアルハンドリングの1つ。
マテリアルハンドリングとは、工場や物流拠点内のモノの移動やロジスティクスのことです。
マテリアルハンドリング(マテハン)企業には、ダイフクやキオン、シェーファー、豊田自動織機などがあります。
2022年のマテリアルハンドリング業界の市場シェアでは、日本企業であるダイフクが1位のシェアを獲得しました。

国内の主要自動倉庫メーカー

日本国内の自動倉庫メーカーや市場シェアを紹介します。
それぞれに強みや特徴があるのでチェックしてみてください。

ダイフク

マテハン業界の世界シェアトップに位置するダイフクは、1990年代に日本で初めて立体自動倉庫を開発。
ダイフクのパレット自動倉庫「コンパクトシステム」は、冷凍冷蔵仕様に加え、耐油などさまざまな環境で使えるのがポイント。
ほかにシャトル台車を採用した超高密度パレット自動倉庫「シャトルラックD^3」などを販売しています。

村田機械

2022年に世界シェア4位であった村田機械は、ムラテックブランドの自動倉庫システムを展開する自動倉庫メーカーです。
パレットやコンテナ、ロールやクレートなどさまざまな荷物に対応した装置を展開。
立体搬送や多層階アクセスなど多様な機能を使って、豊富な自動倉庫アプリケーションを実現しています。

TOYOTA L&F

TOYOTA L&Fは、豊田自動織機の物流システム機器ブランド。
2017年にドイツのファンダランデを豊田自動織機が買収し、2022年の市場シェアは3位でした。
同社が展開するユニット式パレット用自動倉庫Rack Sorter Pは、通路幅を縮小し上部空間を利用することで省スペースを実現しています。

IHI

日本の重工業メーカーであるIHIは、子会社のIHI物流産業システムで自動倉庫を取り扱っている自動倉庫メーカー。
トップクラスの実績がある建屋一体型立体自動倉庫や、パレットタイプ立体自動倉庫のラックパックを展開しています。

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まとめ

生産性向上やヒューマンエラーの削減といったメリットをもたらす自動倉庫。
記事では、自動倉庫とは何かや自動ラック倉庫などのさまざまなタイプや自動倉庫メーカーのシェアなども解説しました。
人手不足問題への対策が求められているなかで、物流の自動化の実現は急務となっています。
自動倉庫の導入における注意点もチェックしながら、自動倉庫処理への理解を深めていきましょう。