企業や店舗の売上を上げるには、「客単価」を意識することが重要です。
客単価は、販促の方針を決めたり戦略を評価したりする際にも大事な情報となります。
記事では客単価の意味や計算式、客単価を上げる方法などを解説。
アパレルやスーパーなどの小売り業や飲食業といった業種別で検討できる客単価アップのための施策も紹介するのでぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人:受発注ライフ編集部
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客単価とは?
ここでは客単価の意味と計算式を紹介します。
客単価は割り算で簡単に計算できるので、小売業やサービス業に携わっている人は知識として頭に入れておきましょう。
客単価の意味とは?
客単価とは、1人の顧客が1度の買い物で支払う金額のこと。
顧客単価と言われることもあり、例えば飲食店の場合は、1回の食事で顧客が支払う金額を意味します。
客単価が高ければ、店舗や通販サイトへの訪問者数があまり増えなくても売上を伸ばすことが可能です。
客単価を求める計算式は?
客単価を求める計算式は以下。
客単価=ある期間の売上総額÷同期間に店舗で商品を購入した客数
2024年4月1日から4月30日の売上総額が200万円、購入した客数が400人の場合。
計算式は200万円÷400人で2024年4月の客単価は5,000円です。
なお「客数」とは購入回数ではなく顧客数を使う点に注意してください。
客単価が伸びない原因とは?
客単価アップが企業の売上増加に大切であることがわかりましたが、客単価がなかなか伸びない原因は何でしょうか。
客単価が上がらない時は以下の項目に当てはまっていないか確認してください。
商品の安易な値下げ
顧客数を集めるために、安易に割引クーポン発行や値下げを行うと、商品の単価が低くなり、客単価が下がる恐れがあります。
また値引きによって、商品やサービスの質が低いと思われ、顧客の購買意欲が削がれることも。
長期的なリピーターを育て客単価を上げるには、値下げのみではなく付加価値や特典の付与で、顧客満足度を上げることを検討しましょう。
商品やサービスの質低下
顧客から「商品やサービスの品質が低くなった」と思われると、ブランドや店舗への信頼が薄れ、顧客単価が下がる原因に。
A商品の品質が低下したと感じた場合は、そのA商品だけでなく、同店舗・同ブランドの他の商品の購入も控えることがあります。
顧客単価が伸びない場合は、商品やサービスの質が低下していないか確認しましょう。
マーケティングが不十分
客単価が上がらない場合、マーケティング活動が不十分でないかも検討する必要があります。
マーケティングによって、顧客がどのような時期にどのようなアイテムが欲しいのかを把握し、顧客ニーズに沿った戦略を打ち出すことが可能です。
自社の強みをアピールできていなかったり、季節のイベントやニーズに応じた提案ができていなかったりすると、客単価はなかなか伸びません。
客単価を上げるには? 客単価アップの施策・戦略を紹介
それでは実際に客単価を上げるにはどのような施策や戦略を取ると良いのでしょうか。
スーパーなどの小売りや飲食店といったビジネスにおける、客単価アップのコツを解説します。
商品の単価を上げる
客単価を上げるシンプルな施策としては商品価格を上げる方法があります。
ただし値上げの理由がわからないと顧客が離れる原因となるので、納得する理由づけが必要です。
付加価値を付けたり、アフターサービスを充実させたりするなど、顧客にとってプラスになる要素を付けましょう。
松竹梅の価格設定をする
商品に「松竹梅」の3つの価格を設定するのも客単価を上げる方法の一つ。
3つの価格帯の商品が並んでいると、顧客は高すぎず安すぎない”ほどほど”の商品を選ぶ傾向があります。
「松:8,000円」「竹:5,000円」「梅:3,000円」といった3つの商品がある場合、真ん中の「竹」を選ぶ人が多くなるのです。
この方法を活用して、最も売りたい商品を真ん中の値段に設定することで、客単価アップを目指すことができます。
上位商品を提案する(アップセル)
客単価を上げるには、顧客が購入しようとしている商品の上位商品を提示する施策(アップセル)も有効です。
例としては、2,000円の商品Aの購入を検討している顧客に「4,500円の商品Bの方が素材が上質で長く使える」と提案します。
これにより顧客がより高い商品を購入してくれれば客単価アップにつながります。
ただし押し売りと受け取られると顧客離れの原因になるので、顧客ニーズを考えましょう。
関連商品を提案する(クロスセル)
クロスセルとは顧客が商品を購入した際に、関連する商品を提案する施策のこと。
顧客のついでに買いを誘う効果があり、客単価アップの方法として小売業で頻繁に使われています。
ECサイトなどで「この商品を購入した人は合わせてこんな商品も見ています」といった文章を見かけたことがあるでしょう。
また衣料品店など小売りでの「このセーターにはこちらのスカートが似合います」といった提案もクロスセル戦略です。
まとめ買いを提案する
まとめ買いの提案も客単価を上げる方法の一つです。
スーパーなどの小売り店で「3つ買うと500円」など、単品で買うよりお得な価格を提示するとまとめ買いしやすくなります。
また「入学セット」や「年末掃除セット」など、ターゲット顧客へのおすすめ商品をパッケージ販売できると客単価アップにつながります。
ディスプレイを工夫する
店舗のディスプレイを工夫するのも客単価を上げる方法としておすすめです。
例えば衣料品店では商品をマネキンに着せて展示すると、顧客はコーディネートのイメージが浮かびやすくなり購買意欲が高まります。
またスーパーなどの小売店が売上を上げるには、売りたい商品のポップを目立たせることも重要です。
接客の質を向上させる
店員の接客の仕方によって顧客が購買意欲が左右されます。
飲食店や小売り店で、従業員がより高い商品をアップセルしたり、セットを提案したりできれば客単価アップにつながるでしょう。
しかし、その際に顧客の気分を害すると客単価が下がる原因にもなるので、心地良い接客を身につける必要があります。
決済手段を増やす
客単価を上げるには決済手段を増やす施策が有効です。
特に高価格の商品を扱っている場合、クレジットカード決済などのキャッシュレス決済への対応が欠かせません。
サブスクリプション(定期購入)の支払いにおいてもオンライン決済が便利なため、取り入れることで客単価アップが見込めます。
業種別の客単価を上げる方法・戦略
ここからはスーパーなどの小売りや飲食店といった業種別に、客単価アップを上げるための戦略を紹介します。
客単価を上げる方法について悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
スーパーなどの小売りのケース
スーパーなどの小売り店が客単価を上げるには、商品の陳列やレイアウトを工夫することが必要です。
例えば売れ筋商品を手に取りやすいゴールデンライン(床から約80cm~140cmの高さ)に陳列することで、客単価が上がると言われています。
その他にも、同時購入されやすい商品を近くに並べる、ポイントカードを導入して販促キャンペーンを行うなどの方法があります。
飲食店のケース
飲食店で客単価を上げる施策としては、顧客の注文数を増やす、メニューの単価を上げるといった方法があります。
注文数を増やすには「締めのメニュー」「サイドのスープ」などで、「ついで買い」をしてもらうことが重要です。
「季節限定商品」など時期に応じた限定商品を打ち出すと、もう一品注文する動機となるほか顧客の来店頻度が上がる可能性も。
アパレルのケース
アパレル店が客単価を上げる施策としては、まとめ買いを提案したり、商品ラインナップを増やしたりするのが有効です。
顧客がブラウスの購入を検討している場合、似合うスカートやアクセサリーを提案すると、まとめ買いしてもらえることも。
また、カラー展開やサイズが限られていると、顧客が気に入った商品があっても購入につながりません。
そのため選択肢が広がるカラーやサイズ展開を用意しておくのが重要です。
まとめ
記事では、客単価の定義や計算式、客単価を上げる方法・戦略を解説しました。
客単価を上げるには、まとめ買いやアップセルを提案したり、決済手段を増やしたりするなどさまざまな戦略が考えられます。
闇雲に施策を行うのではなく、業種や販売形態に合う戦略を練ることが重要です。
スーパーなどの小売りの場合は陳列やディスプレイを工夫するなど、記事を参考に客単価アップのための施策を検討してみてください。