デッドストックとは? 古着やアパレル業界での使われ方や解消法についても解説

アパレルや製造業界で使われる専門用語、デッドストック(dead stock)。
一見してマイナスの響きがある言葉ですが、現場ではどのように使われているのか気になるところです。
この記事ではデッドストックの意味やヴィンテージや古着との違い、さらに解消法や予防策についても詳しく解説します。
デッドストックの意味が気になっている人はもちろん、デッドストックをなくす方法を知りたい人も参考にしてください。


この記事を書いた人:受発注ライフ編集部

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デッドストックとは?

デッドストックとは英語の dead stockに当たる言葉で、直訳は「死んでいる在庫」。
製造やアパレル業界で使われる専門用語で、店舗や倉庫に長期間保管され販売されなかった未使用の在庫品を指します。
デッドストックが生まれる原因は新製品が発売された、商品の需要が減少したためなど。
デッドストックは必ずしもマイナスを意味するのではなく、ヴィンテージや古着として生まれ変わることもあります。

デッドストックの具体例

アパレル、製造業におけるデッドストック (dead stock)の具体例を解説します。
業界による、デッドストックの使われ方の違いにも着目してみましょう。

アパレルにおける具体例

アパレルにおけるデッドストックとは、流行の変化や人気の無さなどが理由で売れ残ったアイテムを意味します。
特に夏の水着や冬のコートなどの季節商品は、購入ピークを過ぎるとデッドストックになりやすいです。
またアパレル業界では、デッドストックがヴィンテージや古着として希少価値を持つこともあります。

製造業における具体例

デッドストックが売れ残りの意味で使われる点は製造業もアパレルも違いません。
具体例として、スマートフォンなどの電子機器が挙げられます。
新機種の発売により旧機種の売れ行きが悪くなった場合や賞味期限が迫った食品、季節商品もデッドストックになりやすいです。

デッドストックとヴィンテージの違い

デッドストックとは、基本的に新品未使用で売れ残っている在庫です。
一方ヴィンテージはデッドストックとは違い、特定の年代に製造され、現在では希少価値がある古い品物を意味します。
デッドストックは新品なのに対し、ヴィンテージには中古品や古着が多く含まれてる点が両者の違いです。

デッドストックが発生する原因

デッドストック(dead stock)が発生する原因は、需要予測の読み間違え、トレンドの変化など様々です。
原因を知ることで、デッドストックの予防策を事前に考えることができます。

需要予測の失敗

デッドストックが生まれる原因の一つは需要予測の失敗です。
企業は製品の需要を過大に見積もったり、誤った市場データに基づいて生産を計画したりすることがあります。
結果として、実際の消費者需要を超える在庫が発生し、売れ残りの商品が倉庫に積み上がってしまうことも。
特に急速に変化する市場では、需要予測の失敗が起こりやすいです。

発注ミス

発注ミスによりデッドストックが生じることもあります。
例えば数量や品番、品目名を間違えて注文し、必要以上の原料や部品を購入してしまうパターン。
また1個、1ケース、1箱など、単位の確認ミスによる発注ミスもありがちです。
発注ミスはデッドストックだけでなく在庫切れを生み出す恐れもあるため、担当者は細心の注意を払うようにしましょう。

トレンドの変化

アパレルや技術などの業界では、トレンドや市場の動向が急速に変わることがあります。
これにより以前は人気だった商品が突然需要を失い、デッドストックになってしまうことも。
トレンド変化によりデッドストックとなった商品は、時間が経つほど価値を失ってしまう場合が多いです。
企業がトレンドに迅速に対応できなければ大量のデッドストックが発生し、コスト増加につながる可能性があります。

旧盤になった、仕様変更があった

デッドストックの一因として、旧盤や仕様変更があります。
新しいバージョンが発売されると、古い製品は魅力を失いデッドストックとして残ることが多いです。
また仕様が変更されると、従来の製品は顧客のニーズに合わなくなるため、販売が停滞し在庫が増加します。
このような理由から、企業は慎重に製品の更新や仕様変更を行う必要があります。

デッドストックが引き起こす問題

デッドストックを抱えることは、企業にとってデメリットが多いです。
デッドストックを放置すると、以下のような問題が生じる可能性があります。

財務面への悪影響

デッドストックは企業の財務に大きな悪影響を及ぼします。
デッドストックを保有することにより、倉庫のスペース代や管理の手間が余計にかかるからです。
その結果、追加でスペースを借りたり、従業員を雇用したりすれば、損失はさらに膨れ上がります。
またデッドストックは棚卸資産として計上しなければならないため、支払う税金まで増えてしまいます。

保有スペースの無駄

デッドストックを大量に抱えることは、保有スペースの無駄遣いです。
売れ残った商品が倉庫や店舗に滞留すると、他の商品を置くための貴重なスペースを圧迫します。
その結果、在庫管理の効率が落ち、事業全体に悪影響を及ぼすこととなるでしょう。
売れる見込みがないアイテムは保管するよりも処分するほうが、企業にとってはメリットにつながります。

在庫の価値が下がる

デッドストックが長期間保管されると、在庫の価値は低下していきます。
特にトレンドの変化が目まぐるしいアパレル業界では、デッドストックの価値が短期間で下がりやすいです。
また保管期間が長引くと、経年劣化により製品の品質が悪化したり、故障が生じたりする可能性もあります。
誤ってそのような製品を売ってしまえば、顧客満足度の低下にもつながるでしょう。

アパレルではデッドストックにも需要がある

アパレル業界では、デッドストックがヴィンテージや古着として評価されることがあります。
デッドストックは数十年と月日が経つと、入手が難しくなり希少性が高まります。
ファッション愛好家の中には、デッドストックの持つそのような限定感に惹かれる人も多いのです。
場合によっては、デッドストックが販売当時よりはるかな高値で取引されることもあります。

デッドストックの解消方法

消費者に販売することが難しいデッドストックでも、現金化できる場合があります。
廃棄する前に、以下の方法を検討してみてください。

セール、在庫販売

長期間倉庫に眠っているデッドストックを効果的に処分する方法の一つは、セールや在庫販売です。
既にトレンドから遅れた製品でも、安い値段なら購入したいと思う消費者がいます。
廃棄するよりは、そういった消費者へ製品を安く売ったほうが、企業にとっては利益につながります。
ただしセールは自社のブランド性を下げる恐れもあるため注意が必要です。

専門業者に売る

デッドストックは企業にとって負担ですが、専門業者に売ることで新たな価値を生み出せます。
既に消費者に販売できないほど価値を失った在庫でも、専門業者にとっては使い道が残されていることもあります。
また専門業者はあらゆるマーケットやコレクターとの強力なネットワークを持っていることも多いため、販路を確保して在庫をすぐ現金化できるでしょう。

デッドストックを生み出さないためにできること

デッドストックが多いのは、生産計画の立て方や在庫管理の方法に問題があるからかもしれません。
在庫管理の最適化には、以下の方法が有効です。

需要予測

デッドストックを防ぐには、過去のデータと市場トレンドを分析し、消費者の動向を理解することが不可欠です。
例えば季節商品の需要予測を立てる際は、過去のどの時期にどれくらい売れたのかといったデータや、今年の気象予測などのデータが参考になります。
需要予測の方法としては、算術平均法や移動平均法、回帰分析法など統計学の手法が有効です。

在庫管理システムによる、リアルタイムトラッキング

在庫管理システムの機能の一つであるリアルタイムトラッキングにより、デッドストックを防ぐことができます。
リアルタイムトラッキングとは、リアルタイムで在庫のステータスを追跡できる機能です。
これにより在庫の動きを迅速に捉え、柔軟に在庫調整や生産計画を立てることが可能となります。
その結果、過剰在庫が減り、顧客ニーズに応じた的確な供給が実現するでしょう。

リーン生産方式の活用

デッドストックを防ぐ方法として、リーン生産方式が有効です。
リーン生産方式とは、トヨタ自動車が考案した生産工程の無駄を徹底的に排除した生産方式。
この方式で重視されるのは、「必要なものを、必要な時に、必要な分だけ生産する」ジャストインタイムという考え方です。
この方針に基づき、リーン生産方式では「かんばん」と呼ばれる視覚的なサインを使って、在庫を効率的に管理します。
このような取り組みにより、デッドストックをはじめとする在庫管理の無駄を最小限に抑えることができます。

まとめ

今回はデッドストック(dead stock)の意味や、ヴィンテージとの違い、デッドストックの解消法などを解説しました。
デッドストックとは売れずに残った在庫のことで、中古を含まない点がヴィンテージや古着と違います。
在庫を長期間抱えることは企業にとって経済的な損失につながるため、セールや専門業者への販売などを検討してみてください。

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