在庫管理や経営に携わっていれば、ABC分析という概念を耳にすることもあるでしょう。
ABC分析とはビジネスの世界で広く活用されているフレームワークで、上手く応用すれば事業の利益増大を図ることができます。
そこでこの記事ではABC分析の考え方とともに、Excelを使ったABC分析のわかりやすいやり方や事例について紹介します。
ABC分析を事業改善に役立ててみたい人は、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人:受発注ライフ編集部
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【わかりやすい】ABC分析とは?
ここではABC分析の考え方や目的について、わかりやすい解説をします。
ABC分析のやり方を知る前に、まずはその本質を理解しておきましょう。
評価軸を決めて商品を分類・管理するフレームワーク
ABC分析とは特定の評価軸に沿って商品をA、B、Cの順に分類する、パレートの法則に基づいたフレームワークです。
複数の商品を販売している企業では、予算や人手不足などの事情から全ての事業に注力できない場合があります。
そんな時、ABC分析の結果は企業がどの事業を最優先するべきかの判断材料となるのです。
例えばABC分析の評価軸を、売上高に設定したとします。
この場合、売上高が高い商品はAクラス、売上高が中程度の商品はBクラス、売上高が低い商品はCクラスと分類していきます。
経済統計から
パレートの法則とは「事象の80%は20%の要素によって生み出される」という考え方。
19世紀、経済学者ヴィルフレド・パレートによって提唱されました。
この法則は「全体は一部の要素から大きな影響を受ける」ということを表わしていて、ビジネスの世界で幅広く応用されてきました。
例えば「売上の80%は20%の商品から生み出される」という事例は、パレートの法則に当てはまります。
ABC分析の目的とは?
ABC分析の目的は優先すべき製品やサービス、顧客を明確化することで、予算や時間、人員などのリソースを再分配すること。
それにより、組織は効率的に利益の増大を図ることができるのです。
例えば複数展開している商品のうち、製品Aの売上高が1番高いことがわかったとします。
この時、製品Aの販売を促進することが企業にとって最も効率的に利益を上げる方法と考えれます。
ABC分析のメリットとは?
ABC分析は在庫や売上などのデータを分析し、重要なアイテムを特定するための有効な手法です。
A、B、Cクラスに分類することで下記のようなメリットがあります。
売れている商品を把握できる
ABC分析は売れている商品を把握するために有用です。
一見たくさん売れているように思える商品でも、売上高で計算してみるとそうでもなかったという場合もあります。
企業の売上のうち各商品がどれだけ貢献しているのか順位付けすることで、注力すべき商品を明確化できるのです。
売上推移を時系列で可視化できる
ABC分析では、売上推移を時系列として可視化することも可能です。
例えば月次、四半期、年次といったように時点ごとの売上を比較すれば、各時期に行った施策の効果を測定することもできます。
また会議などの資料としても、パレート図による売上推移は活用しやすいでしょう。
【ABC分析のやり方】ABC分類表を作成
ここではABC分析のわかりやすいやり方を紹介します。
Excelがあれば、数学が苦手な人でも簡単にできるはずです。
分析に使う売上データを準備し、Excelなどでまとめる
ABC分析を行うためには、まず売上データを準備してExcelなどの形式でまとめる必要があります。
データ上に、分析する商品の売上高を1つ1つ入力していきましょう。
入力が完了したら、Excelの並べ替え機能などを使って売上が高い順にデータを並び替えてください。
累積額、累積構成比を計算
次に売上の累積額と累積構成比を計算します。
累積構成比は各商品の構成比を足した値です。
上の表を例にとれば商品Bの累積構成比は、商品Aの構成比22%と商品Bの構成比19%を足し合わせた数値、41%となります。
設定したルールに沿ってA,B,Cのグループに分ける
続いて設定したルールに従って、商品をA、B、Cに分類しましょう。
上記のExcel表では、累積構成比を評価軸にして商品を分類。
さらに累積構成比が7割までの商品がA、7割から9割の商品がB、9割から10割の商品をCとしています。
【ABC分析のやり方】ABC分類表からパレート図を作成
ABC分類表が完成したら、次にパレート図を作成します。
パレート図とは分析項目を表わす棒グラフと、累積比率を表わす折れ線グラフを合わせた図です。
上のパレート図では売上高を棒グラフとして、A、B、Cの分類を表示しています。
視覚的ににわかりやすい形で各要素の影響力を捉えられるのが、パレート図の特徴です。
ABC分析の注意点
ここではABC分析の注意点を紹介します。
ABC分析をより効果的活用できるよう、注意点についても把握しておきましょう。
流行やシーズン限定商品には個別対応
流行商品や季節限定品では、一時的に売上が急上昇することが多いです。
これらの商品はたとえABC分析の結果Cグループに分類されたとしても、一時的にAグループの商品と同じ水準で売上が高まることがあります。
したがって流行商品や限定商品に関しては、ABC分析の結果を全てとは考えないようにしましょう。
Cグループの商品を切り捨てない
Cグループだからといって安易に切り捨てるべきではありません。
Cグループの商品だとしても長期的に販売されているのであれば、それを長年愛用しているファンがいるはずだからです。
またCグループの売上はAグループの売上と繋がってることもあるので、商品の販売終了を検討する際は注意が必要です。
ABC分析の事例
ABC分析の事例として、ある小売業者が商品の在庫管理にABC分析を導入したケースを考えてみましょう。
この小売業者は多くの商品を取り扱っていて、在庫管理の効率化が課題でした。
そこで、ABC分析を用いて商品を売上高ごとに分類します。
その結果を基に、Aの商品は常に在庫を切らさないよう余裕を持った在庫管理を行うことに。
一方でB、Cは全体に対する影響が少ないため、ある程度の在庫切れも許容することとしました。
クロスABC分析とは
クロスABC分析は2つの評価軸をクロスさせることで、商品の特性やパフォーマンスをより総合的に評価する分析方法です。
クロスABC分析では2つのABC分析を掛け合わせるので、3通り×3通りで9通りの分類が生まれます。
その結果から、9通りの分類はAA、AB~CCといったように区分されます。
例えば売上高と粗利率を掛け合わせてクロスABC分析することで、売上も粗利も高い商品を見付け出すことができるのです。
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まとめ
今回はABC分析やパレート図の考え方やExcelを使ったわかりやすいやり方、活用事例について紹介しました。
ABCの法則を応用すれば、企業の利益を効率的に生み出すことが可能となります。
一方で流行商品や季節限定品についてはABC分析が参考になりにくい傾向があるので、注意が必要です。
Excelを使えばABC分析やクロスABC分析は比較的簡単にできるので、ぜひ紹介したやり方を試してみてください。