軽自動車のプレートの中には、黒いプレートに黄色いナンバーが書かれたものがあります。
車のプレートといえば白が一般的ですが、黒ナンバーとは何を意味するのでしょうか。
この記事では黒ナンバーの意味や、取得のメリット、デメリット、取得方法を解説しています。
黒ナンバーの意味を知りたい人や、運送業を始めようとしている人は参考にしてください。
この記事を書いた人:受発注ライフ編集部
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軽自動車の黒いナンバープレートとは?
黒いナンバープレート、通称「黒ナンバー」とは、黒いプレートに黄色いナンバーが書かれたもの。
対象は営業用の軽自動車で、正式には貨物軽自動車運送事業に使う車両に適用されます。
この貨物軽自動車運送事業には運送業や郵送業が含まれ、個人でも届け出を出すことで開業が可能です。
黒ナンバーを取得する場合、一般のナンバープレートは返却しなければなりません。
黒以外のナンバープレートの意味
黒いナンバープレートを含め、日本には現在5つのナンバープレートがあります。
それぞれのナンバープレートの違いを見ていきましょう。
白ナンバー
白ナンバーとは、自家用車やレンタカー、消防車、救急車などの商用車に付けられるナンバープレート。
背景が白く、緑の文字で登録番号が記されています。
緑ナンバー
緑ナンバーとはタクシー、バス、引っ越しトラックなどの、商業用車両に使われているもの。
緑色の背景に白い文字で車両番号が表示されるため、一般の車両とすぐに識別が可能です。
黄色ナンバー
黄色ナンバーとは、自家用の軽自動車や軽商用車に付けられるナンバープレートを意味します。
背景が黄色で文字が黒いのが特徴です。
青ナンバー
青ナンバーが意味するのは、外交官が使用する車両ということ。
青ナンバーの車両は交通違反の対象にならなかったり、自動車税が免除されたり、様々な外交特権が認められています。
黒いナンバープレートを取得するメリット・デメリット
黒ナンバーの取得を検討している人は、そのメリット、デメリットを把握しておきましょう。
場合によっては、他のナンバープレートを取得したほうがいい可能性もあります。
メリット
黒ナンバーを取得するメリットは、営業用車両として合法的に貨物輸送ができる点です。
手続きは2日程度で終わり、車1台と自動車免許さえあれば、個人でも簡単に運送業を始められます。
緑ナンバーを取得する際には登録免許税がかかりますが、黒ナンバーにはそのような費用がかかりません。
さらに自動車税や重量税が自家用の軽自動車と比べ安く、コスト面でもメリットが多いです。
デメリット
黒ナンバーを取得するデメリットとしては、保険料が増えることです。
黒ナンバーとして営業する上では、任意保険に加入することが推奨されています。
この任意保険料は自家用車の保険料に比べて、2倍~3倍費用が高くなることも。
また軽貨物自動車を対象とした任意保険は限られており、選択肢が少ないのもデメリットです。
保険料が高くなる点は、特に小規模事業者にとって負担となることもあります。
黒いナンバープレートにかかる費用
黒いナンバープレートにかかる料金は、取得費用と税金、保険料の3つです。
黄色ナンバーと比べてどれくらい金額に差があるのかも解説します。
取得費用
黒ナンバーの取得費用は地域により異なりますが、ナンバープレートの発行料金はおよそ1,500円ほどです。
それ以外の取得費用としては、住民票、印鑑証明、車庫証明にかかる費用が必要となります。
全て合わせても、黒ナンバーは3,000円程度で取得できることが多いようです。
税金
黒ナンバーを取得すると、事業用の軽貨物車は重量税5,200円(2年分)と自動車税3,800円(年額)がかかります。
ちなみに黄色ナンバー(自家用の軽自動車)の重量税は6,600円、自動車税は5,000円です。
いずれも自家用よりも、黒ナンバーの方が安いことが分かります。
保険料
黒ナンバーとして営業する場合、自賠責保険だけでなく、任意保険に加入することが強く推奨されています。
黒ナンバーの自賠責保険は年額30,840円かかり、自家用車で23,150円なのと比べると高いです。
また任意保険は保険会社により費用が異なりますが、自家用車と比べると高い傾向があります。
黒いナンバープレートの取得条件
黒ナンバーを取得するためには、いくつかの条件を満たさなければなりません。
以下の条件に当てはまれば、個人でも申請可能です。
車両を1台以上所有している
黒いナンバープレートは、軽自動車を1台所有していれば取得可能です。
またリース車両など自分で所有していないケースでも、黒ナンバー取得の条件を満たしています。
以前は4ナンバー車のみが黒ナンバーの対象でした。
しかし令和4年より、軽乗用車にも黒ナンバーが適用されるようになり、副業としても運送業を始めやすくなりました。
営業所、休憩施設、車庫がある
黒ナンバーの取得条件の一つが、営業所、休憩施設、車庫があることです。
それぞれ賃貸でも構わず、個人の場合、自宅を営業所、休憩施設、車庫として申請することもできます。
さらに車庫は原則的に営業所に併設していなければなりません。
例外として営業所から半径2km以内に車庫を確保すれば、取得条件として認められます。
運送約款がある
黒ナンバーを取得する際は、運送約款を準備しておく必要があります。
運送約款とは、運送業者と顧客の間で契約内容をあらかじめ定めた文書のこと。
言い換えれば、契約条件に関する定型文で、同様の取引を行う度に使うものです。
自分で作ることもできますが、国土交通省が提供している「標準運送約款」を使うのが一般的です。
運行管理などの管理体制が整備されている
運送業を安全に営むための管理体制が整っていることも、黒ナンバー取得の条件です。
具体的には、車両の管理、従業員の指導体制、適切なルート計画などが整備されているかが求められます。
また事業を営む上では当然、管理者が必要となりますが、個人で営業する場合は本人を管理者に設定することも可能です。
安全や従業員の健康を守る目的で、このような規約が定められています。
損害賠償能力がある
運送業では事故が起こるリスクがあるため、損害賠償能力があることが取得の要件とされています。
対人事故が発生した場合、自賠責保険の範囲内で補償してもらえるのは最大でも3,000万円です。
しかし万が一大事故を起こした場合、3,000万円では賠償金を賄いきれない可能性があります。
そのため自賠責保険に加えて、任意保険への加入が業務を委託する際に必要となる場合が多いことを理解しておきましょう。
黒ナンバーの取得に必要な書類一覧
黒ナンバーの取得に必要な資料のうち、運輸支局に提出する書類を一覧にしています。
それぞれ運輸支局や国土交通省で入手できます。
対象車両の車検証の写し
黒ナンバー取得に必要な書類の一つが、使用する車両の車検証の写しです。
新車の場合、完成検査終了証など車体番号ができる資料を提出しましょう。
貨物軽自動車運送事業経営届出書
運輸支局のホームページから貨物軽自動車運送事業経営届出書をダウンロードして、必要事項を記載します。
正本とコピーの2部が必要です。
事業用自動車等連絡書
運輸支局か国土交通省のホームページからダウンロードできます。
運輸支局で押印を受けた後、軽自動車検査協会にも提出しなければなりません。
正本と控えの2部が必要です。
運賃料金設定届出書
運賃料金を設定した旨を通知するための文書で、運賃料金表とは別途必要となります。
正本と控えの2部用意してください。
運賃料金表
運賃料金表は、運輸支局のホームページから入手できます。
運輸支局にある見本を基に記載してください。
こちらも正本と控えの2部が必要となります。
黒いナンバープレートの取得方法
黒いナンバープレートの取得方法をまとめました。
取得の際は、運輸支局、軽自動車検査協会の2箇所で手続きする必要があります。
1. 運輸支局に必要書類を提出
上記で解説した5種類の必要書類が揃ったら、運輸支局に提出します。
正本のほかにコピーが必要な書類もあるので、提出前に必ず確認しておきましょう。
手続きが完了すると、運輸局で事業用自動車等連絡書にハンコを押してもらえます。
これはナンバープレートの発行の際に必要な書類なので、捨てずに保管しておいてください。
2. 軽自動車検査協会で車検証とナンバープレートを発行してもらう
次に軽自動車検査協会で黒ナンバーの発行をしてもらいます。
手続きに必要な書類は、運輸局で押印済みの事業用自動車等連絡書と車検証の原本、ナンバープレートが必要です。
車検証の所有者欄が自分以外の場合は自分の住民票も要ります。
なお事業用自動車等連絡書の有効期限は押印を受けてから1カ月以内、住民票は発行から3カ月以内のものが有効です。
以下のURLから京都運輸支局での黒ナンバーの届け出方法を確認できます。
黒いナンバーを取得するなら、代行もおすすめ
黒いナンバープレートの取得に不安がある人や申請に行く時間がない人は、代行サービスを利用するのがおすすめ。
代行業者に依頼すれば書類を書き間違いする心配もなく、スムーズに手続きを進めてもらえます。
代行費用の相場は2万円~4万円ほどと、個人でも支払える程度の金額です。
自分で手続きできるか心配があるなら、代行業者にお任せしたほうが確実でしょう。
まとめ
今回は黒いナンバープレートの意味や取得のメリット、デメリット、取得方法などを解説しました。
黒ナンバーが意味するのは、その車両が貨物運送業の軽自動車ということ。
黒ナンバーを取得せずに自家用車で事業を行うと違法になります。
黒ナンバーは個人でも取得しやすいですが、自家用の軽自動車と比べると保険料が高い点がデメリット。
メリット、デメリットを把握したうえで、黒ナンバーの申請を検討しましょう。