サプライヤーとは? ベンダー・メーカー・バイヤーとの意味の違いを網羅して解説!

安定したビジネスを継続するには、部品や原材料を供給するサプライヤーとの協力体制が必要不可欠です。
記事ではサプライヤーとは何かや、対義語の意味、メーカーとはどのような違いがあるのかについて簡単に解説。
間違えやすいベンダーやバイヤーの意味についても説明します。
業界別のサプライヤーの特徴やサプライヤーを選定・契約する際のポイントも紹介するのでぜひチェックしてください。

サプライヤーとは? 意味を簡単に解説

「サプライヤー」の意味とは何でしょうか。
サプライヤーの意味や関連用語について簡単にわかりやすく説明するので確認してみましょう。

サプライヤーとは?

サプライヤー(supplier)の意味とは、「商品やサービスを供給する人や会社」のこと。
ビジネスにおいては、自社商品を作るために必要な部品や材料、サービスを供給してくれる業者や個人を指します。
業種や業界、製造するものによってサプライヤーに該当する業者はさまざまです。
例えば化学品メーカーならその製品を作るのに必要な原料や部品を納めるメーカー、小売業なら卸売業者や商品の生産者が当てはまります。

サプライチェーンとは?

私たちが普段使う商品や製品は、多様な原料や部品が組み合わさって製造され、小売店などを経由して手元に届きます。
サプライチェーンとは、このように、ある商品が原材料の調達から生産、流通販売を経て消費者に提供される一連のプロセスを意味するのです。
工業製品だけでなく、海産物や農産物が生産者から消費者に届けられるまでの流れもサプライチェーンに当てはまります。

サプライヤーの対義語の意味は?

「サプライヤー」には対義語となる用語があります。
対義語の意味やどのような場面で使われるかなどを簡単に解説するので押さえておきましょう。

サプライヤーとバイヤーとの違い

「バイヤー」とは、買い手を意味する用語で、売り手を意味するサプライヤーの対義語です。
バイヤーは、商品やサービスの買い付けや仕入れを行う人や企業を指します。
アパレル業や流通、小売業、製造業でよく聞く用語で、企業によっては調達や購買と呼ぶことも。
サプライヤーも原料や部品を購入しますが、対義語となるバイヤーは仕入れた状態のまま市場に供給する点で違います。

サプライヤーとディストリビューターとの違い

「ディストリビューター」とは、サプライヤーと小売業者の中間に位置する業者で消費者に直接販売することはありません。
例えば、サプライヤーから提供されたものを小売店などに卸す代理店や商社などの中間業者がディストリビューターに該当します。
商品や部材を供給するサプライヤーの相手側という意味で、ディストリビューターはサプライヤーの対義語といえるでしょう、

サプライヤーとメーカーとの違いは?

サプライヤーと似た言葉に「メーカー」があります。
メーカーの意味や、サプライヤーとメーカーの違いを簡単に解説するので、混乱しないように以下を確認しましょう。

メーカーとは?

「製造者」を意味するメーカーは、サプライヤーから供給された原材料や部品を使って製品を設計・製造し、販売する企業です。
機械製品や食品、衣料品など製造するものによって業界が分かれます。
原材料のみを販売する業者や仲介業者はメーカーに当てはまりません。
メーカーは、素材メーカーや部品メーカー、部品を組み立てて製品を作る組立・加工メーカーなどに分類されるのが特徴です。

メーカー=サプライヤーの場合も

ある製品を製造するまでのプロセスにはいくつかのメーカーが関わり、メーカー=サプライヤーとなるケースもあります。
例えば原油や金属といった素材を作るメーカーから、素材から部品を作るメーカー、部品を最終製品に加工するメーカーといったプロセスです。
この流れでは、部品を最終製品に加工するメーカーから見ると、素材から部品を作るメーカーは「サプライヤー」です。

サプライヤーとベンダーとの違いは?

「ベンダー」もサプライヤーと間違えやすい用語です。
ベンダーとは、販売する人を意味しますが、ベンダーとサプライヤーでは供給する相手に違いがあるので要注意。
サプライヤーはメーカーに製品を供給しますが、ベンダーは消費者に製品を販売する役割を持ちます。
ただし、IT業界ではベンダーを製品の製造元・供給元として使うこともあり、業界によって意味が異なることも。

業界別にサプライヤーについて簡単に解説

業界によってサプライヤーの持つ役割は違います。
それぞれの業界ごとにサプライヤーとメーカーの関わりの例を簡単に見ていきましょう。

自動車業界

自動車を製造するには部品が何万点も必要といわれており、サプライヤーなくして自動車は製造できません。
最終製品である自動車を組み立てて販売するメーカーをトップとし、ピラミッドのように多くのサプライヤー兼メーカーが存在しています。
例えば自動車に必要な車体やワイヤーハーネスを製造するメーカー、そしてそのメーカーに部品や素材を供給するメーカーなどです。

IT業界

IT業界は、大手IT企業の下にいくつかの下請け会社が位置してヒエラルキーを形成している「多重下請け構造」が特徴です。
この場合、一次請けにとって二次請けがサプライヤー、二次請けにとっては三次請けがサプライヤーとなります。
顧客が大手IT企業にソフトウェア開発を発注した場合、その大手IT企業が二次請けや三次請けに開発を投げるケースが多いです。

建設業

建設業におけるサプライヤーとは、建材供給業者を指す用語。
サプライヤーにはディストリビューター(販売代理店)、ホールセラー(問屋)、ディーラー(建材店)といった業者があります。
ディーラーは販売のみでなく、住宅のメンテナンスや修理も行う場合も。
建設業のサプライチェーンでは、材料の生産待ち時間や先読み製造による在庫ロスなどが課題となっています。

旅行業界

旅行業界では、旅行会社が企画した旅行プランに対して、ホテルやバス、飛行機、レストランなどのサービスが必要です。
こうした宿泊施設や交通手段を提供する企業がサプライヤーで、旅行会社はあらかじめサプライヤーにサービスの提供を依頼します。
なお一般的に旅行代理店を通して旅行プランを購入する場合も多いでしょう。
その場合、旅行会社が旅行代理店にとってのサプライヤーになります。

アパレル業界

アパレル業界でも、完成したアパレル品が消費者に販売されるまでにいくつかのサプライヤーが存在します。
例えば、アパレルメーカーに糸や生地を供給する問屋や商社、その問屋や商社に糸や生地を提供する生産者がサプライヤーにあてはまるでしょう。
またアパレルメーカーが製造した衣料品を小売店が販売する場合、その小売店にとってはアパレルメーカーがサプライヤーとなります。

サプライヤーの選定・契約のポイントとは

企業にとって品質のよい資材を安定的に提供してもらうことが重要となるため、適切なサプライヤーを選定し契約することが大事です。
以下ではサプライヤーを選ぶ際のポイントを簡単に紹介します。

コストや納期など評価基準を明確にする

優れたサプライヤーを選ぶには、評価基準を決めておくことが欠かせません。
例えば、コストや納期、品質だけでなく、納品数や企業の経営状態、サポート体制、供給の安定性などもチェックする必要があるでしょう。
特に「QCD」に該当する品質、コスト、納期はサプライヤー選定に重要です。
品質が高くても、納期が長すぎたり、コストが高かったりする場合はサプライヤーとして契約するのは難しいでしょう。

実績の少ないサプライヤーもチェックしよう

サプライヤーを選ぶ際には情報収集を行いますが、現時点での実績だけを見るのではなく、将来性にも着目してみるのがおすすめです。
最初から有名どころの企業だけに絞っていると、優良サプライヤーを見逃す可能性があります。
新しい企業や小規模企業でも面白そうな事業を行っている場合も。
そうした企業ともつながりを持っていると、後々良い条件で契約できるかもしれません。

サプライヤーと良い関係を築く方法

質の高い商品を安定的に作るにはサプライヤーと良い関係を続けることが不可欠。
そのためには適切なサプライヤー管理が必要です。
さまざまな観点からサプライヤー評価や改善指導を行い、安定供給を目指しましょう。
アナログでサプライヤー管理をするのが難しい場合はシステム化するのも方法です。
またサプライヤーを下位として見るのではなく、適切な距離感を保ちながらビジネスパートナーとして対等に取引しましょう。

まとめ

サプライヤーの定義やバイヤーなどの対義語の意味、ベンダーとは何かなどについて簡単に解説しました。
製造業だけでなく、IT業界や旅行業界などにもさまざまなサプライヤーが存在します。
立場によっては自社がサプライヤーになる場合もメーカーになる場合もあり、どの視点で見るかで違います。
優れたサプライヤーとの契約や良好な協力体制を維持することで、自社の企業活動も安定するでしょう。

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