QCサークル活動の進め方や手法を解説 基本の現状把握や時代遅れと思われる理由も

製造業を中心に行われてきたQCサークル活動。
QC活動は労力のわりに成果が出ないこともあり、時代遅れという声も聞かれますが、QC活動の意味は本当にあるのでしょうか。
この記事ではQCサークル活動の意味や正しい進め方、活動を成功させるための鍵を紹介します。
QC活動の概要を知りたい人はもちろん、形骸化したQC活動を立て直したいと考えている人も参考にしてください。

QCサークル活動とは? 意味を解説

QCサークル活動のQCは「Quality Control」、つまり品質管理を意味します。
QCサークル活動とは、従業員の自主的な活動として品質管理を推進する取り組みです。
小集団改善活動とも呼ばれ、10人程度のグループを作って活動するのが一般的。
QC活動は品質管理を改善するだけでなく、小集団のチームワークを高めるメリットもあります。

QCサークル活動の基本要素

QCサークル活動の基本要素は人、グループ力、改善力、管理者の支援の主に4つです。
4要素全てが正しく機能することで、QCサークル活動を円滑に進めることができます。

QCサークル活動において重要な基本要素が人です。
QC活動は基本的に小集団で行われるため、一人ひとりの積極性が活動に影響します。
定期的な相互発表会やイベントへの参加などメンバーの熱意を高めましょう。
活動目的をチーム全体が理解し、個々が主体的に取り組むことが大切です。

グループ力

QC活動を成功させるため、グループ力は欠かせない基本要素です。
グループ力とは全員で協力することで相乗効果を生むこと。
必要に応じて役割分担を行ったり、メンバーが興味を持てるテーマを選んだりするなど、グループ力の向上を意識しましょう。

改善力

QCサークル活動では改善力も基本要素。
改善力を高めるためには、テーマ策定を慎重に行うことが重要です。
テーマは一部のメンバーが独断で決めるのではなく、チーム全員が問題として共有できるものにしましょう。

管理者の支援

管理者はQCサークル活動が目標を達成できるように導く責任があります。
ただし管理者がQC活動に参加するとメンバーのプレッシャーになる恐れも。
管理者は、グループの活動テーマやスケジュールなどを把握し、必要に応じてアドバイスやサポートを行いましょう。

QC活動の進め方

ここではQC活動の進め方を紹介します。
正しい手順に沿って活動を進めることで、QCサークル活動の効果を最大限発揮できます。

小集団のグループを作る

QCサークル活動の進め方のステップその1は、小集団のチームを作ることです。
人数は10人程度を基本として、その中から適任と思われるリーダーを選定しましょう。
人数が多すぎるとメンバー一人ひとりの発言力が薄まり、一部の声が大きな人の意見ばかりが優先されやすくなります。
一方で5名以下だと人数が少なく負担が大きくなるため、適切な人数にしましょう。

現状把握し、テーマ・目標を設定する

小集団を結成したら、次に現状把握とテーマ、目標設定を行います。
例えば不良品の頻出がテーマに上がった場合、具体的にどれくらいの数の不良品が出ているのか現状把握しましょう。
現状把握の上で不良品の削減を目標に設定し、目標削減量を考えます。
またテーマが複数上がった場合には、優先度の高い課題から取り組むようにしてください。

テーマに合ったQCストーリーを選ぶ

QCストーリーとは課題解決に向けた活動の進め方を意味し、以下のような方法があります。
1つ目は問題解決型で、これは今ある問題を解決して通常の状態に戻すやり方です。
次に課題達成型は、問題が無い状態からより理想的な状態に向上するための活動の進み方を意味します。
また、施策実行型は既に解決策が分かっている課題に対する解決手順のこと。
事故やミスをあらかじめ防ぐための未然防止策もあります。

原因を分析する

テーマに対する現状把握ができたら、次にその原因を分析しましょう。
原因分析には、特性要因図や散布図が有効です。
特性要因図とは問題とその原因と思われる事柄を線で結び付けて、問題の原因を追究する手法。
また相関図とは2つのデータの相関関係を表わす図で、問題と関係する要素を視覚的に発見することができます。

改善案を立てて実行する

続いて問題に対する改善策を策定し、実践してください。
例えば不良品の頻出がテーマの場合、目視作業を機械による検査に置き替えるなどの解決策が上がるでしょう。
改善策はリーダーの独断ではなく小集団全員で決めることで、良いアイデアが生まれます。
複数の改善策を組み合わせて行うと、より効果が発揮されやすくなるでしょう。

効果測定し、共有する

QCサークル活動の進め方、最後のステップは効果測定です。
改善策を行う前と行った後で、どれくらい問題が改善されたのか比較してください。
その結果はサークル内や関連部署に共有し、効果が確認できなかった場合には失敗の原因を特定しましょう。
そのようにしてトライ&エラーを繰り返すことで、少しずつ問題解決に近づいていくことができます。

QC活動が時代遅れといわれる理由

品質管理の改善において有効なQCサークル活動ですが、最近では時代遅れという理由で廃止されるケースも増えてきます。
ここではなぜ時代遅れといわれているのか、その理由を紹介します。

ノルマ達成や資料作成が目的化する

QCサークル活動が時代遅れといわれる理由の一つに、ノルマ達成や資料作成が目的化しやすいことがあります。
品質管理の課題には短期的な解決が難しいものも多いため、すぐにノルマを達成しやすいテーマが優先されがち。
またメンバーの惰性から、活動が資料作成の場に変わってしまうことも少なくありません。

活動の意味を実感できない

QCサークル活動を成功させるためには、根気強くトライ&エラーを続けることが大切です。
しかし活動期間が短い場合には効果が現れにくく、メンバーが活動の意味を実感できないこともあります。
そのためQC活動は、テーマに合わせて長期的に継続すると良いでしょう。

残業が増える

QCサークル活動は残業が増える一因となるため、時代遅れという声もあります。
メンバーそれぞれは通常業務とサークル活動も両立する必要があるためです。
そのため繁忙期など、状況によっては大きな負担になるでしょう。
QC活動の負担を減らすには、役割分担や活動頻度を見直す必要があります。

QCサークル活動を上手く行うには

時代遅れともいわれるQCサークル活動ですが、手法やプロセスを工夫することで効率的に成果を出すことができます。

「QCの7つ道具」「新QCの7つ道具」を使う

QCサークル活動に役立つのが、QCの7つ道具と新QCの7つ道具です。
QCの7つ道具と新QCの7つ道具はどちらも、品質管理における問題解決に使われる手法です。
具体的にQCの7つ道具に含まれるのは、グラフ、パレート図、ヒストグラム、散布図、特性要因図、チェックシート。
一方新QCの7つ道具には親和図法やPDPC法をはじめ、定性分析向けの手法が含まれています。
テーマが定量的に測定可能な際にはQCの7つ道具、そうでは無い場合には新QCの7つ道具を使うと効果的です。

成果を記録・共有し、フィードバックを受ける

QCサークル活動はすぐに効果が現れにくい地道な活動のため、マンネリ化しがちです。
しかし活動状況の記録を取りチーム全体に共有することで、次に取るべき行動が明確になり活動の停滞を防げます。
また上層部からのフィードバックを受けることで経営と活動の繋がりを再認識できるため、チームの士気が高まるでしょう。

まとめ

今回はQCサークル活動の意味や活動の基本要素、進め方などについて詳しく説明しました。
QCサークル活動は、職場の問題の現状を把握し改善を目的にした活動です。
進め方はテーマの種類や問題の背景により異なりますが、QC7つ道具などの手法を用いると分析しやすくなります。
時代遅れといわれることもあるQC活動ですが、適切なプロセスで進行すれば効果は十分に期待できるでしょう。

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