OJTは即戦力の育成に効果的な教育方法として、多くの企業で採用されています。
一方でOJTには、教育係の能力や人柄により、教育の質に差が出てしまうといった問題も。
そこでこの記事では、OJTに向いてない人と、向いてる人の特徴を紹介します。
自分にOJT担当としての適性があるのか知りたい人や、OJT担当を誰に任せるか悩んでいる管理職の人はぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人:受発注ライフ編集部
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OJTとは?
OJT(On-the-Job Training)とは、職場での実務を通じて必要なスキルや知識を身につける教育訓練のことです。
即戦力の育成を目的とした教育方法で、OJTにより新入社員や異動してきた社員が早期に職場に適応することが可能に。
また教育担当者もOJTを通して指導のスキルを磨くことができるため、個人だけでなく組織全体の成長にも繋がります。
OJTに向いてない教育係の特徴
ここではOJTに向いてない人の特徴を紹介します。
OJTに適性があるか知りたい人は、参考にしてください。
コミュニケーションが苦手な人
コミュニケーションが極端に苦手な人は、OJTに向いてない人です。
OJTでは、後輩に分かりやすく仕事を教える指導力が求められます。
後輩に伝えるべきことを上手く伝えられない、緊張して後輩と上手く接することができないといった人がOJTを担当するのは難しいでしょう。
自分の仕事を優先する人
新人教育よりも自分の仕事を優先する人は、OJTに向いてない人に当てはまります。
自分の仕事を優先するあまり新人教育が二の次になると、研修が滞り新人はいつまでも成長できません。
OJTの担当者は、自分の仕事と新人教育を同時並行で進めていく必要があります。
仕事を教える余裕がない人
自分の仕事が忙しすぎて後輩の面倒を見る余裕がない人は、OJTに向いてない人といえるでしょう。
仕事を教える余裕がない社員がOJT担当になると、研修時間が十分に取れずOJTの質が落ちる傾向があります。
また後輩側も忙しそうで余裕がない先輩社員には声をかけづらく、分からないこともなかなか質問できません。
後輩に親身になれない人
後輩にとって、OJTの担当者とは一番身近な先輩です。
先輩は自分のことを思って指導してくれているという気持ちが伝われば、厳しい指導や叱りの言葉も後輩は真摯に受け止めてくれるはずです。
しかし後輩を邪険に扱うような意地悪な先輩の言葉は後輩に届きにくく、OJTの効果が十分に発揮されなくなってしまいます。
OJTに向いてる教育係の特徴
OJTに向いてる教育係には、共通する特徴があります。
前述したOJTに向いてない人とは何が違うかを踏まえて、適性を判断してみてください。
企業理念を理解したうえで、全体観に沿った指導ができる人
OJTの目的は単に実務を教えることだけではなく、企業のビジョンを体現できる社員を育成することにもあります。
仕事の意義やその業務が企業の活動とどのような関わりがあるのかまで後輩に教えることができる人は、クオリティの高いOJTをできるでしょう。
マルチタスクに対応できる人
OJT担当者には自分の仕事を進めながら新人教育も両立する、マルチタスクの能力が求められます。
複数のタスクを抱える中でも、パニックにならずに新人教育ができる人は、OJTに向いてるといえるでしょう。
新人教育に主体的に取り組める人
後輩の成長を思って新人教育に主体的に取り組める人は、OJTに向いてる人です。
後輩と接する中で気になったことがあれば、それが実務とは少し離れたことでも指摘したほうが良い場面もあります。
また後輩が職場環境に馴染めるようサポートすることも、教育係の重要な役割です。
後輩想いの人
自分の仕事よりも新人教育を優先できる後輩想いの人は、OJTに向いてるでしょう。
後輩への愛情が本人にも伝われば、後輩は教育係の気持ちに応えようと一生懸命仕事に取り組んでくれるはず。
OJTにおいては、教える能力の高さと同じくらいに、後輩に愛情を持てるかどうかも重要なポイントです。
褒めるだけでなく、叱ることもできる人
褒め上手、叱り上手な人は、OJTに向いてるといえます。
後輩のことを思えば、褒めるだけでなく叱ることも時には必要です。
叱る際は頭ごなしになるのではなく、「何がダメで、どうすれば良くなるのか」を優しい口調で伝えることを心掛けましょう。
実務経験が豊富な人
OJTに向いてるかどうかは、役職の高さよりも実務経験の豊富さによるところが大きいです。
実務経験が豊富な人は、仕事の手順だけでなくコツや間違いやすいポイントも自分の経験に沿って教えることができるでしょう。
そのため実務経験豊富な人が教育係に付いたほうが、後輩へのOJTの質も良くなるといえそうです。
OJTは意味がないといわれる理由
昨今、ビジネスの現場ではOJTは意味がないのではという声も聞かれています。
以下に、OJTは意味がないと言われる理由をまとめました。
OJT制度が形骸化している
OJTの意味がないと感じるのは、制度そのものが形骸化しているからかもしれません。
OJTの目的が共有されていないと、教育係はOJTを実施する意味を理解できず「意味がないのでは」と疑問を抱いてしまいます。
今まで新入社員を育成する文化がなかった会社で急にOJTを開始した場合には、制度の形骸化が起こりがちです。
OJT制度が社内で整備されてない
制度が社内で整備されてないとOJTの効果が表れにくくなり、OJTは意味がないと捉えられてしまいます。
そういった場合には、OJTの目的や研修を通して新入社員に身に着けて欲しい能力、研修の計画などを具体的に設定しましょう。
また指導ガイドやマニュアルも用意することで、教育係は方向性を見失わずにOJTに取り組めます。
教育係のスキルが不足している
制度は整備されているにもかかわらず、それでもOJTの意味がないように感じるなら、教育係がOJTに向いていない人だからかもしれません。
教育係の指導方法に問題があるのであれば、上司が指導の仕方を教える必要があります。
そもそも教育係の実務経験が不足している場合、別の人に担当を変えたほうが良いでしょう。
OJTをする余裕がない状態を脱却するには?
教育係の中には、OJTをする余裕がないという悩みを抱えている人も多いでしょう。
ここでは自分の仕事と新人教育を上手く両立する方法を紹介します。
仕事の優先順位を付ける
OJTをする余裕がない場合でも、仕事の優先順位を付けることで状況が改善する可能性があります。
優先順位が高い仕事とは、一般的に期日が迫っている仕事や他の人から依頼された仕事です。
直近でするべき自分の仕事をTO DO LISTなどに書き出し、優先順位を振ってみましょう。
自分の仕事と新人教育の優先順位を設定することで、忙しい中でも焦らずOJTに取り組めるようになります。
新人教育のマニュアルを用意する
新人教育用のマニュアルをあらかじめ用意しておくと、OJTが効率的に進みます。
マニュアルがあればメモを取る時間などを短縮することができるので、研修がスムーズに進むでしょう。
また研修をする余裕がない時でも、後輩にマニュアルを使って自習してもらえます。
マニュアルを作るのには時間がいりますが、一度作れば来年以降の研修で使いまわせるので、長期的に見て効率的な方法です。
新人教育の負担を1人に集中させない
OJTの負担が大きい場合、教育係を複数人に分散させる手もあります。
例えば曜日や週ごとに研修担当者をローテーションして、引き継ぎながらOJTを進めていくことも可能です。
また一人に研修担当を任せる場合には、上司が教育係をサポートすることが重要です。
教育係が新人教育に専念できるよう、必要に応じて上司が業務量を調整しましょう。
OJTによる新人教育を成功させる方法
OJTによる新人教育を成功させるため、会社にできることを紹介します。
OJTの意味がないと感じている人は、以下の方法を試してみてください。
OJTのコンセプトや目標、カリキュラムを明確にする
OJTを成功させるためには、研修の目的や目標を明確にすることが重要です。
研修のゴール地点を把握することで、教育係も新入社員もお互い、目的意識を持ってOJTに取り組めるようになります。
研修の目標は、達成できたか後で確認できるよう、具体的に設定しておくのがポイントです。
研修前にOJTのカリキュラムを作り、教育係と新入社員双方に共有しておくと良いでしょう。
OJTを人事評価の対象にする
OJTを人事評価の対象にすることで、新人育成に対する教育係のモチベーションを上げることができます。
今まで研修よりも自分の仕事を優先していた社員も、OJTが人事評価になることを知れば、研修への取り組み方が変わるでしょう。
OJTの評価に当たっては、新人への指導方法は適切だったか、具体的な基準で評価することが重要です。
教育係へのサポート体制を設ける
教育係へのサポート体制を作ることで、OJTの質を向上することができます。
研修を通して教育係は自分の仕事との両立の仕方、仕事の教え方、後輩との接し方など様々な悩みを抱えます。
そういった問題に関して上司がサポートすることで、教育係は少しずつOJTのスキルを高めていくことができます。
またOJT担当者が指導方法や実務について訓練する機会を設けることも、OJTの質向上に有効です。
まとめ
今回はOJTに向いてない人、向いてる人の特徴や、OJTは意味がないといわれる理由などについて紹介しました。
OJTの教育係には向き、不向きがあるため、その人に合わせて上司がサポートすることが重要です。
また実務経験が少ない人や自分の仕事が忙しすぎて研修する余裕がない人は、そもそも教育係にしないほうが良い場合もあります。