仕事の目標管理シートや人事評価シートは、上司に自分の成長を客観的に見るために必要なツールです。
しかし事務職は成果を数字で表しにくい職種であるため、目標設定や自己評価はなかなか難しいもの。
そこでこの記事では、事務職の目標設定や自己評価の方法や例文、具体例を紹介します。
この記事を参考にして、自分にあった目標を見つけてみましょう。
【事務職】仕事の目標が思いつかない理由は?
事務職の仕事の目標が思いつかない理由は様々です。
これから紹介する項目のうち自分にあてはまる点は無いか、1度確認してみましょう。
目標を数値化しにくい職種だから
事務職は営業職や開発職のように、成果を可視化するのが難しい職種です。
一般的に事務職にはコミュニケーション能力や臨機応変な対応力が求められますが、これらの能力は数値に表すのが困難なことも。
特に電話対応や来客対応など正解が1つではないような仕事は、自己評価も難しく感じることがあるでしょう。
将来像をイメージできないから
すべての職種に言えることですが、自分のキャリアプランが決まっていないと仕事の目標も思いつかないものです。
事務職と言っても、経理や営業事務、採用などキャリアの方向性は様々。
仕事の目標が思いつかない場合、自分が事務の中でどの分野のエキスパートになりたいのか考えてみると良いでしょう。
毎日同じことの繰り返しだから
仕事の目標が思いつかない理由は、日々の同じ仕事の繰り返しにうんざりしているからかもしれません。
事務職は出張や外部の人と交流する機会も少ないので、仕事に張りあいが持てないと感じることも。
そういった場合には、今自分が担当している仕事を見直すなど新しいことに挑戦してみることが大切です。
仕事の意義を見いだせていないから
事務職は会社の運営に欠かせない重要な役割です。
しかし忙しい毎日の中、目の前にある仕事に追われていると仕事の目的を見失ってしまうこともあるでしょう。
仕事の目的が見出せずに困っている場合には、ベテラン社員に相談してみると糸口が見つかるかもしれません。
会社や部署のビジョンが理解できていないから
会社や部署のビジョンが理解できていないことも、仕事の目標が思いつかない理由に。
社長との距離が遠い大企業ほど、会社が何を目指しているのか見えにくくなります。
会社の方針と自分の仕事の意義を結びつけることができれば、目標に向かって頑張る気力も湧いてくるでしょう。
事務職が目標設定・自己評価する際のポイント
事務職が目標設定や自己評価をするには、定性目標と定量目標を設定することが大切。
定性目標とは数値では表せない行動や姿勢に関する目標です。
例えば「お客様からの問い合わせに迅速かつ丁寧に対応する」というのが定性目標。
客観的な達成度はわかりづらいものの、目的が明確になり努力の方向がブレにくくなります。
一方で定量目標とは数値で表せる具体的な目標。
例えば「一日に50枚以上の書類を処理する」といった目標です。
人事評価シート・目標管理シートに役立つSMARTの法則
人事評価シートや目標管理シートには、SMARTの法則が役立ちます。
SMARTの法則とは、目標を具体的かつ明確にするための5つの基準のことです。
1. Specific(具体的な目標)
SMARTの頭文字にあたるS、「Specific」はその目標が明確で具体的であるかということです。
具体的な目標とは、どんな状況で、どのように、どれだけの成果を出すかがはっきりと示された目標。
例えば「簿記を勉強する」という目標はあいまいですが、「1ヶ月後に簿記○級に合格する」という目標は具体的です。
2. Measurable(客観的に測定可能な目標)
2文字目のM、「Measurable」はその目標が客観的に測定ができるかどうかという意味を指します。
例えば「電話対応のスキルを高める」という目標は測定が難しいです。
その代わりに「引継ぎのスピードを上げるために、内線番号を覚える」と設定すれば、それが達成できたか自己評価ができるようになります。
3. Achievable(実際に達成可能)
3文字目のA、「Achievable」とは、目標が現実的に達成できるかどうかという意味。
目標が簡単すぎても難しすぎてもモチベーション低下になってしまいます。
例えば「今日中に100冊の本を読む」という目標を達成するのは現実的ではありません。
「今日中に1冊の本を読む」という目標なら、時間を管理すれば達成できる可能性が高いでしょう。
4. Related(組織目標との関連性)
SMARTの法則、4文字目「 Related」とは、自分の目標が組織の目標にどのように貢献するかを明確にすることです。
例えば年賀状担当の人が「年賀状を紙からメールに変える」と目標設定したい場合。
その目標が組織の目標である「SDGs」にどう関係しているかを説明できるとよいでしょう。
5.Time-bound(達成までの期限)
最後のT、「Time-bound」とは、目標を達成するために必要な時間を明確にすることです。
目標達成の期限が決まっていないと、取り組みがダラダラと延長してしまったり、後回しになったりする恐れも。
目標に向けての期限を決めることでいつまでに何をするべきか具体的なスケジュールを立てられます。
【事務職向け】 目標設定の具体例
ここでは仕事の目標が思いつかないという事務職の人におすすめの、目標設定の具体例を紹介します。
人事評価シートや目標管理シートの自己評価を作成する際にもぜひ参考にしてください。
業務の効率化
業務の効率化は経理、庶務など職種に関わらず、事務職が立てやすい目標設定です。
具体例としてまず、「この仕事を現状5時間で行っているが、4時間でできるようにする」などと設定すると良いでしょう。
続いてそれを達成する過程として、業務に自動計算ソフトを導入するなどの方法を決めておくのがおすすめです。
経費の削減
経費の削減も、事務職にとって重要な目標の1つです。
例えば備品発注担当の人であれば、「中古備品の使用を社内で促して、備品の発注にかかる費用を削減する」などの具体例が挙げられます。
この場合、その取り組みを実施する以前と以後でどれくらい経費の増減に変化が生じたのか数字で示す必要があります。
業務のデジタル化
業務のデジタル化は経費の削減や仕事の効率化、SDGsなど幅広い側面で効果が高く、事務職の目標設定としてもおすすめです。
具体例としては、紙ベースの書類の電子化や対面会議をオンライン会議に切り替えるなどが業務のデジタル化に当てはまります。
ミスの削減
ミスの削減は、ベテラン社員はもちろんまだ担当業務の少ない若手でも立てやすい目標。
例えば「チェックリストを作成することで業務上の見落としを無くす」、「ダブルチェック体制を作ることでケアレスミスを無くす」などが具体例です。
資格の取得
資格の取得も、人事評価シートや目標管理シートに書きやすい事務職の目標設定です。
自分の業務と結びつきのある資格をぜひ目指してみましょう。
例えば、総務全般に活かせる資格であればMOSやITパスポート、経理であれば簿記、貿易事務であればTOEICなどがおすすめです。
業務のマニュアル作成
自分の担当業務のうちマニュアルが無い業務があるなら、マニュアル作成を人事評価シートの目標にするのがおすすめ。
マニュアル作成は、新人研修を効率化させるだけでなく属人化の防止にも繋がるため上司から高く評価されるでしょう。
マニュアル作成の際は、イラストを適度に盛り込むとわかりやすくまとまります。
【事務職向け】 人事評価シートの目標設定例文
ここでは人事評価シートに書く目標の例文を紹介します。
目標管理シートに何を書くべきか、仕事の目標が思いつかない人も必見です。
例文1
現在紙で管理している売り上げ管理表をオンラインデータに切り替えることで、紙にかかる消耗品費を○○%削減する。
例文2
○月までにMOSを取得することで、○○の仕事にエクセル、ワード、パワーポイントを活かせるようにする。
例文3
○○の仕事にチェックリストを導入する。
その結果として、現在月に○回ほどあるケアレスミスをゼロにする。
例文4
ホームページにお客様問い合わせフォームとQ&Aのページを作成することで、電話での問い合わせ件数を○○%削減する。
例文5
○○の業務のマニュアルを作成し、新人研修に活用する。
その結果として、現在2カ月かかっている新人研修を1ヵ月半に短縮する。
例文6
備品購入費用を削減するため、各備品ルートの再検討を行う。
また中古備品の回収ボックスを作り社員にその使用を促すことで、年間の備品購入費用を○○%削減する。
例文7
内定者面談を年間○回行い内定者の不安や悩みを社員が聞く機会を増やすことで、内定辞退率を○%削減する。
例文8
現在営業からの受注連絡を主に電話で行っているが、それを営業が直接オンラインフォームに入力できるような仕組みを構築する。
その結果受注ミスを年間○%削減する。
まとめ
この記事では事務職が目標設定する際に参考になる例文や具体例を紹介しました。
事務の中には電話対応など成果が目に見えにくい業務が多くあるため、事務職の目標設定は難しく感じることもあるでしょう。
しかし目標管理シートや人事評価シートは上司に自分の成長をアピールする大切な手段なので、疎かにはできません。
ぜひSMARTの法則や定性目標と定量目標の違いを意識して、具体的な目標を設定してみてください。