近年、人手不足やビジネス環境の変化といった背景から、フォロワーシップがある人が重視されるようになりました。
しかしリーダーシップの意味は知っていても、フォロワーシップは聞きなじみがないと感じている人も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事ではフォロワーシップの意味やリーダーシップとの違いを詳しく解説。
さらにフォロワーシップの具体例や、間違ったフォロワーシップがはらむ危険性も取り上げています。
この記事を書いた人：受発注ライフ編集部
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フォロワーシップとは
フォロワーシップとはリーダーを主体的にサポートしながら、他のメンバーに働きかける能力のこと。
フォロワーには「従う者」という意味がありますが、その役割は単にリーダーの指示に従うことではありません。
良いフォロワーは組織の目標達成に向け自律的に行動し、リーダーの意見が間違えていると感じた時には自らも意見を言います。
組織運営においては、リーダーシップと同様にフォロワーシップも欠かせません。
フォロワーシップの5分類
フォロワーシップには、模範型、孤立型、順応型、消極型、実務型の5分類があります。
それぞれのフォロワーシップの意味、特徴を簡単に解説するので見ていきましょう。
模範的フォロワーシップ
模範的フォロワーシップは、簡単にいえばフォロワーシップの理想形です。
このタイプはリーダーに建設的な提言を行いながら、他のメンバーとも協調できるため、上からも下からも慕われます。
リーダーの「右腕」と言われることも多く、チームへの貢献意欲が高いのが特徴です。
孤立型フォロワーシップ
孤立型フォロワーシップは、批判的意見を主張するものの組織には積極的に関わらない姿勢のこと。
チームプレーに不向きで一匹狼タイプといわれます。
元は模範的フォロワーだった人が、組織への不満などから孤立型になる場合も。
不満を改善できれば、メンバーと良い関係を築く模範的フォロワーに変わる可能性を持ちます。
順応型フォロワーシップ
孤立型フォロワーシップとは対照的に、チームに関与はするが自分の意見を主張せずにリーダーに従順な姿勢を取ります。
簡単にいえば「イエスマン」で、基本的にリーダーへの批判は行いません。
しかし根は素直で真面目なことが多く、リーダーを陰からサポートしたり、組織の士気を高めたりすることができます。
消極的フォロワーシップ
5分類の中で最もフォロワーシップが低いのが、消極的フォロワーシップです。
組織への貢献意欲が低いうえに、自分の意見を言うこともせず、必要最低限の仕事しかしません。
もともとの消極的な性格や、業務や立場への諦めが理由で消極的フォロワーになる人もいます。
実務型フォロワーシップ
リーダーに与えられた範囲で仕事をこなすが、それ以上のことはしないタイプのフォロワーシップです。
簡単にいえば中立派で、批判能力も組織への貢献意欲もそれなりに持ち合わせています。
しかし衝突や失敗を恐れ、保守的な行動を取る傾向があります。
フォロワーシップとリーダーシップ、メンバーシップとの違い
フォロワーシップと似た概念に、リーダーシップとメンバーシップがあります。
どちらもビジネスにおいて重要な考え方なので、意味とともにフォロワーシップとの違いも理解しておきましょう。
リーダーシップとの違い
リーダーシップとは、メンバーをまとめ行動を促すことで、組織を前進させる能力を意味します。
リーダーの仕事とは、組織のビジョンや目標を示すこと。
それに対しフォロワーは、リーダーの考えを理解し、それを達成するための具体的な行動を起こします。
またリーダーシップは最終的な意思決定権を含みますが、フォロワーシップは含まないのも相違点です。
メンバーシップとの違い
メンバーシップとは、組織の一員として責任を持ち、ルールや役割を守りつつ協力する姿勢です。
一方、フォロワーシップは、リーダーに従い、支持しながらも主体的に行動し、チームに貢献する姿勢を指します。
つまりメンバーシップはグループ全体への貢献に焦点を当てているのに対し、フォロワーシップはリーダーを支える役割に重きを置いているのが違いです。
フォロワーシップの重要性
リーダー、メンバー双方にとって、フォロワーは無くてはならない存在。
フォロワーシップは、ビジネスにおいてどのような重要性があるのか、簡単にわかりやすく解説します。
リーダーの負担軽減
昨今フォロワーシップが求められるようになった背景には、リーダーの負担増加があります。
日本社会では少子高齢化が進んだことにより、多くの業界で人手不足が深刻化し、管理職の負担が増加しました。
そこでリーダーの仕事を支える役割として、フォロワーシップが重視されるようになったのです。
リーダーだけが全てを背負うのではなく、フォロワーが自ら考え行動することで、リーダーの負担を減らすことができます。
組織の活性化
リーダーの仕事はビジネスのビジョンを示すことで、具体策はチーム全体で考えることも多々。
そこでフォロワーが先頭を切って、具体的な戦略を提案しメンバーに働きかけることで議論がスムーズに進みます。
フォロワーを通して部下もリーダーに意見を言いやすくなり、個々の意見がプロジェクトに反映されるでしょう。
フォロワーシップがある人の特徴
フォロワーシップがある人には、主体性、コミュニケーション能力、リーダーシップなど様々な能力が備わっています。
主体性がある
フォロワーシップがある人の特徴の一つは、受け身でなく主体性を持って行動できることです。
リーダーの指示を待つだけでなく、自分から積極的に提案し、周囲のニーズを把握してサポートします。
こうした主体性のあるフォロワーは組織全体に貢献し、リーダーからも同僚からも信頼される存在となるでしょう。
臨機応変に対応できる
フォロワーシップがある人は、臨機応変に対応できます。
フォロワーは、リーダーが不在の時など状況によっては自らがリーダーシップを発揮しなければなりません。
常にリーダーの補佐として、トラブルへの対応、リーダーのサポートなどの柔軟な対応力が求められます。
コミュニケーション能力がある
コミュニケーション能力があることも、フォロワーシップがある人の共通点。
フォロワーはリーダーとメンバーのいわば橋渡しであり、お互いの関係を良好に保つこともフォロワーの重要な役割です。
リーダーやメンバーに積極的に話しかける姿勢が、フォロワーに求められます。
クリティカルシンキングが身に着いている
フォロワーシップがある人は、クリティカルシンキングが備わっています。
クリティカルシンキングとは、感情や先入観にとらわれず、客観的かつ論理的に情報を分析し適切な判断を下す思考法です。
リーダーの意見に対して建設的な議論を行うためには、このクリティカルシンキングが必要となります。
間違ったフォロワーシップの危険性
間違ったフォロワーシップは危険性を伴うことも。
ここではフォロワーシップがチームにとって逆効果になる具体例を紹介します。
リーダーとメンバーの関係が希薄になる
フォロワーがいることにより、メンバーとリーダーの関係が希薄になる危険性があります。
フォロワーはチームの意見をメンバーに代わってリーダーに伝えたり、反対にリーダーの意見をメンバーに共有したりします。
この過程の中でメンバーとリーダーが直接的に話す機会が減るため、お互いの関係も希薄化しやすいのです。
連携不足が生じる
フォロワーシップが上手く機能しないと、メンバーとリーダーの間の連携不足が生じる危険性があります。
リーダーからチーム全体への共有事項があった際は、フォロワーがリーダーに代わってチームに共有することがあります。
しかし重要な事項に関してはリーダーから伝えないと、メンバー間でも事実誤認が生じやすいです。
フォロワーが受け身
フォロワーが受け身の場合、リーダーの独断で間違った判断がくだされる危険性があります。
リーダーは必ずしも正しい判断をできるわけではないため、時にはフォロワーがリーダーの考えを批判しなければなりません。
しかしフォロワーにこのような能力がないと、チームが間違った方向に進んでしまいます。
建設的な議論ができない
建設的な議論とは、相手の立場や状況を理解したうえで、状況をより良くするための話し合いをすること。
これとは反対に、フォロワーが感情だけでリーダーを批判したり、議論を主体的に進められなかったりすると、フォロワーシップは十分に発揮されません。
正しいフォロワーシップの具体例
正しいフォロワーシップの具体例を紹介します。
チームを成功に導くためには、フォロワーが以下のような行動を取ることが重要です。
リーダーに自分の意見を伝える
健全なフォロワーシップの具体例として、リーダーにフォロワーが自分の意見を言えることがあります。
現場を知っているフォロワーは、リーダーとは違う観点を持っているはずです。
リーダーの意見や行動に対して何か気付きがある場合には、提言を行うことがフォロワーシップにおいて重要です。
積極的に仕事を引き受ける
フォロワーには、リーダーの仕事を積極的に引き受ける姿勢が求められます。
リーダーの補佐として、フォロワーにできる仕事はできるだけ手伝うことが重要です。
そうすることで、リーダーは最大限のリーダーシップを発揮し、チームを良い方向に導いてくれるでしょう。
組織全体のために行動する
組織全体のために行動できることも、正しいフォロワーシップの具体例です。
必要最低限の仕事をこなすだけでは、フォロワーとしては努力不足です。
フォロワーは組織をより良くしたいという強い意識を持ち、それを行動に起こす主体性も持ち合わせている必要があります。
未来志向で考える
フォロワーシップには、どんな時でも前向きでいられるタフな精神も不可欠です。
ビジネスや組織においては、トラブルに見舞われたり目標が達成できなかったりすることもあります。
そんな時もフォロワーは諦めず、現状を打破する方法をチーム一丸となって模索していかなければなりません。
リーダーの意思決定をサポートする
正しいフォロワーシップの具体例として、リーダーの意思決定を全力でサポートすることが挙げられます。
リーダーが良い判断を行うためには、フォロワーが建設的な議論を進めることが重要です。
フォロワーはリーダーの独断を止めることができる立場にあり、組織の未来を担っています。
まとめ
今回はフォロワーシップの意味やその重要性と危険性、具体例を解説しました。
フォロワーシップとリーダーシップは似た概念ですが、その大きな違いは最終決定権を含むかどうかです。
フォロワーシップには最終決定権を伴いませんが、リーダーを正しい方向に促すうえで重要な役割を果たします。
しかしフォロワーシップはやり方を間違えるとビジネスや組織を停滞させる危険性もあるので、正しいフォロワーシップを理解しましょう。
