営業倉庫とは? 基準や定義、営業倉庫と一般倉庫の違いや倉庫の種類も解説

a building that has a lot of benches in front of it

営業倉庫と一般倉庫の違いとはどのような点にあるでしょうか。
本記事では、営業倉庫とは何かといった基礎的な知識から、営業倉庫と一般倉庫の違いや倉庫の種類などについて解説しています。
営業倉庫にはさまざまな基準や決まりがあるため、利用する側も運営する側もよく気を付ける必要があります。
営業倉庫とは何か知りたい人はぜひ参考にしてみてください。

営業倉庫とは? 基準を確認

営業倉庫とは、国土交通大臣の登録を受けた営業目的に利用される倉庫のことと定義されています。
登録を受けるためには倉庫業法に基づいた防火対策、防塵対策などが必要になるため、どのような倉庫でも認定されるわけではありません。
もし、未登録にもかかわらず営業してしまうと罰則や罰金の対象になるので注意しましょう。

営業倉庫と自家用倉庫(一般倉庫)の違い

営業倉庫と自家用倉庫(一般倉庫)の違いを説明します。
倉庫業に基づく営業倉庫とは、第三者から荷物や物品を預かることでお客様から対価を得ます。
自家用倉庫とは、自分の会社の商品を保管するために利用するもので営利目的ではありません。
自家用倉庫は自社の敷地内に設置されていることが多く、自社で製造した商品を保管することなどを目的に活用されています。

営業倉庫の特徴を解説

営業倉庫と一般倉庫の違いがあることは分かったものの、営業倉庫にはどのような特徴があるのか気になる人もいるでしょう。
ここでは、その特徴を解説します。

営業倉庫の施設は厳しい基準をクリア

営業倉庫の登録を受けるためには、一般の建築物よりも非常に厳しい基準を満たさなくてはなりません。
倉庫の種類によって、外壁や床の強度、防火性、耐火性などの基準が倉庫業法で設定されています。
営業倉庫ではそうした厳格な基準をクリアすることが求められます。

倉庫寄託約款の義務

営業倉庫には、倉庫寄託約款が定められています。
約款とは契約を結ぶうえでの決めごとを意味し、個々に契約をしなくても何かトラブルが起きたときは約款に沿った処理が可能です。
倉庫業を開始するためには「あらかじめ倉庫寄託約款を国土交通大臣に届け出ること」が倉庫業法で義務付けられています。

貨物の火災保険は倉庫業者がかける

営業倉庫では火災が発生する可能性もあるため、火災保険に加入しなければなりません。
その際の保険は、倉庫業者の負担でかけると定められています。
営業倉庫の火災保険料は、特約により一般の建築物よりも安い金額に設定されています。

倉庫業法における営業倉庫の種類と定義

ここでは、倉庫業法における営業倉庫の種類とそれぞれの定義について解説します。
いくつか種類があるので、違いを確認してみましょう。

普通倉庫

普通倉庫とは、農業や製造業、鉱業の製品や原料はもちろん、農作物や食品、紙、金属や原油などさまざまな物品を保管する倉庫と定義されています。
また、場合によっては家財や美術品のような個人の持ち物を保管することも可能。
普通倉庫といっても、保管する物品の種類や耐火性などによりいくつかの種類があるのが特徴です。

冷蔵倉庫

冷蔵倉庫とは、10°C以下の低い気温で保管する物品のための倉庫です。
魚や肉などの生鮮食品や、冷凍状態で保管する必要のあるものが対象で、第8類物品にあたる物品を保管することが目的です。
保管温度が常に10°C以下を保つ必要があることから、国土交通大臣の定める基準をクリアしなければなりません。

水面倉庫

水面倉庫とは、原木などの木材を川や海などに浮かべて保管する倉庫と定義されています。
水面倉庫の保有にあたっては、保管している物品が流れないように対策を行わなければなならないなどの基準があります。
水面で保管するのが目的の倉庫なので、第5類物品に該当する原木以外の物品は水面倉庫の保管対象になりません。

普通倉庫の種類

普通倉庫にはさまざまな種類があります。
間違えないように、それぞれの定義をしっかり確認しておきましょう。

一類倉庫

一類倉庫とは、もっとも厳しい設備や構造基準を満たした倉庫のことと定義されています。
防湿はもちろん耐火、防火などの性能が備わっているのが特徴で、防犯装置だけでなくネズミを防止する設備も。
性能が非常に高いため、日用品だけでなく繊維、紙やパルプ、機械などさまざまな物品を保管することが可能です。

二類倉庫

二類倉庫とは、一類倉庫の性能のうち耐火、防火性能以外が備わってない倉庫と定義されています。
そのため、紙のような燃えやすいものは基本的に保管できません。
塩や野菜、果実、肥料、セメントなど第2類から第5類にあたる物品が主に保管の対象となっています。

三類倉庫

三類倉庫とは、耐火、防火性能だけでなく防湿、防水性能や遮熱措置などが備わっていない倉庫のことです。
そのため、湿気や気温の変化に弱い物品は保管できないのが特徴。
三類倉庫で保管できる物品としては、基本的にガラス類や陶磁器などのような第3類から第5類にあたる物品が対象となっています。

野積倉庫

野積倉庫とは、周囲が塀や柵だけでなく鉄条網で守られ、消火設備や防犯のための照明装置、保管物が落下しないような対策が取られた倉庫のこと。
これらは野積倉庫を設置するための必須条件です。
野積倉庫で保管される物品は、レンガや瓦、鉱石、土石などの第4類から第5類にあたる物品が基本となります。

貯蔵槽倉庫

貯蔵槽倉庫とは、タンクやサイロで保管する倉庫のこと。
主に小麦や大麦、トウモロコシ、液体などの第1類から第2類にあたるバラ物品が保管されます。
防火性能と防水性能が備わっており、場合によっては防火区画の設置や災害防止措置を行う必要があります。

危険品倉庫

危険品倉庫とは、消防法に基づいた危険物や高圧ガスなどを保管するための倉庫と定義されています。
そのため、倉庫を設置するための基準は非常に厳しくなっているのが特徴。
防火や防水、防湿性能を備えるほかに、周囲を柵や塀、鉄条網など防犯対策を取る必要があります。

トランクルーム

トランクルームとは、家財や骨董品、楽器のような個人の財産を保管するための倉庫です。
また国土交通大臣から認定されたトランクルームは、認定(優良)トランクルームと呼ばれ、倉庫業法が適用されます。
そのため認定トランクルームは、ほかのレンタル収納スペースよりも管理体制がしっかりしているのが特徴です。

営業倉庫で注意するポイント

営業倉庫では、一般倉庫と違い気を付けたい点がいくつかあります。
ここでは、注意するポイントを紹介するので確認してみましょう。

国土交通省の登録を受けているか

営業倉庫を選定するときは、国土交通大臣の許可を受けているかチェックしましょう。
倉庫業法において定められた義務であるため、許可がない事業者は違法行為を行っていることになります。
倉庫業者は火災保険に加入しなければならないため、もしものときでもしっかり補償が受けられます。

倉庫の種類と利用用途は合っているか

倉庫の種類によって保管できる物品は違うため、利用用途が合っているか確認する必要があります。
さまざまな商品を扱っている場合や、今後取り扱いする商品が増えることが予想される場合は、預けられる幅が広い倉庫を選ぶのがポイント。
倉庫の種類と自分が預けたい荷物の種類をよく考えておきましょう。

保管料や変動費をチェック

営業倉庫の料金は、保管料のような固定費と庫内作業の変動費によって決まってきます。
これらは基準がないことから企業によって大きく異なるため、事前にしっかり確認しましょう。
ただし、保管料が安くても倉庫が遠くて物資を運搬するコストがかかり、割高になってしまうこともあるため注意が必要。

倉庫の広さや立地、収容能力をチェック

保管したい物品が増えても大丈夫かどうか、倉庫の広さや立地、収容能力をチェックすることも大切。
たとえば急に需要が増えたときなど、一次的な物品の変動に対応できるかは重要なポイントです。
物流倉庫では物品の保管以外にもピッキングや配送などの業務を委託することもあるため、あらかじめチェックしておきましょう。

まとめ

記事では営業倉庫の定義や基準、営業倉庫と一般倉庫の違いを解説しました。
営業倉庫とは、国土交通大臣の登録を受けた営業目的に利用される倉庫のことで、厳しい基準をクリアしているのが特徴。
営業倉庫と一般倉庫の違いは、営業倉庫が第三者の物品を預かるために利用され、自家用倉庫は主に自社商品を保管するために利用される点です。
営業倉庫の種類はいくつかあるので、間違えないようにしっかり理解しておきましょう。