【人日・人月とは】工数計算について解説 管理する意味や出し方も

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納期や締め切りのある仕事をしていれば、作業がなかなか計画通りに進まずに困ることがあるでしょう。
そんな時、作業計画の見直しや業務の効率化に役立つのが工数です。
この記事では工数の意味や計算方法、メリットを解説します。
工数はエクセルなどのツールを使って簡単に計算できるので、ビジネスに活用してみたい人はぜひ参考にしてください。


この記事を書いた人:受発注ライフ編集部

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工数とは?

初めに、工数とは何かを紹介します。
工数を理解することにより、最終的には作業予定をうまく作れるようになりましょう。

工数とは作業完了にかかる人数と時間

工数とは、作業開始から完了までにかかる人数と時間を表わす指標で、製造業やシステム開発の分野で主に使われています。
各工程でどれだけの人員と作業量が必要かを表にすることで、作業効率の向上につながります。

工数管理の重要性

工数管理はビジネスの作業計画作成に役立ちます。
計画通りに業務を進めることができないと、無駄な労働コストがかかるだけでなくプロジェクトの失敗を招く一因にも。
そのようなリスクを避けて作業の効率化や適切な人員配置をするために、工数管理は不可欠なのです。

工数の単位

ここからは工数の単位について紹介します。
工数の単位は人時、人日、人月に分かれるので、それぞれの違いを理解してください。

人時

人時とは、作業メンバーが1時間でこなせる作業量の意味。
これは工数を考える際の最小単位であり、人時を基準に1日の予定を細かく管理します。
また、作業者同士のパフォーマンスの違いを比較する際のツールにもなります。
人時は英語で「Man hour」で、MHという略語で表記することも可能です。

人日

人日とは、作業メンバーが1日単位でこなせる作業量を意味しています。
人日を設定する際は、休憩時間などを含まず実際に作業している時間だけを前提に見積もるのがポイントです。
英語で人日は「Man day」と表記し、MDという略語でも通用します。

人月

人月とは作業メンバーが月単位でこなせる作業量を意味する言葉。
人月は作業に長期間を要する作業に利用されることが多く、例としては土木工事の現場などの長期のプロジェクトに用いられます。
人月は英語で「Man month」で、MMという略語でも表記可能です。

工数の計算方法と見積もりの出し方

ここからは、実際に工数を計算する方法と見積もりの出し方について紹介します。
基本的に工数の式は時間×作業人数ですが、人時・人日・人月によって出し方が異なるので注意しましょう。

人時

人時の計算方法は、「作業時間(時間数)×作業人数(人)」です。
例えば5人で3時間かかる作業をするなら、3時間×5人=15人時という出し方で算出します。
また工数に含まれる人員は途中で追加することも可能です。
例えば5人で3時間作業した後に、2人加わり7人で1時間作業した場合の計算方法は以下の通り。
(3時間×5人)+(1時間×7人)=22人時

人日

人日の出し方についても人時と同様で、「作業時間(日数)×人数」の計算方法で算出します。
5人で5日かかる作業ならば、5日×5人の計算方法で、工数は25人日です。
また人日から、作業日数や人数を逆算することも可能。
例えば50人日の作業を10人で行うなら、50人時÷10人=5日の出し方で計算できます。
また50人日の作業を5日で行う場合、50人時÷5日=10人。

人月

人月の出し方も「作業時間(月数)×作業人数」と、人時や人日と同様の算出方法です。
5人で3か月かかる作業の工数は15人月となります。
逆算では、30人月かかる工数を5人で行う場合には、30÷5=6か月というように計算することが可能です。
数か月単位かかる大規模なプロジェクトの工数を求めたい場合には、人月を活用しましょう。

工数計算をする意味・メリット

ここからは工数計算をする意味とメリットを紹介します。
ビジネスにうまく取り入れることで、様々な恩恵を受けられるのでよく見ていきましょう。

作業やプロジェクトの進捗・スケジュール管理がしやすい

工数管理のメリットの1つは、作業進捗やスケジュール管理がしやすくなることです。
エクセルなどを使ってあらかじめ工数の見積もりを立てておくことで、作業に必要な時間や人員、作業の終了予定日を把握することが可能。
また工数通りに作業が進まなかった場合、気付いた時点で人員を増やすなどの対策を取り、業務の遅延を最小限に抑えることができます。

利益を確保し、コスト削減につながる

工数管理をうまく行うことによって、無駄な人件費を減らし組織の利益を増やすことが可能です。
例えば本来3人で10時間あれば終わる作業を、5人で10時間かけて行っていたとします。
この場合に組織が無駄にした利益は、2人分の人件費と労働時間。
このような無駄をなくし人員や時間の分担を最適化することが、工数管理を行う意味です。

精度の高い見積もりで信頼を得られる

工数を活用して予算や作業完了日を計算することで、精度の高い見積もりを作成できます。
工数計算では作業に必要な人数と時間を算出できるため、人件費などの予算を見積もりに反映させることができるのです。
予算が正確に出せればビジネス相手から「見積もりよりも費用がかかった」という不満を抱かれるリスクも減り、顧客満足度の向上につながります。

工数管理で大事なポイント

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工数管理をする際には、大事なポイントがいくつかあります。
ここからは、実際に工数管理をうまく行うためのポイントを見ていきましょう。

クライアントにしっかりヒアリングを行う

工数管理を行う際は、事前段階でクライアントに作業内容についてヒアリングをしっかり行ってください。
作業を進めるにあたって見切り発車をすると、作業量・必要人数・時間の予定が建てられません。
正確な工数を出すためには、仕事内容を事前にしっかりと確認することが不可欠です。

プロジェクトメンバーのスキルと稼働状況を把握

メンバーによって、作業にかかる時間には違いがあるはずです。
それを考慮せずに、違う能力の人を同じ作業時間や作業量ができるものと見積もると予定が乱れます。
そのためメンバーの能力に開きがある場合は、作業員1人1人がどのくらいの工数で作業できるのか逐一確認してください。

工数にはバッファを設ける

工数を設定する際に重要なこととして、バッファを設定することが挙げられます。
バッファとはゆとりや休息という意味で、作業を詰め込みすぎずに休息時間を設けるようにすることです。
人間の体力には限度があり適度な休息を入れないと作業効率が下がるので、作業計画には予定を詰めすぎないことが求められます。

メンバーに日々の作業報告をしてもらう

メンバーには、日々の作業報告を提出してもらいましょう。
作業目標には、その日取り組んだ業務や、各業務にかかった時間などの進歩状況を記入してもらいます。
そうすることで計画した工数通りに作業が進んでいるか、作業全体の進み具合を毎日確認することが可能です。

工数管理に役立つビジネスツールも紹介

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工数管理をするには、作業しやすいビジネスツールを選ぶことが重要です。
ここではエクセルなど、多くの企業で使っているビジネスツールについて紹介します。

Excel (エクセル)

多くの企業が使っているツールとして、エクセルが挙げられます。
エクセルでは無料で工程管理表(ガントチャート)を作ることがきるため、工数を把握する際にも便利です。
またエクセルのデータをgoogleスプレッドシートに変換することで、多人数と情報共有しやすくすることもできます。

プロジェクト管理ツール

エクセル以外で工数管理をしたいなら、プロジェクト管理ツールの利用がおすすめです。
プロジェクト管理ツールには工数管理の項目が備わっているほか、時間設定やカレンダーとも連携も可能。
無料のものも有料のものもありますが、予算や機能性と照らし合わせながら導入を検討してみてください。

まとめ

工数計算をすることで、1つの作業にかかる時間や予算、人員配置を正確に把握することができます。
またエクセルなど複数人で管理しやすいツールで工数や進歩状況を共有することで、今よりも作業効率を上げることもできるでしょう。
工数計算はビジネスを円滑に進めるための基礎です。
ぜひ記事で紹介した工数の出し方を、計画作成や業務改善に役立ててください。