注文請書に貼る収入印紙の金額は? 割印やどちらが貼るかなども解説

man writing on paper

課税文書にあたる注文請書を作成する場合、収入印紙を貼って割印をすることで「納税」を証明する必要があります。
しかし、なかには収入印紙が不要な場合や割印の押し方などわかりづらい点も。
記事では、いくらの印紙を貼ればよいのかや受注者と発注者どちらが貼るのかといった疑問にも答えます。
印紙は金額がかなり大きくなることもあるので、記事を参考に取り扱いには十分注意しましょう。

注文請書とは?

black pencil on white printerpaper

注文請書とは、取引の際に受注者が顧客側に渡す書面のことで、「注文を承った」ことの証明となります。
注文請書は、法律で義務付けられているわけではありませんが、トラブルを防ぐ上で重要な書類です。
注文請書と注文書はセットになるもので、契約書の一種といえます。

注文請書と注文書の違いを解説

person holding white printer paper

注文請書にも注文書にも、注文内容や取引日、取引金額などが記載され、内容による違いはほとんどありません。
注文請書と注文書の違いは、書面の発行者が受注者であるか発注者であるかです。
注文請書は受注した側が発行するのに対して、注文書は発注した側が発行します。

なぜ注文請書に収入印紙が必要?

two men facing each other while shake hands and smiling

注文請書には請負契約と売買契約があります。
収入印紙が必要かいらないかは、「印紙税法基本通達」で定められた「課税文書」に該当するかで判断されます。
請負契約の注文請書は、印紙税法上の課税文書(第2号文書)にあたり、収入印紙の添付が必要です。
しかし、金額によっては収入印紙がいらない場合もあるので、契約内容や取引金額がいくらかなどをチェックしておきましょう。

収入印紙の代金は受注者と発注者どちらが払う?

two people sitting during day

収入印紙は、受注者と発注者のどちらが貼るべきでしょうか。
金額が大きくない場合は、注文請書の発行者(受注者)が印紙代を負担することが多いです。
しかし、特に取引金額が大きいケースでは、収入印紙代の支払いを折半する会社や話し合いによって決める会社もあります。
後になってトラブルになる事態を避けるために、事前にどちらが貼るかなど決めておくと取引がスムーズに進むでしょう。

注文請書に貼る収入印紙の金額

black iphone 4 beside black and silver remote control

注文請書に貼る収入印紙の金額がいくらかは、契約金額によって以下のように定められています。
なお印紙税額は消費税抜きの金額で判断されますが、請書で消費税額の記載が明確でないと税込金額で印紙代が決まってしまうので要注意。
例えば、請負金額○○万円のうち消費税額〇万円のように書きましょう。

・1万円未満 非課税

・100万円以下 200円

・200万円以下 400円

・300万円以下 1,000円

・500万円以下 2,000円

・1,000万円以下 10,000円

・5,000万円以下 20,000円

・1億円以下 60,000円

・5億円以下 100,000円

・10億円以下 200,000円

・契約金額の記載なし 200円

収入印紙が不要なケースや金額はいくら?

ok, a-ok, woman

契約金額や契約の方式などにより、収入印紙がいらないケースがあります。
ここからは、収入印紙が不要な契約金額はいくらかなどを紹介。
覚えておくと実務で役立つのでひとつひとつ確認しましょう。

売買契約にあたる場合

物品の売買契約に関する注文請書は、継続する売買契約で第7号文書となるものを除き非課税文書となり、収入印紙は不要です。
請負契約か売買契約かの判断基準は、契約当事者の意思が仕事の完成を目的にしているか、所有権移転に重きを置いているかで判断します。
区別が難しいこともあるので、取引の際は国税庁のサイトを確認しましょう。

契約金額が1万円未満(税抜)の場合

上の表にもあるように、契約金額によって収入印紙がいくらになるか異なります。
契約金額が1万円未満(税抜)の場合、収入印紙は不要です。
ただし、契約金額が1万円未満(税抜)の場合でも、金額の記載がなければ200円の印紙代が必要となるので注意しましょう。

電子契約なら収入印紙はいらない

契約方法が電子契約の場合、収入印紙は不要です。
基本的に印紙税は “文書” に対して課税されるため、印刷の必要がない電子文書には税金がかかりません。
例外として、メールに添付されたデータを印刷して契約書として使用する場合は、課税文書扱いとなるので、収入印紙が必要です。

収入印紙自体に消費税はかかる?

収入印紙の購入は課税の対象にはならず、消費税がかかりません。
ただし消費税が課されないのは、郵便局やコンビニ(郵便切手類販売所)で購入する場合です。
印紙売りさばき所ではない金券ショップで収入印紙を購入した場合は消費税が発生します。
とはいえ金券ショップでは額面よりも安価に収入印紙を手に入れられるうえ、仕入れ税額控除を受けることが可能です。

注文請書の収入印紙の貼り方、割印の押し方

person writing on white paper

最後に、収入印紙の貼り方と割印の仕方を紹介します。
収入印紙の貼り方も重要なのでぜひ最後までチェックしてください。

注文請書に記載する内容とは

一般的に、注文請書に記載が必要な内容は下記のとおりです。

・発注日

・発注者の情報 (会社名、住所、連絡先)

・注文請書の発行者情報

・発注内容

・契約金額

・支払い条件 (月末払いなど)

上記内容の記載があれば、書類の書式は決まっていないので、独自の雛形を持つ会社も多いです。
また、既に述べたように税込み金額のみの記載だと収入印紙の金額が大きくなるため、税抜き額、消費税額、税込み額を分けて記載しましょう。

収入印紙は契約書のどこに貼る?

収入印紙を貼る場所は、注文請書や契約書の左上が一般的です。
厳密に貼る場所が決まっているわけではないので、契約を結ぶ双方で決めても問題ありません。
収入印紙が複数枚になる場合には、左右または上下に並べて貼り付けますが、割印の位置も考えて貼るのがおすすめ。

割印・消印の押し方

assorted postage stamps on blue and white textile

収入印紙には割印(消印)がセットです。
割印とは、収入印紙の再使用を防止するために義務付けられている押印のこと。
割印の際は、当該課税文書と印紙の彩紋をまたいで印鑑を押してください。
印紙のどこに押すかは指定はありません。
収入印紙は、割印がないと納税したことにならないので要注意。

印紙を貼り忘れたらどうなる?

万が一、収入印紙を貼り忘れてしまった場合は過怠税が課されます。
過怠税は印紙税額の3倍です。
1万円の収入印紙を貼り忘れてしまった場合は、3万円の過怠税が必要になります。
また、自主的に納付漏れを発見した場合は、3倍ではなく1.1倍の過怠税が課されます。
収入印紙は貼ったものの割印を忘れてしまったという場合も同様に、過怠税の対象になることも。
過怠税は高額なので、印紙の貼り忘れや割印押し忘れがないかよく確認しましょう。
ちなみに過怠税を支払うことになった場合でも、契約自体は有効です。

まとめ

記事では、収入印紙が必要な注文請書の種類や注文書との違い、収入印紙がいらないケースなどを解説しました。
契約書を交わす際は、収入印紙が必要かチェックし、割印も忘れないように注意しましょう。
最近では、電子契約書を扱う会社も増えていますが、まだ文書で契約を交わす会社が多いです。
注文請書や収入印紙の知識はどの業界でも役立つので、覚えておくと就職や転職の際にも役立つでしょう。