センターフィーとは? 物流における意味や費用の相場、誰が払うのかも解説

low angle photography of high-rises building

流通の過程では様々な費用が発生しますが、その一つがセンターフィーです。
しかし製造業や物流業に携わっている人でも、センターフィーの意味や誰が支払うものなのか知らない人は多いでしょう。
そこでこの記事では、センターフィーの意味や費用相場、メリット、デメリットなどを解説。
センターフィーに関連して、物流センターや共同物流についても触れているので、物流の今について気になっている人も参考にしてください。


この記事を書いた人:受発注ライフ編集部

『受発注ライフ』は、2024年3月22日に誕生した、株式会社カンナートのWebメディアです。
株式会社カンナートは西新宿にある創業20年目のシステム開発会社です。
このメディアでは、受発注業務物流、通販にお困りごとのある方々に向けて、 業務改善のアイデア業界の新しい動向などを発信していきます。


センターフィーとは?

まず、センターフィーとは何で、誰が払うものなのか確認しましょう。
センターフィーには、具体的にどのような費用が含まれているのかも解説します。

センターフィーは誰が払うもの?

まず物流センターとは、メーカーや卸売業者などの納入業者から届いた荷物を集約し・各店舗へ配送するための拠点のことです。
この物流センターを利用する際に発生する費用が、センターフィー。
通常、センターフィーとは、納入業者が小売業者に対して払うものです。
センターフィーを支払うことで、納入業者は効率的かつスムーズに商品を輸送できるようになります。

センターフィーの内訳

センターフィーの内訳は企業によって異なりますが、主に施設利用料、店別仕分料、情報システム利用料の3つがあります。
施設利用料とは、物流センターの設備やスペースを使用するための費用です。
次に店別仕分料とは各店舗向けに商品を仕分けするための手数料のことで、小売業者が納品側に代わり店別仕分けを行う際に発生します。
情報システム利用料とは、在庫管理や出荷管理などの情報システムを利用するための費用です。

センターフィーの内訳

センターフィーの計算方法

センターフィーの計算式は、一般的に「商品代金 × 設定料率」です。
例えば商品の代金が10,000円で、設定料率が3%の場合、センターフィーは300円となります。
ただしセンターフィーの計算については業界で一律のルールがあるわけではないため、企業によって相場や計算方法は様々です。
また設定料率は業種や商品ジャンルによって異なるため、一般的な相場を確認しておくことが重要です。


センターフィー=商品代金 × 設定料率

物流センターのメリット

納入業者にとってセンターフィーの支払いは大きな負担ですが、物流センター利用には以下のようなメリットもあります。

共同物流の実現

共同物流とは、複数の企業が共同で物流機能を利用する仕組み。
物流センターは共同物流の拠点であり、施設の共有により、物流コストの削減や業務の効率化が実現します。
また物流センターを通じて在庫管理やピッキング作業の効率化が図れるため、納期短縮や顧客満足度の向上にもつながるでしょう。
近年トラックドライバー不足や、EC市場規模の拡大が深刻化している中、共同物流の促進が急務となっています。

店舗側の作業負担の軽減

物流センターを利用することで、店舗側の作業負担が大幅に軽減します。
従来、小売業者は個々の納入業者から商品を受け取り、その度に煩雑な検品作業を行わなければなりませんでした。
しかし物流センターの活用が一般化したことで、小売店はあらゆる納入業者の商品をまとめて受領できるように。
その結果、納品回数や検品の手間が減り、店舗スタッフは接客や販売に専念できるようになりました。

CO2排出量削減

物流センター活用のもう一つのメリットは、CO2排出量の削減です。
複数の拠点からの配送を一元化することで、トラックの運行回数や走行距離を大幅に削減できます。
また物流センターの活用により在庫管理の最適化が実現すれば、無駄な輸送が減り、燃料消費量の削減にもつながります。
CO2排出量削減に向けたグリーン物流の取り組みとしても、物流センターの活用は今後ますます注目されていくでしょう。

センターフィーの問題点

センターフィーに関しては、納入業者と小売業者の間でルールが不公平である点が問題視されています。
納入業者の立場に立って、以下の問題を考えてみましょう。

算出根拠が不透明

センターフィーの問題点として最も指摘されるのは、その算出根拠が不透明であることです。
センターフィーの設定料率は、施設の維持費や人件費などを加味して小売業者が決めます。
しかし過去に公正取引委員会が行った調査により、小売業者がその根拠を納入業者に説明しないケースが多いことが明らかとなっています。
センターフィーの算出根拠が分からない状況では、その金額が妥当なのか客観的に判断することが難しいです。
それが原因で、納入業者は小売業者へ不信感を抱くことも少なくありません。

納入業者より小売業者が優位

センターフィーに関連するもう一つの問題点として、小売業者に比べて納入業者の立場が弱いことが挙げられます。
センターフィーの設定根拠を小売業者があまり開示しないできた商習慣の背景には、この問題があるといわれています。
立場上、納入業者が客である小売業者に対してセンターフィーの問題点を指摘したり、引き下げの交渉をしたりするのは難しい現状があるのです。
しかし小売業者による一方的なセンターフィーの引き上げや、算出根拠を説明しないことは、独占禁止法違反に抵触する可能性があり問題視されています。

センターフィーを改善する方法

センターフィーに関する問題を改善するために、納入業者にできることがいくつかあります。
高額なセンターフィーの支払いに悩んでいる、納入業者は参考にしてください。

センターフィーの算出根拠を小売業者に説明してもらう

センターフィーの問題を改善するためには、小売業者と納入業者が協力し、透明性を確保することが重要です。
センターフィーは通常、商品の取引額や販売量、流通コストなどに基づいて算出されます。
小売業者との定期的なコミュニケーションを通じて業務の効率化やコスト削減の方法を検討し、双方にとって公正な料金設定を目指しましょう。

センターフィー以外のコストを削減する

センターフィーだけにこだわらず、その他の物流コスト削減も検討しましょう。
例えば、自社トラックの積載率や回転率を上げることで、物流センターへ輸送するまでの運送コストを削減することができます。
また自社倉庫での保管方法を再検討することで、スペースの管理にかかる人件費や設備費用を抑えることができるでしょう。

自社ECを拡大する

自社ECを拡大すれば、小売業者を介さず消費者と直接取引できるようになるため、センターフィーを支払う必要が無くなります。
ただし自社ECで物流センターを使わない場合では、消費者とやり取りする手間が発生し、また小売業者の販売網を活用できなくなる点もデメリットです。
小売店に頼らずECで売上を維持するためには、自社独自に物流網や販売力を高める必要があります。

センターフィーの将来性

物流センターを小売業者が運営するのであれば、その使用料を納入業者が支払うのは、理論上問題ありません。
そのため、物流センターの仕組みが続く限り、センターフィーは今後もあり続けるでしょう。
しかしセンターフィーを小売業者が一方的に決めるといった現在の傾向は、今後変わるかもしれません。
既に公正取引委員会はこの問題に目を付けており、近い将来、物流業界や関係機関が何かしらの解決策を立てる可能性があります。
例えば、センターフィーの算出根拠の説明が義務化される、計算方法が一律化されるなどの動きが今後あるかもしれません。

まとめ

今回はセンターフィーとは何かや相場、そのメリット、問題点について詳しく解説しました。
センターフィーとは、簡単にいえば物流センターの利用料のことで、納入業者が小売業者へ払うのが通例です。
しかし、センターフィーは算出根拠が見えにくいといった問題点があり、今後センターフィーに関してルール化が進む可能性があります。

black and gray building during daytime

物流センターとは? 仕事内容や物流倉庫との差、役割などについて解説

私たちの生活に身近な物流ですが、「物流センター」とは何かわかるでしょうか。物流センターでの仕事には、入荷や検品から出荷といった多岐にわたる業務があります。物流施設の立地や拠点の違いによって機能・役割も異なります。記事では仕事の流れや物流施設…...

【物流担当者必見】フレキシブルコンテナとは? サイズや種類などフレコンバッグにつ…

農業や工業など幅広い分野で使われている袋状の容器、フレキシブルコンテナ、別名フレコンバッグ。名前に聞きなじみは無くても、一度は目にしたことがある人も多いでしょう。この記事ではフレキシブルコンテナとは何かやサイズ、種類、ホームセンターで売って…...