プロパー商品・価格とは? 意味や反対語、アパレルでの事例を解説

プロパー商品・価格とは? 意味や反対語、アパレルでの事例を解説

アパレル業界やマーケティングでよく用いられる用語にプロパー価格・プロパー商品があります。
記事では、プロパー価格の意味や、反対語や類義語を解説。
さらにプロパー価格で購入する顧客側のメリットやデメリットのほか、企業側がプロパー商品を販売強化する重要性を説明します。
アパレル業界で働く人はもちろん、他の業界の人にとっても知っておいて損はない「プロパー価格」について理解を深めましょう。

プロパー商品・プロパー価格の意味とは?

プロパー商品やプロパー価格の意味とは何でしょうか。
意味や反対語、類義語を説明するので、確認しましょう。

プロパー商品とは?

プロパー(proper)商品には2つの意味があります。
まず一つは、「卸売業者から小売業者に正規ルートで卸されたブランド正規品やオリジナル商品」の意味。
もう一つのプロパー商品の意味とは、「正規の値段で販売されている商品」のことです。
前者の場合は、必ずしも「定価で売っている商品」を意味しません。
正式ルートで卸されていても、値引きして販売されている商品は存在します。

プロパー価格とは?

プロパー(proper)とは、「妥当な、正しい、本来の、適当な」などを意味する言葉です。
先ほど解説した「正規価格で販売されるプロパー商品」から転じて、プロパー価格とは、「値下げする前の正規の値段」を意味します。
定価とも表現でき、アパレル業界で用いられることが多いです。
プロパー価格は利益率が高いため、新しい商品や目玉商品はプロパー価格で販売されます。

プロパー商品・プロパー価格の反対語とは?

プロパー価格の反対語は、「セール商品」や「特売品」、「バーゲン品」です。
アパレル業界では、シーズンやトレンドで販売動向が変化するため、商品のライフサイクルが短いのが特徴。
新しい商品やシーズンものはプロパー価格で販売し、販売時期の終わりが近づくと在庫を処分するために値下げしたセール価格で売ることが多いです。

プロパー価格の類義語とは?

プロパー価格の類義語は、「フルプライス(FP)」や「メーカー希望小売価格」のほか「標準小売価格」「上代(価格)」などが挙げられます。
どの用語も値下げされる以前の販売価格を表しますが、使用されるシーンが違うため注意しましょう。
上代は、業者間の取引で使用され、メーカーや卸業者が小売店に設定する消費者への販売価格のこと。
標準小売価格やフルプライスは、消費者に対して使われるシーンが多いです。

特にアパレル業界で使う他の「プロパー」

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アパレル業界では、他にも「プロパー」に関連する用語が用いられます。
それぞれの意味をチェックしてみましょう。

プロパー販売

「プロパー販売」の意味とは、商品を値引きせずに、メーカー側が初めに定めた価格で販売することです。
正値販売と言われることもあります。
売上に占める正規の値段であるプロパー販売の割合が高いほど利益率は高くなります。
企業にとっては、なるべくプロパー販売を促進することは、利益率向上だけでなくブランドイメージを守る効果も。

プロパー店

「プロパー店」とは、メーカーの直営店や代理店、百貨店などの正規店舗のこと。
こうした店舗で販売されているものをプロパー品といいます。
プロパー店の反対語には、「アウトレット店」があり、前シーズンに完売できなかった在庫品や型落ち品などを値下げして販売していることが多いです。
プロパーと同様の工場、または素材などで作られるアウトレット専用商品が販売されていることもあります。

プロパー消化率

プロパー消化率とは、「商品販売期間の売上のうち、定価で販売できた金額の割合」を表す指標。
プロパー消化率が上がれば、利益も増えるため、プロパー消化率の数値は重要です。
売上が高くてもプロパー消化率が低ければ、利益が確保できていないということになります。
計算式としては、「商品販売期間内に定価で販売できた金額/同期間内の総売上金額」です。

プロパー価格で買うメリット・デメリット

正規の値段であるプロパー価格で商品を買うメリット・デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
消費者にとってのメリットやデメリットを把握して、商品を購入しましょう。

プロパー価格で買うメリット

商品をプロパー価格で購入するメリットの一つに注目商品や限定商品を手に入れられることがあります。
ニーズのある商品やコラボ商品は早く完売することもあるため、バーゲンを待っていると買えない恐れも。
また長期的なスパンで見ると、購入商品の拡大・継続に貢献できるメリットもあります。
商品のプロパー消化率を重視する企業は多いため、プロパー価格で売れた商品の展開が強化される可能性も期待できます。

プロパー価格で買うデメリット

プロパー価格で購入するデメリットとしては、買った商品が後で値引きされてセール価格で売られる可能性があることです。
すでに説明したように、アパレル業界は商品のライフサイクルが短いため、時期によっては販売価格のを値下げします。
また顧客の購入を促進するため、不定期のセール・バーゲンを行うことも。
消費者は、自分がプロパー価格で買ったばかりの商品が値下げされていると損をしたと感じることもあるでしょう。

プロパー価格で売る重要性とは?

企業が商品を正規の値段であるプロパー価格で売るメリットには以下のような点があります。
プロパー価格のメリットを理解し、ブランドの方向性を考慮しましょう。

利益率が上がる

プロパー価格は、セール価格よりも同じ商品を高い価格で売るため、前述したように利益率が上がります。
アパレル企業にとって利益の確保は大きな課題です。
在庫消化率が良くない商品はセールが終われば処分されることが多いですが、プロパー価格で販売できれば、ブランドを高利益体質に改善できるでしょう。
値引きを抑制し、ブランドの世界観に共感する顧客にターゲットを絞って正規の値段で売る戦略を取る企業もあります。

高品質の商品を製造できる

値下げすることを前提に商品を作る場合、コストを安く抑える必要があります。
プロパー消化率が低下し、セール価格での販売が増えるほど、「質を重視せずに安価なものを作って売る」サイクルにはまってしまいます。
安さを売りにしているブランドなら問題ありませんが、そうでないなら顧客満足度やブランドの価値を下げる可能性も。
プロパー商品を販売する前提なら、質の高さにこだわって商品を企画製造できます。

従業員の販売力が向上する

日用品など消費者が値段を重視して決める商品ほど、店舗スタッフの販売努力は必要でなくなります。
正規の値段であるプロパー価格は「高い」ため、売るのは簡単ではありません。
そのためプロパー価格での販売強化によって、店舗従業員の販売力の向上が見込めるでしょう。
価格が高いブランド商品ほど、消費者はスタッフの接客態度や購買体験を重要視するため、販売力を高めることが重要です。

顧客に損したと思われない

正規の値段でプロパー商品を購入した顧客は、自分が買った商品が後日値引きされていると「損をした」とネガティブな感情を持つ恐れも。
その場合、次に購入するときはセール価格になるまで買わずに待とうとするかもしれません。
顧客にネガティブな感情を抱かせず、今後もプロパーの値段で購入してもらうためにも、安易に値引きせずにプロパー価格で販売することが重要です。

アパレル業界でのプロパー消化率

person using MacBook Pro

アパレル業界でのプロパー消化率は30%から40%ほど。
残りの30%から40%はセール販売、その他はブラックボックス化しており、「その他」には廃棄処分が含まれます。
企業によってプロパー消化率の合格ラインは異なり、例えばオンワード樫山は60%、ユニクロは75%、ZARAは90%とされています。
ZARAはスピード開発によって余剰在庫をなるべく抑えることで高いプロパー消化率を目指しています。

まとめ

記事では、プロパー価格やプロパー商品の意味とは何か、類義語や反対語について解説しました。
アパレル業界では売上だけでなく、正規の値段であるプロパー価格でどれくらい販売できたか示すプロパー消化率が大事な指標。
ブランドにとっては、プロパー消化率を上げることは利益率を高めるために重要であり、そのためには販売戦略を練ることが必要です。

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