入出庫管理とは、倉庫内の商品や原料の在庫を適切に管理するのに重要な業務です。
入出庫業務が正しくタイムリーに行われないと、企業の生産・販売活動やキャッシュフローにも悪影響を及ぼしてしまいます。
入出庫管理の方法はエクセルやシステムを使う方法などさまざまで、入出庫業務だけでなく業務全体の効率化にも関わることも。
記事では、入出庫管理とは何かからやり方、課題などを解説します。
この記事を書いた人：受発注ライフ編集部
『受発注ライフ』は、2024年3月22日に誕生した、株式会社カンナートのWebメディアです。
株式会社カンナートは西新宿にある創業20年目のシステム開発会社です。
このメディアでは、受発注業務や物流、通販にお困りごとのある方々に向けて、 業務改善のアイデアや業界の新しい動向などを発信していきます。
入出庫管理とは
入出庫管理とは、入出庫で発生した在庫の個数や日時などを記録する業務のことです。
「在庫」とは企業が保有する資産を意味し、在庫の流れを把握する「入出庫管理」は重要な在庫管理業務の一つ。
製造業の場合は、原料や仕掛品といったさまざまな在庫の動向を管理する必要があり、例えば以下の項目を記録して在庫の流れを都度捉えます。
入出庫管理の記録項目
- 商品名
- 品目
- 入庫日
- 出庫日
- 入庫した数量
- 出庫した数量
- 保管場所
- 担当者
入出庫管理が必要な理由
入出庫管理の目的とは、社内で保有する在庫の数量を常に把握し、在庫管理を適正化することです。
入出庫管理が正しく行われていないと、実際の在庫の数量とデータの数値が合わず納品が遅れたり、在庫を過剰に抱えたりする場合も。
これにより顧客満足度の低下や企業の経営状況の悪化につながる恐れがあります。
こうした事態を防ぐためにも入出庫管理を適切に行うことが必要です。
入出庫管理の方法
入出庫業務の方法には、紙に手書きする方法からエクセルやITシステムを使ったやり方などがあります。
それぞれの特徴を確認しましょう。
紙に手書き
紙に入出庫管理表を作成し、カウントした在庫数を記録していく方法です。
扱っている商品の数が少ない小規模商店などでは、紙で管理する場合もあります。
メリットとしては、パソコンを導入する必要がなく、紙とペンだけで入出庫管理ができること。
その反面、手書きでは記録ミスや計算ミスが起こりやすく、また紙を紛失するリスクがある点がデメリットです。
エクセル
表計算ソフトのエクセルを使う方法もあります。
エクセルでは関数を使って自動計算すると便利です。
例えば足し算・引き算で現在の在庫数を計算し、SUMIFS関数で累計入庫数・出庫数を自動で計算します。
VLOOKUP関数を使うと条件を検索して特定の情報を抽出することが可能です。
ただしエクセル管理でも、間違った数値を入力したり、誤ってデータを消去したりするといったヒューマンエラーは起こりえます。
アクセス
データベース管理ソフトAccess（アクセス）を使って、入出庫管理を行う方法もあります。
アクセスはエクセルと同様にMicrosoft社が開発したソフトです。
データベース化や保存が得意で、エクセルよりも膨大な情報を管理できるのがメリット。
ただし操作も複雑なため、アクセスに詳しい従業員がいないと使いこなすのが難しいでしょう。
在庫管理システム
自社に合う在庫管理専用のシステムを導入し、倉庫内の入出庫を管理する方法です。
在庫管理システムでは商品情報をバーコードリーダーなどで読み取り、パソコンに転送して在庫の動きを自動で管理できます。
入出庫情報を自動で入力できるのが大きなメリットで、作業の効率化につながります。
ただしシステムを採用し導入するまでに時間がかかり、初期費用やランニングコストがかかるのがデメリットです。
IoT機器を用いたシステム
IoT機器を使った在庫管理システムを導入するのも方法です。
例えば、倉庫内の商品を検知する遠隔カメラによって、入出庫情報を自動的に反映することができます。
人の作業を必要としないため、さらなる人件費のカットが可能です。
ただし、まだ広く普及していない方法なので選択肢が少ないことがデメリット。
すでに在庫管理システムを使っている企業で、より効率化を進めたい場合に検討するのがおすすめです。
入出庫業務で起こりがちな問題
入出庫業務が煩雑なままだと、どのような問題が起こりやすいでしょうか。
入出庫管理で発生しやすい問題を以下にまとめました。
入力ミス
目視や人の手で数値を入力している場合、入力ミスや漏れなどのヒューマンエラーが発生するリスクがあります。
棚卸しで帳尻合わせするからと間違いを放置したままでいると、実際の在庫量とデータの数値が一致せず、適切な在庫管理ができません。
これによって納品遅れなどのミスにつながるほか、棚卸しの手間も余計にかかることに。
タイムラグによるトラブル
従業員が倉庫で在庫量を確認し、後で紙やエクセルに入力する方法だと、在庫の動きをタイムリーに把握できない場合があります。
ハンディターミナルを使用して入力を自動化しているケースでも、営業が出先で正確な数字を確認できず、正しい情報を顧客に提供できなくなる可能性も。
在庫管理システムを使えば、自動で入出庫情報がデータに反映されるため、リアルタイムでの在庫量を捉えやすくなります。
属人化
入出庫管理が複雑なオペレーションであったり、在庫管理担当者が独自のアナログな方法で管理したりしていると業務の属人化につながります。
また倉庫の在庫の動きを把握している人が一人しかいない状態では、担当者が不在のときに正確な在庫数がわからず現場は混乱してしまうでしょう。
入出庫業務を把握している従業員を複数人置き、誰か一人しか状況がわからないといった事態を防ぎましょう。
入出庫業務のミスをなくす方法
上に挙げた問題の発生を避けるにはいくつか方法が考えられます。
ミスをなくして、適切な入出庫業務を行いましょう。
マニュアル作成
マニュアルがないと、現場の倉庫担当者の独自のやり方で入出庫管理が行われる可能性があります。
入出庫管理のマニュアルを整備し、他の社員にも共有することで、作業の属人化や煩雑化を防ぐことが可能です。
また担当者の急な異動や退職があっても、スムーズに業務を引き継ぐことができ、トラブルの発生を未然に防ぐことができます。
エクセル管理なら、関数を活用
エクセルで管理するなら、エクセルのセルにあらかじめ関数の計算式を入力しておきましょう。
あとは在庫の数量を入力すれば、自動で計算を行ってくれます。
在庫管理表に便利な関数は、IF関数やVLOOKUP関数、ROUND関数など。
IF関数では、条件を設定することで処理を変更できます。
例えば在庫が50個より少ない場合に、セルに「在庫少」、50個以上の商品に「在庫十分」と表示することが可能です。
VLOOKUP関数とは、検索条件に合致したデータを抽出する関数。
集計表や一覧表などを作るときに便利な関数です。
在庫管理システム、IoT機器を導入する
手入力で行っていた方法から、在庫管理システムやIoT機器を導入することで入力ミスや属人化などを防ぐことができます。
これにより、リアルタイムの入出庫の動きを把握しやすくなり、現場の業務を効率化することが可能です。
クラウド型の在庫管理システムなら、スタッフが自宅や外出先で在庫情報を確認しやすいのがメリット。
在庫管理システムの選び方
入出庫管理に便利な在庫管理システムですが、導入前に検討しておくべきことが何点かあります。
以下の項目を確認して、自社にマッチした在庫管理システムを選びましょう。
費用対効果はあるか
在庫管理システムを導入し維持するにはコストがかかるため、システムによって得られるメリットがどれくらい大きいかを確認するのが大事です。
システム導入の際は、初期費用に加えて、毎月の費用もかかります。
初期費用の相場は10万円から30万円、月額はおよそ1万円から3万円です。
複数のシステム販売会社からコストの見積もりをもらって比較検討しましょう。
自社に合わせてカスタマイズできるか
業界によって特色があるため、そのシステムが自業界で使いやすいかも要確認です。
例えばアパレル向けのシステムの場合は、服のカテゴリーやサイズなどで管理しやすいように作られています。
また取り扱い製品がよく変わる企業の場合は、商品項目や倉庫の追加削除ができるかなど、自社に合ったカスタマイズが可能かチェックしましょう。
外部システムと連携できるか
既存の外部システムと連携して使えるかどうかも事前に確認するべきポイントです。
在庫管理システムとうまく連携して使えないと、業務効率化も中途半端になってしまいます。
製造業の場合は、購買から生産管理、受注管理、販売管理などのシステムと連携できると業務がよりスムーズになるでしょう。
使っていたシステムが古い場合は、在庫管理システムと一緒にシステム全体を入れ替えるのも方法です。
まとめ
企業における入出庫業務の重要性や起こりやすい問題、システム導入の際の注意点などを解説しました。
入出庫業務の方法次第では、納品遅れなどの顧客トラブルや機会損失につながることも。
また取り扱う商品が多い場合は、アナログな方法だとミスに結びつきやすいため自動化するのがポイント。
システム選定の際は費用対効果を検討し、自社の状況に合ったシステムを採用することが重要です。
