デバンニングとは? きつい理由やコンテナデバンニング、作業手順についても解説

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輸入した商品をコンテナから取り出す「デバンニング」は、商品の輸出入において大事な工程です。
新たに貿易業務や物流業務に携わる人は、デバンニングという言葉は聞き慣れないかもしれません。
そこで今回、この記事では、荷卸し作業とは何かや作業手順についてを解説します。
デバンニング作業がきついと言われる理由についても紹介するのでぜひ最後までチェックしてください。

貿易用語、デバンニングとは?

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デバンニングとは、貿易関係などの物流業界で使われる用語。
以下でデバンニングの意味やバンニングとの違いを確認しましょう。

デバンニングの意味

デバンニングとは、コンテナから貨物を取り出す荷下ろし作業のこと。
輸入用コンテナから荷物を保税地域や自社倉庫に下ろします。
倉庫業者や通関業者の間で広く使われていて、略して「デバン」と呼ぶこともある用語です。
輸入した商品を荷下ろしする際など、デバンニングは物流貿易の工程において重要。
デバンニングは何名かで行うことが多く、荷物の移動にはフォークリフトなどの機械を使用します。

バンニングとの違い

デバンニングの対語は「バンニング」です。
バンニングとは、コンテナに貨物を積み込むことを指し、商品を輸出し出荷するときに行う作業です。
デバンニングと同様に、コンテナを最初にピックアップして自社倉庫でバンニングする場合と、保税地域でバンニングを行う場合があります。
物流業界では、バンニングを「バン詰め」と呼ぶこともあります。
海外では「stuffing」「loading」と表現されることも。

デバンニングの作業手順

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デバンニング作業についてさらに理解を深めるため、荷卸し作業とは何かなど、作業手順を紹介します。
貿易関係の仕事に関心がある人は以下のデバンニング作業をチェックしてみましょう。

1. コンテナの封印の確認・切断

作業手順の始めに、コンテナシールとよばれる封印に記された番号をチェックします。
その後、コンテナ番号が入庫されるもので合っているか確認。
間違ったコンテナを開けようとしていないか確かめたあとに、専用の器具で封印を切断します。

2. コンテナ開封

封印を切断してコンテナを開けるときは、勢いよく開けないようにしてください。
貨物がコンテナの扉側に寄っていた場合、中身が飛び出てくることがあり大変危険です。
コンテナを開封する際は片側から、ゆっくり慎重に開けていきましょう。

3. 貨物の状態をチェック

コンテナを開けた後は、貨物に傷や汚れなどがないかをチェックします。
もし貨物の破損などがあれば、すぐに輸送業者に仕入先に連絡してください。
貨物の一番下の段はカビが発生しやすいため要チェックです。
汚れなどを発見したら写真を撮って記録に残します。

4. 荷卸し作業

貨物に問題なければ荷卸し作業に移ります。
荷卸し作業とは、基本的には複数の作業員で、手作業もしくはフォークリフトなどで貨物をコンテナから降ろします。
作業中は、荷降ろし作業員とフォークリフト作業員との連携が大切です。
貨物をパレットや台車にのせたら、決められた場所に運びます。

5. コンテナ内の清掃

荷降ろしが完了したら、次の作業手順としてコンテナの中を掃除します。
コンテナは貿易輸送業者に返却し、また輸送で使われるためです。
清掃は、ほうきとちりとりを使う場合もありますが、大きいコンテナの場合は業務用モップを使うのもおすすめ。
細かいところは自由ホウキや、貨物の中身が散乱している場合は竹ぼうきも便利です。

6. コンテナを閉じる

清掃が終了し、コンテナの中に何も入っていないことを確認したらコンテナを閉めます。
コンテナは輸送業者に返却し、繰り返し使われます。

コンテナデバンニングがきついと言われる理由

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ここまで荷卸し作業とは何かやデバンニングとは何かを解説しました。
コンテナデバンニングがきついと言われるのはどのような理由があるのでしょうか。
デバンニング作業の大変なポイントを見てみましょう。

力仕事

コンテナデバンニングは手作業で行うことも多く、重量のある貨物を運び出す力仕事です。
そのため体力に自信がない人には難しい仕事といえるでしょう。
デバンニング作業員の疲労が蓄積し、思わぬケガや作業ミスにつながることもあります。

スピードが求められる

コンテナデバンニングには時間制限があることが多く、スピードが求められます。
輸入時のデバンニングとは、コンテナの到着後2時間以内に完了させるのが基本的なルール。
限られた時間の中で、安全に気を付けながら貨物を破損しないように取り出すプレッシャーもかかります。

作業環境が過酷

コンテナの中は高温になりやすく、夏は40度から50度以上と非常に高温になります。
長時間にわたって過酷な環境でデバンニング作業をすると、熱中症になる危険性も。
コンテナ内の温度が高い場合はコンテナに水をかけて温度を下げる、定期的に水分補給をするなどの対策が必要です。

作業が長時間続く

デバンニング作業は、重労働を長時間続けることになり、身体に負荷がかかります。
一方で、先に述べたようにデバンニングには時間制限があり、作業に時間がかかりすぎると待機量が発生することも。
効率よく、コンテナから荷物を取り出していくことが必要です。

事故に遭うリスクがある

デバンニング作業では、重い荷物を扱ったり高所作業をしたりするほか、不安定な足場でデバンニングをすることも。
貨物の落下や段差からの落下、フォークリフトとの衝突といった事故に巻き込まれるリスクを伴うため、常に安全への配慮が欠かせません。

デバンニング作業のやりがい

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コンテナデバンニングのやりがいやメリットとしては、作業が終わり次第帰宅の現場が多いため、早上がりの可能性があります。
頑張れば早く終われる可能性があるとやる気がでるでしょう。
また肉体労働なので時給が高いことも多いです。
身体を使う仕事なので、身体を鍛えて筋肉をつけることができるのもメリット。
賃金をもらいながら身体を鍛えることができるのでやりがいを感じることができるでしょう。

デバンニング作業を安全に行う方法

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コンテナデバンニングとはきつい、危険というイメージがあります。
作業員が安全にデバンニング作業をするにはどうすればよいでしょうか。

防護具の着用

デバンニング作業員はまず防護具を付けることが大切です。
ヘルメットや安全服、肌が露出しない服、作業用グローブを身につけて作業しましょう。
このような対策をとることで、もし手を滑らせて貨物を落としたり、靴紐が引っかかって転んだりするリスクを減らします。

コンテナと作業場所の高低差を無くす

デバンニングは、トレーラーなどの上に置いたコンテナから作業することが多いですが、コンテナと作業場の間の高低差が危険です。
段差での作業によって作業員や貨物が落下するリスクも。
そこで高低差をなくすためにスロープやステージを置いて、安全に貨物を移動するとよいでしょう。

適切な人数で行う

デバンニング作業は、作業内容に合った人数の作業員で行うことも大事です。
手作業でデバンニングを行う場合、特殊な作業がない場合は一般的に2人から3人、特殊作業がある場合は4人から5人が適切とされます。
人数が多すぎても、作業が渋滞し効率が悪くなることがあるので注意。

貨物が破損したら、すぐに報告

コンテナデバンニング中に、貨物の破損を見つけた場合は、作業をやめ、輸送会社や仕入れ先に報告します。
商品が輸送中に破損したと判明した場合は、貨物保険を適用できる場合も。
デバンニング作業中に貨物が破損したかは調べないとわからないため、関係者に連絡することが大事です。

デバンニングを効率化する方法

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スピードを維持して安全に進めたいデバンニング作業。
効率的なデバンニングを実現するにはどのような方法があるのでしょうか。

作業員のレベルアップ

デバンニングは、作業員のスピードに左右されるため、作業員のレベルアップが有効です。
まず作業員のレベルを把握することが大事です。
次に作業能力が高い人と低い人を組ませて、作業レベルの差の短縮を図ります。
ただし差がありすぎる場合は、「きつい」「楽すぎる」など互いに不満を感じて上手くいかないので注意しましょう。

パレットローラー・ローラーコンベアの使用

パレットローラーは、上にパレットを乗せて荷物を積み、積み終わったらパレットローラーごと運んで使います。
ローラーコンベアは、載せた荷物をスライドさせてコンテナまで運ぶ方法があります。
もう一つはパレットを載せて積み付けを完了させたらパレットごとスライドする方法も。

ロボットやパワードスーツの活用

デバンニング作業を効率化させるロボットを導入するのもおすすめです。
ロボットなら人と違って、疲れを感じず、重い荷物を荷卸しすることができます。
また、人の筋力を補強するパワードスーツも注目されています。
こうした対策で人手不足や事故のリスクも抑えることができるでしょう。

業務の外注

貨物が多い場合や、貨物の仕分けもする必要がある場合は、専門のデバンニング業者に外注するのも方法です。
自社でデバンニングを担うと人件費がかかり、商品破損リスクも伴います。
外注する費用と自社でデバンニングを行う費用を比較して、外注するかどうかを決めましょう。

まとめ

記事ではコンテナデバンニングとはどのような作業手順かや、荷卸し作業とは何かを解説しました。
貿易業務において重要な工程であるデバンニングについて理解が深まったでしょうか。
きついとされるコンテナデバンニングですが、やりがいやメリットも多いのがポイント。
作業手順を守り、効率化させる対策を取りながら、安全にスピーディにデバンニング作業を進めるのが大事です。