人々の生活を支える「物流」は、グローバル化やEC需要の高まりを背景にますます重要となっています。
物流業界では資格がなくても採用してもらえることもありますが、資格があると就職に有利で収入アップにもつながることも。
記事では、運送業の人におすすめの資格からロジスティクス経営士、物流コンサルタントといったさまざまな資格を紹介。
運送業や倉庫管理、貿易関連業務に関心がある人はぜひ一覧をチェックしてください。
この記事を書いた人:受発注ライフ編集部
『受発注ライフ』は、2024年3月22日に誕生した、株式会社カンナートのWebメディアです。
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物流の資格はどう選ぶ?
物流業界で働く場合、資格を取得していると職種の選択肢が広がり、収入面でもプラスになります。
まずは業種や資格の種類をチェックしてみましょう。
業種が運送業か、倉庫業かで選ぶ
物流業界の業種は、倉庫業と運送業の2つに分けられ、運送業はさらに陸運業、海運業、空運業の3つに分かれます。
自分が就きたい職種は何かよく考えて、それぞれの職種に合った資格を選ぶことが大切です。
例えば、運送業の現場なら運転免許は必須。
中型免許や大型免許を持っているとさらに有利でしょう。
倉庫業なら物流技術管理士や倉庫管理主任者、ロジスティクス管理 2・3級などがあります。
国家資格や公的資格、民間資格かで選ぶ
物流の資格には「国家資格」「公的資格」「民間資格」の3つがあり、難易度や業務範囲が異なります。
国家資格とは、法に基づいて国や国の委託機関が試験を行い認定する資格で、例として運行管理者や危険物取扱者などがあります。
公的資格とは経済産業省などの省庁や大臣が認めた資格で、ロジスティクス管理 2・3級など。
民間資格は、民間団体や学校が一定の審査基準で認定する資格で、ロジスティクス経営士といった資格があります。
【運送業・現場職向け】 物流業界で役立つ資格一覧
ここからは、運送業や現場職で働く人が取得すると役立つ資格一覧を紹介します。
ものを運ぶうえで必要となるさまざまな資格をチェックしてみましょう。
フォークリフト
荷重1トン以上のフォークリフト運転技能者は国家資格のひとつ。
フォークリフト運転技能講習を受け、試験に合格すると資格を取得できます。
ヤードや倉庫でのピッキングや運搬作業はフォークリフトを使うことが多いため、資格があると就職に有利でしょう。
合格率は9割以上で国家資格の中では難易度は低めといえます。
中型・大型免許
普通自動車免許のみでなく、現場では中型・大型免許を持っていると活躍できるでしょう。
中型免許では総重量7.5トン以上11トン未満、最大積載量が4.5トン以上6.5未満の車両を運転できます。
総重量11トン以上、最大積載量6.5トン以上の車両を運転するには大型免許が必要です。
大型特殊免許
クレーン車やホイールローダー、ブルドーザーなどを公道で運転するには大型特殊免許が要ります。
なお現場で作業するには、その作業に応じた作業免許が必要で、講習を受けなければなりません。
また大型特殊免許で運転できる対象は特殊自動車であり、大型特殊免許だけでは普通自動車を運転できない点に注意しましょう。
けん引免許
けん引免許とは、けん引装置を持つ車が、車両総重量が750キロを超える自走できない車を牽引するときに必要となります。
自走できない貨物トレーラーなどを、運転席のあるけん引する側の車両と連結して運ぶには必須の免許です。
玉掛け免許
玉掛け免許とは、クレーン車のフックに荷物を掛けたり、外したりするときに必要な資格。
作業を間違えると、重い荷物が落ちて事故につながる恐れがあるため、安全な操作方法や知識を学ぶことが重要です。
大型特殊免許も保有しておくと、現場で一人でクレーン車に玉掛け作業が行えるため活躍できるでしょう。
【運送業・管理職向け】 物流で役立つ資格一覧
運送業の管理者は、どのような資格を持っていると有利なのでしょうか。
それぞれの資格の特徴を一覧とともに解説します。
運行管理者(貨物)
運行管理者(貨物)の役割は、ドライバーの指導監督、乗務割の作成などを行い、輸送の安全体制を築くことです。
運行管理者制度の制定によって、物流倉庫の現場では車両数に応じた運行管理者の配置が義務付けられたため、有資格者の需要があります。
国家資格で合格率は40%以下のこともあり、難易度は比較的高いと言えるでしょう。
物流経営士(物流コンサルタント)
物流経営士(物流コンサルタント)は、トラック輸送業の経営者や管理責任者を養成するための民間資格。
ITスキルやマネジメントについても広く学ぶことができます。
業界や分野ごとに物流の特色があるため、ジャンルや工程に特化した物流コンサルタントを目指すのがよいでしょう。
【倉庫業向け】 物流業界で役立つ資格一覧
続いては、倉庫業や倉庫管理において持っていると有利な資格を紹介します。
倉庫管理の仕事に興味がある人は以下の一覧をチェックしてください。
倉庫管理主任者
日本倉庫協会が主催する民間資格で、倉庫を安全に管理するための知識と能力、作業員の労務管理に関するスキルの保有を証明する資格。
倉庫業法の改正によって、倉庫業者は倉庫管理主任者の選定が義務付けられているため、現場では倉庫管理主任者資格を持つ人が必要です。
物流技術管理士
物流技術管理士は、物流システムの設計や管理、マネジメント技術の保有を証明する民間資格。
物流に関係する総合的知識を身に付けることができ、物流コスト削減や業務効率化を実現するスキルを得ることが可能です。
受験には、物流の実務経験または物流技術管理士補の資格が求められます。
ロジスティクス経営士
ロジスティクス経営士とは、物流倉庫の運営において、経営視点から戦略を立て、新サービス企画・実行する能力を持つことを証明する民間資格。
なおロジスティクス経営士を受験するには条件があります。
物流技術管理士などの資格や、5年ほどのロジスティクスの実務経験をもつ部長職・幹部候補であることが必要です。
ロジスティクス管理 2級・3級
ロジスティクス管理 2級・3級とは、物流倉庫の企画、販売、センターシステムなどの運営管理などに携わる公的資格です。
3級の対象は若手から係長・リーダー、2級はマネジメントなどを行う中堅からマネージャークラス相当の受験を想定されています。
ロジスティクスオペレーション 2級・3級
物流倉庫の現場で、荷役や梱包、流通加工・包装、輸送といったオペレーションの管理者が受けたい資格です。
3級の対象は若手から係長などのリーダークラス、2級は課長やマネージャー相当の受験が想定されています。
物流の仕事への理解を深めることができ、スキルアップを目指せます。
危険物取扱者
ガソリンなどの石油製品や化学薬品などの危険物を一定量以上扱う現場で必要な国家資格。
指定数量以上の危険物を保有する倉庫管理では、危険物取扱者を設置する必要があるため資格保有者の需要は高いです。
資格には、「甲」「乙」「丙」の3つの区分があり、取扱いできる危険物が異なります。
ロジスティックス・マテリアル・ハンドリング管理士
ロジスティックス・マテリアル・ハンドリング管理士とは、L・MH管理士ともいわれ、講義を受けることで取得できる資格です。
物流センターにおけるコスト削減、効率化、見える化などを実現するシステム構築を企画提案するスキルを養います。
グリーンロジスティクス管理士
地球環境を考えた物流倉庫を運営するための手法や知識を学べる民間資格です。
CO2の排出量の算出や資材リユースなど、環境負荷を抑えた施策の立案、推進、評価を行う能力を証明します。
環境への意識が世界中で高まる昨今、環境に配慮されていないと規制を受ける可能性もあるため、学習しておくのもよいでしょう。
包装管理士
包装管理士とは、個装や梱包に関する業務、そのための人材育成などに関わる資格です。
小さな包装品から、フォークリフトを使って運ぶような荷物まで、必要な知識と方法を学びます。
食料品などの生活商品が対象の「生活者包装コース」とダンボール包装設計などを扱う「輸送包装コース」の2つがあります。
【貿易関連】 物流業界で役立つ資格一覧
ここからは、貿易関連の業務に携わる人におすすめの資格一覧を紹介します。
輸出入や貿易実務の知識を身につけたい人は必見です。
通関士
日本の貿易関連の資格では唯一の国家資格で、難易度は高めです。
通関士は、貨物の輸出入を行う商社やメーカーから依頼されて、代理人として荷物の税関手続きを行います。
通関業者は各営業所に通関士を1名以上置かなければならないため、通関士が必要とされています。
貿易実務検定
貿易実務においては、貿易実務で必要となる専門知識や英語力、マネジメント能力などが必要です。
こうした能力を証明する貿易実務検定は、貿易関連の資格の中ではメジャーで就職にも有利です。
検定はA級、B級、C級に分かれていて、A級は3年~4年以上の実務経験のレベルの証明になります。
国際物流管理士
国際物流管理士とは、国際物流についての知識やマネジメント能力を持っていると認められる民間資格です。
約半年間の講座を受講した後、レポート提出を経て、試験にパスすることで資格を得られます。
なお国際物流管理士の講座受講には2年程度の実務経験が必要です。
海技士
大型船舶に船舶職員として乗り組む人に必要な国家資格で、海技免状といいます。
航行区域や船の大きさ、エンジンの出力などによって取得する資格が異なるのが特徴。
海技免状を得るには、船舶への乗船履歴取得と学科試験の合格が必要です。
国際航空貨物取扱士
国際航空貨物取扱士とは、国際航空での貨物輸送において手続き業務に携わる国家資格です。
運賃計算やスケジュール作成などを行います。
国際航空貨物取扱士は国際資格であり、受試験は英語で行われるので、英語力が必要です。
まとめ
今回この記事では運送業や倉庫業といった物流業界で有用な資格一覧を紹介しました。
資格といっても物流コンサルタントや物流管理士、ロジスティクス経営士など、業界や職種によってさまざま。
運送現場で働く人は中型・大型免許、管理職として働く人には経営スキルを養う物流コンサルタントがおすすめ。
ほかにも倉庫業の物流システム知識を証明できる物流技術管理士、貿易では国際資格である国際物流管理士などがあります。
自分の就きたい職種に応じた適切な資格を調べてみましょう。