EC市場が右肩上がりに成長を続ける中、ますます需要が高まっている物流業界。
その一方で慢性的なドライバー不足や2024年問題など様々な物流課題が社会的に問題視されていますが、物流業界に将来性はあるのでしょうか。
この記事では物流業界の今後の動向や課題、さらに課題解決の方法や将来性についても解説します。
物流業界への理解を深めたい人は、ぜひ参考にしてください。
この記事を書いた人:受発注ライフ編集部
『受発注ライフ』は、2024年3月22日に誕生した、株式会社カンナートのWebメディアです。
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【2024年】物流業界の動向や需要について解説
物流業界はECサイトの拡大やオンライン取引の増加により、需要が高まっています。
令和4年の国内のBtoCのEC市場規模は22.7兆円で、前年比9.9%増でした。
特に個人向け配送が年々増加し、物流システムの効率化や人手不足の解消が急務となっています。
また2024年問題への対応や環境問題への配慮も、業界の大きな課題です。
DX化の推進による業務効率化が、今後の物流業界の発展に不可欠とされています。
今後どうなる? 物流業界が抱える課題
2024年問題が騒がれる中、物流業界の動向に注目が集まっています。
ここでは物流業界が抱える課題について解説します。
ドライバー不足
物流業界は深刻なドライバー不足に直面しています。
その主な原因は労働環境の厳しさと賃金の低さ、そして高齢化による労働力の減少です。
ドライバー不足を解決するための取り組みとして、ホワイト物流と呼ばれる物流業界の労働環境改善に向けた取り組みが注目されています。
燃料費の高騰
コロナウィルス感染拡大に伴い、原油価格は急激に高まりました。
昨今ではロシア・ウクライナ情勢の緊張が続く中、燃料費高騰の動向は今後も続くといわれています。
一説には軽油価格が1円上がると物流業界への影響は年間150億円以上に及ぶと試算されており、特に中小規模の運送事業者にとっては深刻な問題です。
小口発送の増加と輸送効率の悪化
物流業界は、小口発送の増加により輸送効率が低下しています。
これはインターネット通販の需要拡大に伴い、個々の荷物が小さく頻繁な配送が必要になったためです。
結果として運送コストが増大し、環境への影響も懸念されています。
CO2排出量の削減
物流業界は、排出量の削減に向けた取り組みが急務とされています。
国土交通省によれば、2021年度における日本のCO2排出量は、全体のうち約17.4%を運輸部門が占めていました。
物流業界はCO2の削減率が低く、環境への悪影響が懸念されています。
2024年問題
労働基準法の改正により、2024年4月からドライバーの時間外労働が960時間以下に制限されました。
これまでよりもドライバーの労働時間が減少したことで、業界の売上低下や配送負担の増大が懸念されています。
また残業が減ることでドライバーの収入が減少するため、人手不足が加速するのではないかという意見も。
国土交通省が提案する物流課題の対策案
国土交通省は「物流総合効率化法案」に基づいて、流通業の総合化および効率化を促進しています。
その政策の3つの柱が、モーダルシフト、共同配送、輸送網の集約です。
モーダルシフト
国土交通省は物流分野における労働力不足や多頻度小口輸送の動向に対応するため、モーダルシフトを推進しています。
これはトラックなどの自動車による貨物輸送を、環境負荷の低い鉄道や船舶へ転換する取り組みです。
この方策によりCO2排出量の削減や、労働力不足の解消、物流の効率化が期待されます。
特に長距離輸送においてその効果は顕著で、鉄道利用ではトラックに比べてCO2排出量を約91%削減できます。
共同配送
国土交通省は物流効率化と環境負荷の軽減を目的に、共同配送の推進を提案しています。
共同配送とは、異なる企業間で配送リソースを共有することで、トラックの積載率アップを目指す取り組み。
例えば共同配送では、複数の企業が1つの倉庫を共同利用したり、1つのトラックで荷物を一括配送したりします。
共同配送はドライバー不足や、CO2排出量の削減、物流のインフレ対策の一手として注目されています。
輸送網の集約
国土交通省は、輸送網の集約を推進しています。
これは分散していた倉庫や荷捌き施設を集約することで、複数の物流拠点の統合を図る取り組みです。
その概要は輸送網の中心に輸送連携型倉庫を設置し、その倉庫を起点に各物流業者が荷物を納品先に運ぶというもの。
物流コストの削減だけでなく、環境負荷の低減にも繋がるため、持続可能な物流システムの構築に貢献すると期待されています。
物流業界の課題を解決するには
EC需要の高まりや2024年問題によって、ドライバーの配送効率の向上が課題になっている昨今。
物流課題の課題を解決するためにはシステムの活用など、多角的に解決の糸口を探すことが重要です。
倉庫管理システムや配送管理システムを導入
物流業界では倉庫管理システム(WMS)と配送管理システム(TMS)の導入が、業務の効率化に大きく寄与しています。
WMSとは、入荷から出荷までの倉庫業務の一元管理を可能にするシステム。
一方、TMSはトラックの移動データの管理やトラックの配車プロセスをオンラインで行うシステムです。
この2つのシステムを統合することで、物流におけるあらゆるデータがリアルタイムで共有可能となり、物流業務全体が効率化します。
宅配ボックス設置で再配達を少なくする
宅配ボックスの設置は、物流業界の再配達問題を解決する方法の一つです。
宅配ボックスとは、受取人が不在の時でも荷物を受け取ることができるアイテム。
再配達の手間を無くせるので、受取人にとって防犯や感染対策としても効果的で、ドライバーの再配達の手間も軽減可能です。
国土交通省でも宅配ボックスの活用に向けた施策を進めているので、ますます普及するでしょう。
物流拠点の見直し
物流業界の課題に対応するため、物流拠点や倉庫の最適化は重要です。
効率的なネットワーク構築により輸送能力の不足を補い、配送の効率化を図ることができます。
従来、物流業界は個々の流通網を持っていましたが、物流課題を解決するためには競合の壁を越えて協働することが不可欠です。
共同配送の活用やモーダルシフトによる多様な輸送手段の組み合わせが、持続可能な物流システムを支える鍵となります。
ドローンやAIを活用
一部の国々では、AIを搭載したドローンを配送手段として実用化しています。
例えばアメリカAmazonでは、ドローンを活用した配送サービス、「Prime Air」を試験運用している段階です。
この技術より交通渋滞や配達時間の短縮、アクセスの難しい地域への配送の改善などの利点が期待されています。
法規制や安全性の問題から日本での運用にはまだ課題も多いですが、今後、物流課題解決の糸口となるかもしれません。
物流のDX化がなかなか進まない理由
物流のDX化が進まない最大の原因は、DX化に精通したIT人材が不足していることにあります。
また企業側もDX化への理解が不足しているケースが多く、そのような企業はIT人材確保に消極的です。
DX化を推進するためには、取引先や現場からの協力を得なければなりません。
しかし取引先が理解を示さなかったり、現場サイドが抵抗したりすることで、DX化の推進をしたくてもできないという企業も多いようです。
物流業界の今後・将来性は?
物流業界は技術革新により、今後も大きな変化が予想されます。
特に自動運転車やドローン配送などの新しい配送方法が実現すれば、配送の効率化やコスト削減が躍進的に進むでしょう。
またEC業界の市場拡大やオムニチャネルの発展に伴い、物流の需要は今後も増加すると考えられます。
物流業界の将来性は明るいものの、持続可能な発展を遂げるためには、人材不足などの課題に対する革新的な解決策が求められます。
まとめ
今回は物流業界の動向や課題、将来性について解説しました。
EC市場の拡大に伴い、物流業界の需要は高まりを見せています。
今後もこのような動向は続くと考えられるため、物流業界は将来性を見据え、人材不足など目下にある課題を早期に解決しなければなりません。
競合という垣根を越えて、業界全体で協働する姿勢が今求められています。