バンニングは流通において不可欠な存在ですが、流通業界と無縁の人にとっては聞きなじみのない言葉かもしれません。
そこでこの記事ではコンテナバンニングの意味や種類、作業手順など、バンニングに関する基礎知識を解説します。
併せてバンニングの課題や解決策についても紹介するので、バンニング作業の業務改善を検討している人もぜひ参考にしてください。
バンニングとは?
バンニングとは貨物をコンテナに詰め込む作業を意味します。
一方でデバンニングとは、コンテナに積まれた荷物を取り出す作業。
コンテナとは海上輸送や陸上輸送において、様々な種類の荷物を効率的に運ぶための箱です。
コンテナバンニングの際にはコンテナ形状に合わせて、余剰をできるだけ作らずに荷物を詰め込むことが課題となります。
バンニングするコンテナの種類
バンニングが行われるコンテナには、冷凍機能が付いたものなど様々な種類があります。
それぞれのコンテナの特徴や意味、対象となる貨物について理解を深めていきましょう。
ドライコンテナ
ドライコンテナとは常温で扱う荷物を運ぶコンテナです。
これは最も普及しているタイプのコンテナで、その役割は汚れや湿気から貨物を守ること。
ドライコンテナに詰め込める貨物は、電化製品やたばこなどの日用品、工業用品など多岐にわたります。
リーファーコンテナ
リファーコンテナとは、冷凍機能が備わったコンテナを意味します。
一般的にリファーコンテナでは、-25度~25度までの間で温度調整が可能。
このコンテナは温度管理が必要な食品や薬品、美術品、精密機器などを運ぶ際に使われます。
オープントップコンテナ
オープントップコンテナとは、屋根がないタイプや一部が開閉するタイプのコンテナです。
このコンテナは、高さや重さが通常のコンテナに収まらないような荷物を積み込むときに便利。
例えば重機や建築資材、大型の機械などを運ぶ際には、オープントップコンテナがよく使われます。
フラットラックコンテナ
フラットラックコンテナとは、天井だけでなく側面や特殊もないコンテナです。
オープントップコンテナと同様に、通常のコンテナに収まらないような大型や重量の荷物を運ぶときに使われます。
但しコンテナの幅から貨物がはみ出す場合には、別途料金が徴収されることもあるので注意が必要です。
タンクコンテナ
タンクコンテナとは、液体や気体などの流体を輸送するためのコンテナを意味します。
このコンテナでは食品や化学品、燃料など、様々な流体を安全に運ぶことが可能。
タンクコンテナの利点として、流体の品質を保つことや積み下ろしや保管が容易であること、環境に優しいことなどが挙げられます。
バンニングの2タイプを比較
バンニングには工場バンニングと保税バンニングの2種類があります。
ここでは、それぞれの特徴を確認していきましょう。
工場(自社)バンニング
工場(自社)バンニングとは、コンテナを港から自社倉庫に持ってきて自社で貨物を詰め込む方法です。
自社でバンニングするためには専門的なバンニング技術が必要となりますが、経費削減などのメリットも期待できます。
保税バンニング
荷物を輸出する場合、保税地域でバンニングを行うケースも多いです。
保税地域とは外国貨物を保管できる特別な場所を意味し、CYやCFSとも呼ばれます。
保税地域でのバンニングを希望する場合、フォワーダーや通関業者にその旨を伝えましょう。
自社でバンニング作業をするメリット・デメリット
自社バンニングには経費削減といったメリットがある一方で、スタッフの育成が大変といったデメリットもあります。
メリット
自社でバンニングする大きなメリットは、コストの削減に繋がるということです。
自社バンニングの場合でも人件費やトラックの維持費は掛かりますが、外部委託するよりも安く済む場合が多いでしょう。
また外部委託と比べて商品の入出庫や配送の状況を把握しやすくなるので、在庫管理や納期管理が効率化できます。
デメリット
自社バンニングのデメリットは、バンニング技術が必要となることです。
バンニングにはコツや経験が必要で、スタッフの育成が不十分だとかえって外部委託よりも非効率となるリスクがあります。
また自社バンニングでは税関検査への対応など面倒な手続きも、自社で行わなければなりません。
バンニングの作業手順
バンニングの作業手順としては、まず船舶をブッキングして空コンテナの着日を調整する必要があります。
次にバンニングする荷物を用意し、梱包方法についてもあらかじめ決めておくことが重要です。
また税関に求められたときに説明できるよう、貨物の詳細や取引内容をまとめたパッキングリストも必ず作成しておきましょう。
最後にパッキングリストと照合しなが商品の詰め込みを行い、コンテナを封印できたら作業手順は完了です。
バンニング作業の注意点とコツ
コンテナバンニングにはいくつか注意点やコツがあります。
思わぬ事故や怪我を防ぐため、確認しておきましょう。
体調管理
バンニングをする際は、まず体調管理に気を付けましょう。
特に夏場のコンテナ内は非常に暑くなるため、水分補給などの熱中症対策が欠かせません。
またコンテナの外部から水を掛けることで、内部の温度を低くすることができます。
作業効率を考える
コンテナバンニングでは荷物の詰め込みや確認、内容の記録や報告など作業手順が多いため、作業に時間が掛かります。
長時間の労働は従業員の作業効率低下に繋がるため、作業環境の改善を検討しましょう。
例えばマテハン機器や荷物の確認作業のバーコード化が作業効率アップに効果的です。
偏荷重に注意
コンテナのバランスを保つため、バンニングの際はできるだけ荷重が偏らないように注意しましょう。
特に荷物の重量がコンテナの左右に偏ると、トラックで右左折する際に横転するリスクが上がり危険です。
対策としては、面積の広いパレットに荷物を積むようにすることで偏荷重を防ぐことができます。
重いものは下に積む
コンテナバンニングでは、重いものを下に積み軽いものは上に積むことが原則です。
もし重いものを上に積むと、下の軽い荷物が潰れて結果的に全体のバランスが崩れてしまう恐れも。
また一番上には重しとして中くらいの重さのものを載せて、コンテナのバランスを保つといったテクニックもあります。
荷物は固定して荷崩れに備える
バラバラになった荷物がコンテナ内で崩れないよう、荷物はしっかり固定しましょう。
固定方法としては、木材を使って貨物を載せたパレットを固定するショアリングが有効です。
その他にもワイヤーやラップなど、様々な道具を使った固定方法があります。
バンニング作業の課題
バンニングは流通において重要な役割ですが、課題や問題点も存在します。
流通関係者はもちろんこれからバンニングに従事したいと考えている人も、以下で紹介する点について念頭に置いておきましょう。
作業が長時間続く
バンニング作業は荷物の積み込みの他にも作業手順が多いため、業務が長時間にわたることが多いです。
業務が長引くと当然作業員の負担が増えるので、離職率を上げる原因に繋がることもあります。
過酷な労働環境
バンニングは大量の荷物を時間内に詰め込まなければならない重労働です。
特にフォークリフトを使わない手作業でのバンニングは、作業員に大きな肉体的負荷を与えます。
また前述のとおり夏場はコンテナ内の温度が上がるため、作業員が熱中症に罹るリスクもあるでしょう。
荷物の破損
コンテナバンニングは、荷物が破損するリスクを伴います。
その主な原因は荷物の積み方の問題や、疲労による作業員の注意力低下によるものです。
破損が発生した場合、企業だけでなく作業員に責任が課せられることがあるので注意しましょう。
コンテナバンニングの改善策
バンニングには作業員への負荷の重さなどの課題がありますが、システム導入などの対策が課題解決の鍵となります。
一度に課題を全て解決するのは難しいですが、できるところから作業環境を改善していきましょう。
倉庫レイアウトの最適化
バンニング作業員が荷物を取り出しやすいように倉庫のレイアウトを最適化することで、作業の効率をアップすることができます。
例えば出荷頻度の高い荷物を手前に配置するレイアウトや、荷物が取り出しやすいようギチギチに在庫を詰め込まないことが対策となります。
積み込み方法の自動計算ソフトの活用
バンニング作業に役立つアイテムとして、荷物の詰め込み方法を自動計算してくれるソフトがあります。
これは荷物のサイズ情報などをソフトに入力するだけで、最適なバンニング方法を導き出してくれる優れものです。
このような自動計算ソフトの導入は、バンニング作業の効率化や荷物の破損リスク低下に繋がるでしょう。
ロボット、自動システムの導入
コンテナバンニングは長時間にわたる重労働ですが、ロボットや自動システムの活用でバンニング作業の負担軽減が可能です。
例えばマテハン機器の導入や荷物のチェック作業をバーコード化することが、作業の効率化に繋がります。
作業を記録する
作業の記録を残すことで、荷物の破損などのトラブルがあった際に作業員を守ることができます。
作業の記録表には、いつ誰がどの作業を行ったのか明確に記しましょう。
それと併せて貨物の写真も残せておけば、その時点では貨物の破損が生じていなかった証拠を残せます。
まとめ
今回はコンテナバンニングの意味やバンニングの作業手順、その課題について解説しました。
バンニングとは荷物をコンテナに詰め込む作業ですが、その他にも確認や検品などあらゆる業務が伴います。
バンニング作業は一般的に重労働であるため、作業手順や環境を見直しながら従業員の働きやすさを第一優先することが重要です。