荷姿は物流用語の一つですが、日常生活ではあまり耳にしない言葉です。
そのため、荷姿の意味やイメージがなかなか理解できないという人も多いでしょう。
この記事では、荷姿の意味や読み方、種類などをわかりやすく解説します。
併せて梱包業務に役立つ資格など、物流や製造業に携わる人に有益な情報をまとめているので、ぜひ最後まで読んでください。
荷姿とは、読み方は?
荷姿とは商品や荷物の梱包や包装の状態のこと。
読み方は「にすがた」で、英語ではpackagingといいます。
荷姿の種類は、例えば箱詰め、パレット積み、スキッド梱包など様々。
同一商品でも、配送先や配送方法によって荷姿は柔軟に変えられます。
適切な荷姿を選ぶことは、商品の保護や効率的な配送にとって重要です。
荷姿の種類 【素材別】
素材別に荷姿の種類を紹介します。
荷姿に使う素材には、それぞれ長所、短所があることを理解しましょう。
木材
木材は、古くから利用されてきた荷姿の素材です。
その特徴は、環境に優しく再利用が可能なこと。
また衝撃にも強く、パレットや箱など多様な形状に加工できます。
ただしWood Packaging Material (WPM) 規制など、輸出入の条約により規制されることもあるため注意が必要です。
紙
段ボール箱、紙袋、クラフト紙、紙パレットなど、紙が荷姿の素材に使われることも多いです。
特に段ボール箱は強度と保護性が高く、多くの商品に使用されます。
紙の荷姿は、環境への配慮とコスト効果の両面で優れた選択肢です。
プラスチック
プラスチック製の荷姿は、耐久性や軽量性、コストパフォーマンスに優れているのが特徴。
発泡スチロールからパレット、フィルム状まで種類も豊富です。
プラスチック製の荷姿は防水性も高く、食品、医薬品、工業製品など幅広い分野で使用されています。
金属
金属製の荷姿は、耐久性と強度を高めたい時によく使われます。
代表的な素材は、スチールやアルミニウムなど。
金属製の荷姿は衝撃や環境変化にも耐えられるため、重量物や高価値品、精密機器の輸送にも使用されます。
荷姿の種類 【梱包別】
荷姿の種類は、梱包方法によっても分類できます。
ここではケース梱包、パレット梱包など代表的な梱包方法を紹介。
ケース梱包
ケース梱包は現在、最も一般的な梱包方法です。
ケースは英語で箱を意味し、この梱包方法では商品を個別の箱に入れて、湿気や衝撃から守ります。
またケース梱包の素材には木材や金属などの素材を使うことが多いです。
外側から内容物を覗き見ることができないため、個人情報を含む書類や貴重品を梱包する方法としても最適。
クレート梱包 (すかし箱)
クレート梱包(すかし箱)とは、箱の側面に隙間を設けた梱包です。
クレートは英語で木箱を指しますが、クレート梱包の素材には木材以外に金属が使われることも多いです。
クレート梱包は通気性が良いのが特徴で、特に果物や野菜などの生鮮食品や衣類の輸送に適しています。
また隙間から中身の確認がしやすく、損傷や腐敗にすぐ気づけるのがメリット。
パレット梱包
パレット梱包とは、複数の箱や製品を一つのパレットにまとめ、そのままラップやバンドで固定する梱包方法。
英語ではpallet packingといいます。
荷崩れ防止に効果的で、形が異なる荷物を一つにまとめて輸送したい時におすすめ。
またフォークリフトやパレットジャックにパレットを載せてそのまま移動できるため、大量の荷物を扱う際よく利用されています。
スキッド梱包
スキッド梱包とはスキッドの上に、そのまま荷物を載せて固定するだけのシンプルな梱包方法です。
スキッドとは英語のskidに当たり、板状のパレットを意味します。
パレット梱包に似た梱包方法ですが、スキッド梱包では上積みすることができません。
コストが掛かりにくいのがメリットですが、荷下ろしの際に荷物に傷がつきやすいので注意が必要です。
バリア梱包
バリア梱包とは高い遮断性を持つ包装材を使用した梱包方法のこと。
バリアとは英語で防御を意味しますが、バリア材にはアルミ箔や特殊プラスチックフィルムが使われることが多いです。
荷物を湿気や酸素、光などから守る効果があり、この梱包により製品の鮮度や性能を保つことができます。
特に荷物の錆を防ぎたい時におすすめの梱包方法です。
緩衝梱包
緩衝梱包は、商品を運搬や保管中の衝撃や振動から保護するための梱包です。
梱包材には様々な種類があり、例えば発泡スチロールやエアキャップ、気泡シートなどがあります。
また、重量物にはバネで荷物を浮かせる吊り梱包、衝撃を受けやすい荷物にはパルプモールドなど特殊な梱包が行われることも。
緩衝梱包により商品が損傷するリスクを最小限に抑え、安全に輸送することができます。
荷姿の選び方
ここまで荷姿にはいくつかの種類があることを紹介しましたが、どのように使い分ければ良いのでしょうか。
荷姿を選ぶ際は、安全性とコストの両面を考慮することが大切です。
製品の種類
製品の種類に応じて荷姿を変えることで、輸送中の損傷リスクを減らすことができます。
例えば壊れやすい商品にはクッション性の高い材料を使用し、耐久性が求められる商品には堅牢な梱包が必要です。
また形状が特殊な商品には、オーダーメイドの荷姿が適している場合もあります。
製品の大きさ
製品の大きさによっても、適切な荷姿は異なります。
例えば段ボールやエアキャップなどの簡易的な梱包は軽量の荷物に適していますが、大型の荷物や重量物にはあまり向きません。
また梱包材の大きさが荷物よりも小さすぎると、荷物破損のリスクが高まります。
輸送手段
輸送手段に応じた梱包は、商品を安全に届けるために重要です。
例えば海上輸送では、長期間にわたる湿気や塩分に耐えられる梱包が求められます。
一方陸送の場合は、振動や衝撃から保護するための緩衝材を多用することが一般的です。
コスト
過剰な包装や大きすぎる容器はコストを増やす原因になるため、適切なサイズと素材の梱包材を選ぶことが重要です。
荷物の性質や輸送経路などを考慮し、耐久性や保護性が必要かどうかを判断しましょう。
また再利用可能な容器や環境に配慮した包装材を選ぶことで、コスト削減と環境負荷の低減を両立させることができます。
食品の在庫管理に役立つ、荷姿別管理
食品や飲料品の在庫管理では荷姿別管理が広く活用されています。
ここでは荷姿別管理の意味やバラなどの単位、管理を効率化させるための方法を紹介。
荷姿別管理の意味
荷姿別管理とは、商品の形状やパッケージングに基づいて在庫を管理する手法です。
例えば、同じ商品でもサイズや色などによって異なる形状やパッケージがありますが、荷姿別管理ではこれらを区別して管理します。
これにより、在庫管理が効率化され、商品の受け渡しや出荷作業もスムーズに行うことができます。
荷姿別管理の単位
荷姿別管理の基本単位には、ケース、ボール、バラがあります。
ケースは、複数の商品を一つの箱にまとめた荷姿の単位。
ボールとは、例えば10缶入りのビールなど、ケースより小さな単位です。
さらにバラは個々の商品を指した、最も小さい単位。
バラがボールになる個数、ボールがケースになる数は商品ごとに異なります。
荷姿別管理を効率化させる方法
荷姿別管理の効率化させるには、自動化技術の導入が有効です。
例えば、バーコードやRFIDなどの識別技術の活用は、商品の追跡や在庫管理の効率化に繋がります。
また在庫管理システムより在庫状況や出荷状況をリアルタイムで把握することで、より迅速な対応も可能です。
梱包作業に活かせる資格を紹介
梱包作業に活かせる資格には、包装管理士と工業包装技能士の二つがあります。
どちらも物流業務のスキルアップを目指す人におすすめの資格です。
包装管理士
包装管理士とは、一言でいえば包装作業のスペシャリストのこと。
資格取得の過程では、包装に関する知識や技術を習得し、包装材料の選定や梱包方法の最適化、物流業務を効率化する方法を学びます。
包装管理士は包装業界や物流業界だけでなく、製造業や小売業など様々な分野で活躍の場を持ちます。
受験は一年に一度しか実施されていないため、興味がある人は開催時期を見逃さないようにしてください。
工業包装技能士
工業包装技能士は、梱包作業に活かせる国家資格です。
製品の保護を目的とした資格で、包装材料を考慮した梱包作業の方法や、包装が完全かを試す試験の方法など梱包に関する専門的な知識を身につけることができます。
また学科試験だけでなく実技試験もあり、受験では用意された材料や道具を使って、実際に梱包をしなければなりません。
一級と二級がありますが、いずれも受験には実務経験が必要です。
まとめ
今回は荷姿の意味や英語、読み方、種類など、荷姿について解説しました。
荷姿とは荷物が梱包された状態のことで、パレット梱包、スキッド梱包など様々な種類があります。
荷姿の種類にはそれぞれメリット、デメリットがあるので、製品の特徴に合わせて使い分けることが大切。
梱包をより極めたい人は、工業包装技能士などの資格取得を目指してみるのもおすすめです。