倉庫業に携わっている人のなかには、倉庫管理主任者を目指したいと考える人もいるでしょう。
しかしあまり一般的に知られた資格ではないため、倉庫管理主任者の役割や講習の合格率などわからないことも多いはず。
そこでこの記事では、倉庫管理主任者の作業内容や申請条件、日本倉庫協会が開催する講習の合格率について解説します。
倉庫管理主任者とは?
倉庫管理主任者とは、倉庫を管理するうえで必要な知識や能力があると認められた者のこと。
国家資格で、平成14年4月1日施行の倉庫業法改正によって設けられました。
倉庫業法では、倉庫業者が個々の倉庫に対して一人の倉庫管理主任者を選任することを義務付けています。
倉庫管理主任者の規定を定めることで、円滑な流通を確保するのがこの資格の目的です。
倉庫業とは?
倉庫業とは、保管するよう依頼された荷物を倉庫に保管する業種を指します。
わかりやすくいえば、荷物を倉庫に保管することで利益を得るビジネスです。
また倉庫業は単に荷物を預かって保管するだけの仕事ではありません。
その他の作業内容には検品や入庫をはじめ、ピッキング、仕分け、出庫などの出庫までに必要な一通りの作業が含まれています。
倉庫管理主任者の役割・作業内容
倉庫管理主任者の役割や作業内容が気になる人もいるでしょう。
ここでは、倉庫管理主任者について具体的に解説します。
倉庫における火災の防止・その他倉庫の施設の管理
倉庫内の資材は紙や段ボールなど燃えやすいものが多く、製品のなかにも可燃性の材料で作られたものがあります。
倉庫内で火災が起こるとこれらの物品が一気に燃え広がる可能性が高いため、倉庫管理主任者は火災に備えなくてはなりません。
また街灯がきちんと点灯しているか、フェンスに破損は見られないかといった敷地全体の管理も倉庫管理主任者の作業内容です。
倉庫管理業務の適正な運営の確保
倉庫管理主任者は保管中の荷物が気温や湿度、虫によってダメージを受けていないか気を配る必要があります。
また入庫や出庫の際の数量管理や、倉庫業務に関する業務資料の管理も作業内容の一つ。
このように倉庫管理主任者には管理体制や業務手順の最適化、機密情報の保持といった、ソフト面の業務管理も求められます。
労働災害の防止
倉庫ではたくさんの従業員がそれぞれの業務を行ない、作業内容によっては安全上のリスクがあるものも。
そのため労働災害が発生しないように安全管理をすることも、倉庫管理主任者の重要な業務。
従業員が安全に作業できるよう、倉庫内でどのように作業するのかきちんとしたルールを定め、労働災害を防止する必要があります。
現場従業員の研修
現場従業員の研修を行うことも、倉庫管理主任者の大切な仕事。
これまで解説した火災や労働災害の防止、倉庫の適正な運営をするためには、社内教育により従業員一人ひとりの意識を向上させる必要があります。
安全性が高く効率的な倉庫業務を行うためには、倉庫管理主任者が積極的に研修を企画し実施することが重要です。
倉庫管理主任者になるためには? 合格率はどれくらい?
倉庫管理主任者を取得するためには、実務経験を積むか日本倉庫協会が実施する講習を受ける必要があります。
ここでは資格の取得方法や講習の合格率を紹介。
一定以上の実務経験
倉庫管理主任者になるためには、一定以上の実務経験を積む必要があります。
具体的には「倉庫の管理業務で2年以上の指導監督的実務経験がある」もしくは「倉庫の管理業務で3年以上の実務経験がある」こと。
このどちらかに該当していれば、それだけで倉庫管理主任者の対象となります。
この倉庫管理主任者の要件は、倉庫業法施行規則に定められています。
日本倉庫協会が開催する1日講習の受講
日本倉庫協会が開催する1日講習の受講をすると倉庫管理主任者になれます。
講習は午前と午後で、あわせても4時間45分と短く1日あれば受講が完了。
講習後は試験もないため、よほどのことがなければ全員合格となります。
合格率はほぼ100%であるため、あまり心配しなくても大丈夫。
また実務経験を持つ人は、受講の必要はありません。
条件を満たしても認定されないことも
前述した2つの条件を満たしていても、倉庫管理主任者に認定されない場合があります。
それは「1年以上の懲役または禁錮の刑に処せられ、その執行を終わりまたは執行を受けることがなくなった日から2年を経過しない者」である場合。
また「法第二十一条の規定による登録の取消しを受け、その取消しの日から2年を経過しない者」も選任の対象外となるので注意しましょう。
倉庫管理主任者は何人配置?
基本的に、一つの倉庫につき一人の倉庫管理主任者を配置する必要があります。
ただし、機能上一つとみなされる複数の倉庫、道路を挟んで両側にある複数の倉庫は一つというカウントになります。
また同じ営業所が管理もしくは監督している倉庫が複数ある場合も例外です。
この際、倉庫の面積が合計10,000平方メートルより小さければ倉庫管理主任者は一人で構いません。
倉庫管理業務を効率アップさせるには
倉庫管理業務を効率アップさせるには、倉庫管理システム(WMS)を導入するのがおすすめ。
WMSとは、商品の入出庫をはじめ在庫を一括で管理できるシステムのことです。
WMSではバーコードとスキャナーを使って在庫の管理を行うことが多く、作業の効率化だけでなく人的ミス防止にも効果的。
またWMS上のデータはリアルタイムで関係者全体に共有できるため、情報の伝達速度も速くなるでしょう。
まとめ
倉庫管理主任者は、適切な倉庫管理を行ううえで必要不可欠な役割。
作業内容には、倉庫における火災の防止や倉庫施設の管理、倉庫管理業務の適正な運営、労働災害の防止などがあります。
また、現場従業員の研修も倉庫管理主任者の重要な業務の一つ。
倉庫管理主任者になるためには実務経験を積むか日本倉庫協会の講習を受ける必要があります。
講習の合格率はほぼ100%なので、安心して受講してください。