ファシリテーションや司会進行役は、会議成功のカギを握る重役。
任されたら、会議が円滑に進むように台本作成などの準備をしっかり進めておくことが大切です。
そこでこの記事では、ファシリテーションの役割や進め方、台本シナリオの例文などについて詳しく解説します。
ファシリテーションに初めて抜擢された人や不慣れな人、スキルアップしたい人はぜひ参考にしてください。
会議の司会進行、ファシリテーションとは?
ファシリテーションとは、会議を円滑に進行させるための技術やプロセスのこと。
ファシリテーションを担当する人をファシリテーターといいます。
ファシリテーターは調整役と翻訳されますが、実際には司会進行役を指すことが多いです。
ファシリテーションが上手く機能しないと、「会議がいつまでも終わらない」「議論が脱線する」などの問題が生じます。
ファシリテーションの役割
ファシリテーションの役割は、議論を円滑に進めることです。
そのためには以下の3つのプロセスが求められます。
発言を促す
意見がなかなか出ない時には、ファシリテーターが発言を促すことが大切です。
会議においては、社内の立場の高い人など一部の人しか発言しないことも少なくありません。
参加者一人ひとりの発言が議論に活かされるよう、平等に発言の機会を割り振ることが司会進行役に求められます。
タイムマネジメント
ファシリテーターには、タイムマネジメントが求められることが多いです。
会議がダラダラと長引かないように、あらかじめ各議題に対するタイムスケジュールを決めておきましょう。
ただし司会とファシリテーターがそれぞれ独立している場合には、司会が時間調整を行うこともあります。
意見を総括する
ファシリテーターは中立的な立場から、意見を総括します。
活発な意見が飛び交う議論では、メンバー間で意見が一致しないことも多いです。
その中でも一度議論をまとめ、必要があれば再討論のために別の機会を設けます。
【会議前】 ファシリテーションの準備
ファシリテーションを成功させるためには、時間設定、台本・シナリオ作成などの準備が欠かせません。
ファシリテーション経験者も、改めて確認しておきましょう。
会議の目的、テーマの決定
会議を開催する際には、その目的とテーマを明確に設定しましょう。
会議の目的があいまいだと、メンバーの時間を無駄にするだけの無意味な会議になってしまいます。
会議において何を決定したいのか、具体的なシナリオを描いておくことが大切です。
メンバーの選定と役割分担の決定
会議のメンバーは、議題に対する意思決定に関わる人のみに絞り込んでください。
また会議の規模が大きい場合には、タイムキーパー、書記など役割分担すると良いでしょう。
会議の参加人数が多すぎると進行が難しくなり、会議が長引く原因となるので注意が必要です。
時間の設定
時間設定は、ファシリテーターや司会進行の役割です。
議題が多い会議では数分のタイムオーバーが積み重なることで、会議が大幅に遅れることも少なくありません。
タイムスケジュールは会議のシナリオにも記載し、発表者がいる場合には時間厳守をあらかじめ伝えておきましょう。
会議の台本作成
円滑に会議を進めるため、台本作成は必須です。
会議の台本には、タイムスケジュールや挨拶の例文、会議の進め方、発言の促すタイミングなどについて記載しておくと良いでしょう。
台本を作成しておくことで、議論が大幅に脱線するリスクを未然に防げます。
【会議中】 ファシリテーションの進め方
ここでは会議開始から終了までのファシリテーションの進め方を紹介。
発言を促すコツや総括の進め方など、各プロセスのポイントについて詳しく解説します。
アジェンダを読み上げる
アジェンダとは、会議の目的や議題、タイムスケジュールなどをまとめた資料のこと。
会議開始時や挨拶のタイミングで読み上げることで、会議の方向性を参加者に再度確認してもらいましょう。
会議はアジェンダに沿って進行していくため、会議中は常に参加者が見えるところに貼っておくと良いでしょう。
全員に発言させる
ファシリテーションの理想は、参加者全員に発言を促すことです。
会議では挙手制がよく採用されますが、発言する人が偏りがちなのがデメリット。
必要に応じて事前にヒアリングしたり、指名制を取り入れたりして発言の回し方を工夫しましょう。
発言を掘り下げる
発言に対しては、「なぜそうお考えなのですか?」「○○とは具体的にどのようなことですか?」といったように話題を掘り下げていきましょう。
また「この意見についてどう思いますか?」「この意見に対して異議はありますか」などのように、議論を発展させる方法もあります。
発言を記録する
発言はホワイトボードに書きながら、会議を進行していきましょう。
そうすることで議論のポイントが明白になり、最後の総括もしやすくなります。
ファシリテーター一人では手が足りない場合は、書記に発言の記録を任せても良いです。
総括・決定事項の採決
意見が一通り出揃ったら、最後に総括を行います。
メンバー間で意見が一つにまとまった場合には、決定事項の採決も進めましょう。
一方、会議では意見が対立することも多いですが、その際には現時点での双方の意見を集約してください。
また必要があれば再討論の機会を設定しましょう。
【会議後】司会進行がするべきこと
会議終了後にも、ファシリテーターがやるべきことがあります。
うっかりやり忘れないように、チェックしておきましょう。
議事録の共有
会議が終わったらできるだけ早く、議事録を関係者に共有します。
議事録には会議の内容を要約し、会議の日時やテーマ、決定事項、今後の予定についても記載しましょう。
レコーダーで会議内容を録音しておくと、議事録が作成しやすくなります。
参加者に会議を評価してもらう
最後に、会議の進行について参加者に評価してもらいます。
会議の進め方について改善したほうが良い点はあったか、時間調整に問題は無かったのかなど、アンケート形式で意見を集めると良いでしょう。
参加者からの改善案を次の会議に取り入れることで、ファシリテーションのスキルアップに繋がります。
司会進行を成功させるコツ
司会進行の進め方にはいくつかコツがあります。
ここでは優秀なファシリテーターが実践している、会議の進め方を紹介します。
議題について、各自が考える時間を設ける
議題について唐突に質問されても、参加者はすぐに意見をまとめられません。
そのため議論を進行する際は、各自がテーマについて考える時間を設けるようにしましょう。
またあらかじめ議論のテーマを共有し、意見を事前に集める方法も効果的です。
司会進行は中立的な立場に徹する
ファシリテーターは、会議中は終始、中立的な立場を保ちましょう。
ファシリテーターが賛成派、反対派どちらかの肩を持つと、ファシリテーター側の意見が優位となる恐れがあるからです。
またファシリテーターが参加者の意見に対して、良し悪しを評価をするのもやめてください。
議論が脱線したら、軌道修正する
会議では、気付かぬうちに議論の争点がずれてしまうことがあります。
一度議論が脱線すると、いつまでも意見がまとまらず、時間が無駄に過ぎてしまうことも。
そうならないよう、議論が脱線した際にはファシリテーターが軌道修正を行ってください。
【例文】司会進行のシナリオ構成例
司会進行のシナリオの構成例文を紹介します。
挨拶や総括の仕方、発言を促す際の言い回しなど、社内会議の様々なシチュエーションで使える例文を集めました。
開始の挨拶
お疲れ様です。
それでは定刻となりましたので、会議を開始します。
皆様、お忙しいところ、本日は会議にお集まりいただきましてありがとうございます。
本日司会進行を務めます、○○部の○○と申します。
この会議が有意義なものとなりますよう尽力いたしますので、どうぞよろしくお願いいたします。
会議の目的、ゴールの共有
本日の会議は、○○を目的に、○○について議論する場にしたいと考えております。
ぜひ皆様から、自由な意見、アイデアをお寄せください。
なお本日の会議終了時間は、〇時〇分を予定しております。
定刻通り終了できるよう、発表者は時間厳守にご協力のほどお願いいたします。
参加者の発言を促す
この件に関して、ご意見がある人は挙手をお願いいたします。
○○にお詳しい○○さん、この件についてどうお考えでしょうか?
必要に応じて軌道修正
申し訳ありませんが、議題から逸れてしまいましたので、少し軌道修正して元のテーマに戻りたいと思います。
今日の議題はXに関するものでしたので、その点にフォーカスしていきましょう。
総括
そろそろ会議終了時刻となりますので、議論について総括を行いたいと思います。
今回は2つの議題について議論しましたが、議題Xについては○○という結論に至りました。
また議題Yに関しては、○○という意見があった一方で、○○のという意見も多く挙がりました。
Yに関しては、次回の会議でも討論を続けていきたいと思います。
本日の会議内容は、今週中に議事録として皆様に共有させていただきます。
最後の挨拶
本日の会議は以上で、終了させていただきます。
長時間にわたり、会議にご参加いただき大変ありがとうございました。
まとめ
今回はファシリテーションの意味や進め方、社内会議の台本の構成例文などについて解説しました。
ファシリテーションとは会議の進行をサポートするための技法。
ファシリテーターには、発言を促すことや時間管理、総括など様々なスキルが求められます。
最初は難しいかもしれませんが、例文を参考にしたり、場数を重ね上司からアドバイスをもらったりしながら、少しずつスキルを磨いていきましょう。