メーカーや卸売、小売業に携わる人なら、仕入れ値や仕入れ価格という言葉をどこかで耳にしたことがあるかもしれません。
しかしビジネスでは仕入原価、仕入率、仕入高などお金に関わる言葉が非常に多く、その中で仕入れ値が何を意味するのか混乱することも。
そこでこの記事は、仕入れ金額の意味や仕入れ値計算の方法を紹介。
さらに仕入原価や仕入率、仕入高など、仕入れ価格に関連する概念についても解説します。
流通経路の基本を解説!
流通経路とは、商品がメーカーから消費者に届くまでの道のりのことです。
商品は一般的にメーカーから卸売業者さらに小売店を経て、消費者の元に届きます。
まず流通経路の出発点であるメーカーは商品を生産し、卸売業者に販売。
さらに卸売業者はメーカーから購入した商品を、小売店に卸します。
最後に小売店は商品を店頭や通販などで販売し、それを購入した消費者に届くのです。
仕入れ値とは? 売値や卸値、仕入れ原価との違いも解説
ここでは仕入れ値の意味とともに、仕入原価や卸値、売値との違いを解説します。
それぞれの用語の意味を知ることで、仕入れ値に対する理解を深めましょう。
仕入れ値・仕入原価とは?
仕入れ値とは卸売業者がメーカーから商品を購入したり、小売店が卸売業者から商品を仕入れたりする際に支払う金額のこと。
仕入れ値は仕入価格と言われることもあります。
一方で仕入原価とは、仕入れ金額に輸送費や保管費などの経費を加えた金額のことです。
卸値と仕入れ値の違いは?
卸値とは、メーカーが卸売業者に商品を売るときの価格のことです。
一方で仕入れ値とは、卸売業者や小売店が商品を仕入れる価格。
つまりメーカーと卸にとって、卸値=仕入れ値です。
しかし卸値はメーカー目線、仕入れ値は卸目線の表現という点で違いがあります。
掛け率とは? 仕入原価率との違い
掛け率とは商品の販売値段と仕入れ価格の比率のことで、主に卸が小売店に商品を販売する際に使われます。
例えば販売価格が1000円の商品の掛け率が60%の場合、仕入れ価格は600円。
また掛け率は別の言い方で、仕入原価率とも呼ばれます。
掛け率と仕入原価率の違いは、掛け率は売り手が商品を販売する際に使うのに対して、仕入原価率は買い手が商品を仕入れる際に使う点です。
仕入れ値と売値の違いは?
売値とは、小売店が商品を消費者に販売する際の価格のことです。
一方で仕入れ値とは、卸や小売店が商品を仕入れる際の価格のこと。
仕入れ価格と同じ値段を売値としては、当然小売店は利益を得ることができません。
そのため小売店は、仕入れ金額に輸送費や保管費、人件費などの経費を上乗せして売値を設定します。
仕入れ金額から売値を決める
仕入金額から売値を決める方法は複数あります。
ここでは原価率や予定利益率から売値を求める公式や仕入れ値計算の方法を紹介。
どのように値段を決める?
メーカーは、「この価格で消費者に自社の商品を販売して欲しい」という定価を設定します。
卸値はメーカーと卸の交渉により決めりますが、定価の0.5~0.6が一般的です。
そこからさらに、卸は仕入れ金額に利益を上乗せした価格で小売店に商品を販売。
最後に小売店は、メーカーが定める定価を参考にしながら店にとって利益になるように売値を設定します。
販売価格=原価(仕入れ値)÷原価率
販売価格を決定する際は、原価(仕入れ値)÷原価率の公式を使って計算できます。
原価率とは売上高に対する原価の割合のことです。
例えば、原価率が30%、原価が100円の商品の販売価格を求めたいとします。
その場合100円÷0.3の式により、販売価格は小数点以下を切り捨てて333円となります。
販売価格=原価(仕入れ値)÷(1-予定利益率)
販売価格は「これだけの利益が欲しい」という予定利益率から求めることも可能です。
予定利益率から販売価格を求める式は、原価(仕入れ値)÷(1-予定利益率)。
例えば原価1000円のものを販売して7割の利益が欲しいとします。
1000÷(1-0.7)で小数点以下を切り捨てて、販売価格は3333円です。
売値と仕入れ値から利益率・原価率の計算も可能
売値と仕入れ値から利益率や原価率を計算することもできます。
この場合まず、利益を販売価格ー仕入れ値の式から算出します。
続いて利益率を利益÷販売価格の式で計算。
そこから原価率は、1-利益率の式で導き出すことができます。
仕入れ値計算方法
仕入れ値計算は、売値から商品1個の利益を引くことでできます。
例えば売値が1000円で商品1個の利益が200円だったとします。
この場合仕入れ金額は、1000円-200円で800円。
このように仕入れ値計算は、売値と商品の利益から簡単に導き出すことができます。
仕入率とは?
仕入率とは会計用語で、商品の売上高に対する仕入れにかかった金額の比率のことです。
仕入率は、仕入れ価格を販売価格で割って100をかけると求められます。
仕入率が高いということは仕入れにかかるコストが高いということで、利益率が低くなります。
反対に仕入率が低いということは、仕入れにかかるコストが低く利益率が高いということです。
仕入高とは?
仕入高は会計用語で、ある期間において商品や原材料などを仕入れた金額のことです。
例えば、仕入れ価格や商品の製造に必要な原料費、商品の運送費用や購入手数料などは仕入高に含まれます。
仕入れ金額は仕入高の一部ですが、それぞれの意味には違いがあるので混同しないようにしましょう。
まとめ
この記事では仕入れ値の意味や仕入れ値計算の方法、さらに仕入原価や売値などの仕入れ金額に関連する概念について解説しました。
仕入れ値とは商品を仕入れる際の価格で、定価に掛け率(仕入原価率)をかけあわせることで仕入れ値計算できます。
仕入率や仕入高などの会計用語を理解する上でも仕入れ値計算は必要となるので、卸や小売業に関わる人は理解しておきましょう。